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2022/04/01

海外製薬産業ニュース:2022年3月

ブリストルマイヤーズ・スクイブが開発した世界初のLAG-3阻害薬が転移性メラノーマを適応症としてオプジーボとの併用で承認された。ノバルティスは2018年に承認されたルタセラ(NET、すい臓神経内分泌腫瘍)に次ぐ標的放射性リガンド療法として転移性前立腺がん治療薬プルビクトのFDA承認を取得した。

追加承認では成長著しいJAK阻害薬リンボックに承認された潰瘍性大腸炎が注目される。同じ適応症で最終の申請用P3段階にあるファイザーのS1P阻害薬エトラシモドが12週間投与と52週間投与でいずれも主要評価項目とした臨床的寛解を達成した。前月(2月)にはリリーの抗IL-23抗体ミリキズマブが4週間投与で28%、12週間投与で45%の症状寛解率を報告している。S1P阻害薬は昨年(2021年)5月にブリストルマイヤーズ・スクイブのゼポシア(オザニモド)が多発性硬化症(2020年)についで潰瘍性大腸炎に承認されている。

その他の臨床試験ではバーテックスの選択的 NaV1.8阻害薬 VX-548の概念実証(POC)試験が成功した。一方、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)でメルクとアストラゼネカが提携するキイトルーダとリンパルザの併用試験は失敗した。ビジネス関連ではメルクの最高医療責任者(CMO)の引退が発表された。C5抗体に関する特許係争が和解し、アストラゼネカは中外製薬に930億円を支払う。

2021/12/22

タケダ薬品TAK-721(好酸球性食道炎)にFDAがCRLを発行

 以下、会社リリースを転記します。

好酸球性食道炎の治療におけるTAK-721に対するFDAからの審査完了報告通知の受領について

2021年12月22日

当社は、このたび、食道の慢性炎症性疾患である 好酸球性食道炎(EoE)の治療におけるTAK-721(一般名:ブデソニド経口懸濁液)の新薬承認申請(NDA)に対し、米国食品医薬品局(FDA)から審査完了報告通知(Complete Response Letter :CRL)を受領しましたのでお知らせします。

審査完了報告通知によると、FDAはTAK-721 のNDA審査を完了し、現状では承認できないと判断しました。また、FDAは指摘内容を解決するために追加の臨床試験を推奨しています。

当社のU.S. ビジネスユニット プレジデント & グローバル ポートフォリオ コマーシャライゼーション プレジデントのラモナ・セケイラ(Ramona Sequeira)は、「TAK-721に関するFDAの審査結果を遺憾に思います。好酸球性食道炎の患者さんにとってFDAが安全性と有効性を認めた治療の選択肢が無いままとなってしまいます。当社は、審査完了報告通知の内容を精査し、今後の申請対応を検討します」と述べています。

 

<TAK-721(ブデソニド経口懸濁液)について>

TAK-721(一般名:ブデソニド経口懸濁液)は、好酸球性食道炎の治療薬として製剤化された、ブデソニドの粘膜付着性の局所経口粘性製剤です。シャイアー社の買収により、当社のパイプラインに加わりました。


(参考)PAR Library

TakedaEosinophilic esophagitis (EoE)

2021/08/18

EC、first-in-class EVRENZO(roxadustat)を慢性腎臓病症候性貧血の成人患者の治療用に承認

8 月18 日、アステラス製薬とFibroGen, Inc.(FibroGen)は、本日、EC が、慢性腎臓病(CKD)に関連する症候性貧血の成人患者の治療に、EVRENZO(roxadustat)を承認したと発表した。roxadustat は、EU で慢性腎臓病に関連する貧血の成人患者に利用可能な最初の経口投与による低酸素誘導因子(HIF) prolyl hydroxylase(PH)阻害剤である。

1. roxadustat

EU で利用可能になった最初の経口投与のHIF-PH 阻害剤である。本品は、通常静脈内に鉄分と同時注射可能であり、赤血球生成促進剤(ESA)とは異なる作用機序により、hemoglobin(Hb)レベルを増加させる。roxadustat は、HIF-PH 阻害剤として、血中の酸素レベルの低下に対する身体の自然な反応を活性化する。この反応には、静脈内の鉄の使用を減らして貧血を管理できるようにする、複数の調整されたプロセスの制御が含まれる。

2. 販売承認

20、50、70、100 & 150 mg のフィルムコート錠により、CKD に伴って発現する症候性貧血の成人患者の治療である。1 日間隔を置き、週3 回経口投与する。投与量は、hemoglobin の目標レベルを10〜12 g / dL として、このレベルを達成し、維持するために必要な用量を個別に設定する。

3. 根拠とした臨床試験データの安全性評価


EU の製品特性概要(SmPC)記載の安全性データ(上表)では、上段に示したroxadustat の安全性をESA との比較で評価したと思われるが、下段のplacebo 対照との比較のみでは、EC 承認の安全性の根拠がどこにあるか不明となる。(完)

(主な出典:https://www.astellas.com/jp/ja/news/24231 他)

2021/08/11

FDA、FibroGen の慢性腎臓病の貧血治療薬候補roxadustat のNDA に対してCRL を発行

8 月11 日、FibroGen, Inc. (FibroGen)は、本日、FDA が、慢性腎臓病(CKD)患者の貧血の治療薬としてのroxadustat のNDA に対して審査完了通知(CRL)を発行したと発表した。CRL には、FDA としては、現在のデータではroxadustat のNDA を承認することはできない。再提出するには、追加の臨床試験を要求している。この結論は以下に示す7 月15 日開催の心血管系・腎臓病薬諮問委員会(CRDAC)の審議結果を反映しての決定と思われる。

