FDA 抗菌薬諮問委員会(AMDAC)は、移植後の成人患者における既存の抗サイトメガロウイルス (CMV)療法であるガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット又はシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性を示す難治性CMV感染症治療薬として、武田薬品が開発中のTAK-620(maribavir)の承認勧告を全会一致で採択し、また移植後の成人患者における遺伝子型抵抗性の無い難治性CMV 感染症に対する治療薬としても全会一致で承認勧告を採択した。両勧告は、第2相臨床試験および第3相TAK-620-303(SOLSTICE)試験の結果に基づいている。
maribavir は、UL97 プロテインキナーゼ とその天然基質を標的とする、経口投与可能な抗CMV 化合物である。現在、固形臓器移植(SOT)、または造血幹細胞移植(HCT)の両移植後のCMV 感染成人患者の治療薬として第3相臨床試験が実施されている唯一の抗ウイルス薬である。
EC から細胞性免疫障害を有する患者のCMV 感染症治療薬として、また、FDA から臨床的に重篤なCMV 血症およびCMV 感染症リスクの高い患者の治療薬として、希少病薬に指定されている。FDA は、CMV 感染およびCMV 感染症を有し、既存の治療に抵抗性を有するまたは難治性の成人移植患者の治療薬として、maribavir をBreakthrough Therapy に指定(BTD)している。最近では、FDA が、成人患者における移植後の既存の抗CMV療法に難治性/抵抗性のCMV感染に対する治療薬として、maribavirを優先審査に指定した。