7 月29 日、RNAi 療法開発のリード企業Alnylam Pharms., Inc.(Alnylam)は、腎機能の進行性低下を伴う進行性原発性高シュウ酸尿症I 型(PH1)に関連する全ての年齢の患者を対象にしたlumasiran の第3 相ILLUMINATE-C 試験の肯定的な最新結果を発表した。これらの結果に基づいて、同社は2021 年後半に、FDA にsNDA、EMA にType II 変更申請を提出予定。
1. Lumasiran
本品は、原発性高シュウ酸尿症1 型(PH1)の治療法として開発中のhydroxyacidoxidase I (HAO1)を標的とする皮下投与用RNAi 治療薬である。 HAO1 はglycolic acid oxidase (GO)をコードしている。従って、HAO1 遺伝子の発現を阻害し、GO 酵素を枯渇させることによりlumasiran は、PH1 の病態生理に直接寄与する代謝物のシュウ酸塩の生成を阻害する。lumasiran は、Alnylam のEnhanced Stabilization Chemistry(ESC)-GalNAc-conjugate 技術を利用して効力と持久性を向上させ、皮下投与を可能にした。lumasiran は、小児と成人患者の尿中シュウ酸塩レベルを下げるためのPH1 の治療法として、FDA から、および全ての年齢層のPH1の治療についてEMA から製品名OXLUMO としてそれぞれ承認を受けている。
2. 第3 相ILLUMINATE-C 試験(NCT04152200)
本試験は、重度の腎機能障害(eGFR≤45mL/min / 1.73 m2 または12 カ月未満の患者の血清creatinine 上昇)を伴うすべての年齢のPH1 患者におけるlumasiran の安全性と有効性を評価する単一群の非盲検、多国籍、第3 相試験であり、世界10 カ国の13 施設で実施された。コホートA は、未だ透析を必要としない進行PH1の6 人の患者を登録、コホートB は、血液透析に依存する15 人の患者を登録した。投与レジメンは、体重に基づいており、毎月3 回の開始投与と、それに続く毎月または3 カ月ごとに継続投与が行われる。 コホートA の主要有効性評価項目は、ベースラインから6 カ月目までの血漿シュウ酸塩の変化率であり、コホートB の主要評価項目は、ベースラインから6カ月目までの透析前の血漿シュウ酸塩の変化率であった。主要副次評価項目は、血漿シュウ酸塩の追加測定値と尿中シュウ酸塩の変化を評価するように設計されている。腎機能、透析の頻度とモード、腎結石イベントの頻度、および臨床症状を含む全身性高シュウ酸尿症の測定値は、試験の延長期間中にも評価は継続される。
3. 試験結果
投与開始後6 カ月の時点で、lumasiran による治療により、透析非依存患者と透析依存患者の両方で、血漿シュウ酸塩がベースラインから大幅に減少した。6 カ月後の1次解析結果は、血液透析患者を含む進行性疾患患者(N = 21)において、ベースラインからの血漿シュウ酸塩の実質的な減少を示した。登録患者に死亡および薬物関連のSAE は認められなかった。試験の延長期間中にAEs のために2 件の治療中止があったが、何れも薬物との関連性は認められなかった。最も一般的な薬物関連のAEs(患者の10%以上に発生)は、5 人(23.8%)に報告された注射部位反応(ISR)であり、全て軽症であった。血漿シュウ酸塩の上昇は、シュウ酸塩の病態生理に直接関係しており、腎外組織にシュウ酸塩が全身に沈着し、骨折、心筋症、赤血球生成障害、視力喪失、皮膚潰瘍、その他の重篤な症状を引き起こす可能性がある。6 カ月治療後のlumasiran の安全性と忍容性のプロファイルは、すべての年齢層で好ましいものであり、最も一般的な有害事象(AEs)として、薬物関連の重篤な有害事象(SAEs)と注射部位反応(ISR)は認められていない。(完)
(主な出典:https://investors.alnylam.com/press-release?id=25891 他)