2021/07/23

BMS、OPDIVO 単剤のsorafenib 治療後の肝細胞癌の米国加速承認の効能を自主的取り下げ

7 月23 日、Bristol Myers Squibb(BMS)が、OPDIVO(nivolumab)の単剤療法による、sorafenib (NEXAVAR)治療後の肝細胞癌の効能の自主的取り下げについて声明を発表した。

1. BMS のステートメント

FDA と協議して、sorafenib(NEXAVAR)による前治療歴の有る肝細胞癌(HCC)患者に対するOPDIVO(nivolumab)の単剤療法の効能を自主的に米国市場から取り下げるという困難な決定を下した。この措置は、臨床上のベネフィットを確認試験で証明することが加速承認の市販後の要件であるが、これを満たしていない加速承認で取得したチェックポイント阻害剤の効能に対するFDA の業界全体にわたる評価に基づいている。この決定は、4 月開催のFDA 腫瘍薬諮問委員会(ODAC)における審議結果と、その後のFDA との協議が含まれる。HCC に対するOPDIVO の治療はYERVOY との併用療法が生きている。

2. OPDIVO のHCC 効能の経緯

本効能のsBLA は、2017 年3 月24 日に申請され、同年9月22 日に迅速承認プログラムの下で加速承認され、この設定での使用が承認された最初の免疫療法剤になった。加速承認の要件として確認臨床試験の完了が2019 年12 月、最終報告書の提出が2020 年9 月に設定された。加速承認は、第1/2 相CheckMate-040 試験における奏効率に基づいていた。1 次療法の設定でOPDIVO vs. sorafenib による無作為化確認試験としてCheckMate-459 試験を実施したが、事前に指定された主要評価項目の分析による全生存期間が統計的有意差を示すことが出来なかった。

参考 CheckMate-459 試験結果概要

本試験において、OPDIVO は予め計画された解析で、主要評価項目の全生存期間(OS)に対して統計学的に有意差を示せなかった [ハザード比(HR)= 0.85、95%CI:0.72-1.02、p=0.0752]。OPDIVO 群で新たな安全性シグナルは認められなかった。今後、本試験の詳細な結果を学会で発表する予定。CheckMate -459 試験において、OPDIVO は、予め計画された主要評価項目を達成できなかったが、今回の結果は現在の標準治療薬であるsorafenib と比較して、OPDIVO 群で OS において明確な改善傾向を示した。

参考 2021 年4 月開催の腫瘍薬諮問委員会(ODAC)による審議結果

FDA は、抗腫瘍薬における加速承認による効能に関する確認試験で、臨床上のベネフィットの検証に失敗している抗PD-1/PD-L1 抗体薬について、業界全体における審査の一環として、4 月27 日~29 日にかけて、腫瘍薬諮問委員会(ODAC)を開催して、承認の維持の可否について、OPDIVO の前治療歴の有る肝細胞癌(HCC)の患者に対する単剤療法の効能に関する審議を行った。審議の結果、本効能の承認の維持は5 票対4 票で否決された。

3. BMS 上級副社長、オンコロジー開発のヘッドJonathan Cheng 氏のコメント

「我々は、sorafenib の治療歴の有るHCC の治療薬としてのOPDIVO の単剤療法の継続的な承認に関して、ODAC とFDA が取った選択に失望している。HCC は複雑で困難な疾患であり、最初にsorafenib の治療を受け、治療に不耐か、病勢進行した患者にとって、癌免疫療法は重要な治療選択肢である。過去3 年半の間、OPDIVO の単剤療法は、医師がこのニーズに対処するために依存してきた重要な選択肢であり、現在、sorafenib 投与後の設定で最も一般的に使用されている治療法である。OPDIVO は、HCC 患者の治療法として全く新しい方法の先駆けとなった」と述べた。(完)