2017/04/11

VMAT2 阻害剤INGREZZA を遅発性ジスキネジー治療薬としてFDAが承認

 Neurocrine Biosciences (Neurocrine)が開発したvalbenazine(販売名:INGREZZA)を成人の遅発性ジスキネジー (Tardive Dyskinesia;TD) 治療薬としてFDAが承認した。Fast Track、Breakthrough Therapy指定、およびNDA提出時(2016年8月)にPriority Reviewの指定を受けて8ヵ月の審査で承認された。
 INGREZZAは選択的小胞型モノアミン輸送体VMAT2阻害剤で、TD治療薬として最初で唯一の製品である。TDは、一般に長期にわたって精神病薬で治療された患者に発症し、統合失調症の治療で抗精神病薬を服用した患者の約30%に達すると推定されている。高齢者のTDは進行しやすく、また高齢の女性は、高齢の男性よりもリスクが高い。反復的な不随意の目的のない動作が特徴的な症状である(顔を歪める、顎や唇、舌などの突然の突き出し、手足、指、胴体の早くて不随意な運動、歩行困難など)。
 承認の根拠は、統合失調症、統合失調症性感情障害、または気分障害に罹患している患者を対象とした、第3相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間、固定用量試験(KINECT 3試験)の結果である。INGREZZA 40 mg、80 mg(1日1回)、またはプラセボ を6週間投与し、その後、全ての被験者は、INGREZZA 40 mg、あるいは80 mgの何れかに割付けられた。主要評価項目のAIMS TDトータルスコアは、プラセボ群の-0.1に対して、INGREZZA 80 mg 群では-3.2であった(p<0.0001)。また、本試験において、AIMS のスコアが少なくとも50%以上低下した被験者の割合は、プラセボ群の8.7%に比べて、INGREZZA 80 mg群は40%であった(p<0.0001)。