11 月22 日、Biogen Inc.とエーザイが共同開発中のAlzheimer 病(AD)治療薬aducanumab の2本の第3 相試験EMERGE 試験およびENGAGE 試験の統合解析で、amyloid 関連画像異常(ARIA)が約40%の高率で発現していた結果がJAMA Neurol.誌に掲載された(JAMA Neurol.Published online November 22, 2021. doi:10.1001/jama neurol. 2021.4161)。
1. 統合解析からの知見
合計3,285 人の被験者を含む2 本の第3 相臨床試験(EMERGE 及びENGAGE)の統合安全性データセットにおいて、aducanumab 10 mg/kg の統合グループ(n =1,029)のうち425 人(41.3%)がARIA を経験した。これらのうち、ARIA 浮腫は362 人の患者(35.2%)に発生し、これらの患者の94 人(26.0%)は関連する症状(例えば、頭痛、錯乱、めまい、及び悪心)を経験した。また、ARIA-微小出血及びARIA-脳表ヘモジデリン沈着症は、それぞれ197 人の患者(19.1%)および151 人の患者(14.7%)に発生した。
2. 背景
aducanumab のEMERGE 及びENGAGE の第3 相無作為化臨床試験は、AD 又は軽度AD 認知症による軽度認知障害患者において、amyloid-β(Aβ)を標的とするmAb のaducanumab による治療で発生する、ARIA を特徴付ける確たるデータセットを提示した。
3. 目的
EMERGE及びENGAGEで発生したARIAのX線写真及び臨床的特徴を説明する。
4. 試験デザイン
20 カ国、348 施設における、2 本の二重盲検、placebo 対照、並行群間、第3 相無作為化臨床試験で、低用量及び高用量のaducanumab の治療をplacebo と比較したEMERGE 及びENGAGE 試験データの二次解析。統合解析は、placebo 対照期間中にplacebo(n= 1,087)又はaducanumab(n = 2,198;合計2,752 人年の曝露)を1 回以上投与された合計3.285 人のAD 患者データである。被験者は、4 週に1 回、高用量又は低用量の静脈内aducanumab 投与またはplacebo 投与のために1:1:1 に無作為に割り付けられた。
5. 結果
合計3,285 人のうち、2,661 人(81%)がAD による軽度の認知障害があり、1,777 人(54%)はAD の対症療法を使用していた。特に記載の無い限り、全て10 mg / kg 投与群の分析結果である。placebo 対照期間中に、1,029 人中425 人(41.3%)がARIA を経験し、14 人(1.4%)に重篤な症例が発生した。ARIA 浮腫(ARIA-E)が最も一般的な有害事象 [1029 件中362 件(35.2%)]であり、aducanumab の最初の8 回投与中に263 件の最初の有害事象(72.7%)が発生した。94 人(26.0%)が症候性であった。症候性ARIA-E 又はARIA-H の103 人に共通する関連症状は、頭痛[48(46.6%)]、錯乱[15(14.6%)]、めまい[11 (10.7%)]及び悪心[8 (7.8%)]であった。ARIAE発生率は、apolipoprotein Eε4 対立遺伝子carriers であるaducanumab 治療群で最も高かった。ARIA-E の殆ど [488 件中479 件(98.2%)]は、X 線写真で診断され、 488 件中404 件(82.8%)が16 週以内に解消した。placebo 群は、1,076 人中29 人(2.7%)がARIA-E を発症 [apolipoprotein Eε4 carriers:742 人中16 人(2.2%)、non-carriers;334 人中13 人(3.9%)]。ARIA-微小出血及びARIA-脳表ヘモジデリン沈着症は、それぞれ197 人(19.1%)及び151 人(14.7%)に発生した。
6. 結論
EMERGE 及びENGAGE の統合安全性データセットは、10 mg / kg 群で最も一般的な有害事象はARIA-E であった。これは、10 mg / kg 群の1,029 人のうち362 人(35.2%)に発生し、ベースライン後のMRI スキャンが少なくとも1 回行われ、94 人(26.0%)が関連する症状を経験した。最も多い関連症状は頭痛であった。(完)
(主な出典:https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2786606他)