2019/12/27

アステラス製薬は、Xyphos 社が有するCAR(Chimeric Antigen Receptor:キメラ抗原受容体)-細胞療法に関する技術基盤であるACCELTM(Advanced Cellular Control through Engineered Ligands)とともに、癌免疫の分野をリードする優秀な人材を獲得することになる。買収の対価として、買収手続完了時に1 億2,000 万$が支払われ、Xyphos 社はアステラス製薬の完全子会社となった。当該支払いと、開発の進捗に応じたマイルストン支払いを合わせ、最大で総額6 億6,500 万$が支払われる可能性がある。
Xyphos 社独自のACCELTM 技術は、タンパク工学により創製した受容体とリガンドタンパクの特異的な結合を利用した合成生物学的手法に基づいている。受容体を発現させたナチュラルキラー(NK)細胞やT 細胞といった免疫細胞 (convertibleCAR® 細胞)と、攻撃標的である癌抗原を認識する抗体をリガンドタンパクと融合させた抗体-リガンド融合タンパク(MicAbody)を患者に投与し、治療する技術である。攻撃対象とな癌細胞の特徴に応じて、MicAbodyを取り換え、複数使用することで、convertibleCAR®細胞に異なる癌抗原や複数の癌抗原を認識させ、様々な癌細胞を攻撃することができる。また、MicAbody の投与量を調節することで、免疫細胞による過剰な免疫反応を制御し、従来のCAR-T 療法で見られるサイトカイン放出症候群(cytokine release syndrome)の発生を抑制できることも期待される。さらに、MicAbodyの抗体部分を別のタンパクに替えることにより、convertibleCAR®細胞の増殖や生存制御も可能になる。Xyphos のconvertibleCAR®-T 細胞のリードプログラムは現在、前臨床開発段階にあり、2021 年に初めての臨床試験が行われる予定である。