1. 米国外の許認可状況

roxadustat は、中国、日本、チリ、韓国で非透析依存性(NDD)、及び透析依存性(DD)成人患者の双方におけるCKD の貧血の治療薬として承認されており、EUのEMA のCHMP から承認勧告を受け、8 月18 日にEC から承認を取得している。同一申請内容でありながら、欧米での規制当局間で異なる評価による意思決定が行われたことになるが、その例を参考例として下記に示す。

2. CRDACの慢性腎臓病の貧血治療薬候補roxadustat のNDAの審議結果

去る7 月15 日、FibroGen は、本日、FDA の心血管系・腎臓病薬諮問委員会(CRDAC)が、同社が申請した、経口低酸素誘導因子prolyl hydroxylase(HIF-PH)阻害薬roxadustat の、成人患者の慢性腎臓病(CKD)による貧血の治療を効能とするNDA を審議し、採決の結果、承認却下を勧告したと発表した。

3. CRDAC 審議結果

諮問委員会は、8,000 人以上の患者を対象としたグローバル第3 相試験プログラムのデータに基づいて以下の勧告を行った。諮問委員会では、透析依存患者と非透析依存患者の双方における薬剤の安全性と有効性のプロファイルの評価に加えて、臨床試験プログラムの登録基準、潜在的な市販後調査プログラムなどについても審議した。

1) 非透析依存性患者(NDD);委員会パネルは 透析を受けていないNDD の慢性腎臓病に伴った貧血の治療薬としての承認に、13 対1 で承認却下を採択した。企業が提出した安全性データの全体について懸念を表明し、薬剤の心臓の安全性プロファイルについてさらに評価を深めるために、パートナー(AstraZeneca)が提案した市販後調査については確信が持てないと判断した(注Adjudicated;裁定された、確定診断の意、OT はOn-Treatment)。

2) 透析依存性患者(DD);諮問委員会は、透析を受けている患者対する貧血治療薬としての承認に安全性の懸念から、12 対2 で承認却下を採択した。

参考 FDA 承認の遅れ: 上記のように、8 月18 日にアステラス製薬は、FibroGen,と共同で開発中のEVRENZO(roxadustat)に関して、成人のCKD に伴う症候性貧血の治療薬として、EC から販売承認を取得し、FDA の意思決定とは決定的な相違となった。最近のEC 承認から遅れるFDA 承認審査の例を下表に示す。安全性での欧米での視点の相違が見て取れる。


2021/03/25

高リスク早期トリプルネガティブ乳癌に対する KEYTRUDA の sBLA に CRL 発行

3 月 29 日、Merck/MSD は、本日、FDA が、Merck が申請していた抗 PD-1 抗体 KEYTRUDA (pembrolizumab)の“高リスクの早期トリプルネガティブ乳癌(TNBC)の患者の治療法として、 neoadjuvant(術前)療法としての化学療法の併用療法、術後の adjuvant 療法(術後)として単剤療 法により継続する”との sBLA に対して、審査完了通知(CRL)を発行したと発表した。

Merck は CRL の内容を検討して、FDA と次のステップについて協議することを予定している。

 1. 本 sBLA の背景:本 sBLA の承認申請は、第 3 相 KEYNOTE-522 試験における 2 つの主 要評価項目の病理学的完全奏効(pCR)データと、早期の中間解析による無イベント生存期間 (EFS)に基づいている。当該第 3 相試験は EFS を評価するために継続している。本 sBLA 申 請に対する処方薬ユーザーフィ法(PDUFA)の審査のゴールを前にして、2 月 9 日に開催され た FDA の腫瘍薬諮問委員会(ODAC)は、審議の結果、KEYNOTE-522 からさらにデータが入 手できるまで承認に関わる意思決定を延期すべきとの見解を 10-0 で採択していた。次の中間 解析は、2021 年第 3 四半期に実施される予定である。

2020/07/08

PD-1阻害薬と抗VEGF薬の併用による肝細胞がん治療

07/08 MRK Eisai TKI Combination
  • Merck and Eisai Receive Complete Response Letter for KEYTRUDA® (pembrolizumab) plus LENVIMA® (lenvatinib) Combination as First-Line Treatment for Unresectable Hepatocellular Carcinoma
メルクとエーザイが共同開発していたPD-1阻害薬キートルーダと抗VEGF薬レンビマの併用による切除不能・肝細胞がん一次治療の承認申請に対してFDAは審査終了通知を発行した。理由は加速承認に必要とされる既存治療を上回る臨床成績の要件が満たされなくなったということであった。ロシュのテセントリクがアバスチンとの併用で全生存期間の延長を証明し、6月に追加承認を取得したことが背景となっているようだ。

2019/12/31

オプジーボ+ヤーボイによる進行非小細胞肺癌の1 次療法のEU 販売承認申請を取り下げ

ブリストル・マイヤーズ スクイブ (BMS)は、CheckMate-227 試験のデータに基づいて、進行性非小細胞肺癌(NSCLC)を対象としたオプジーボ(一般名:ニボルマブ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ)の併用療法について、欧州連合(EU)における販売承認申請を取り下げた。EMA のヒト用医薬品委員会(CHMP)は、患者レベルのデータの完全性については認めつつも、急速に進展するサイエンスとデータに対応するために、BMS が行ったプロトコルの複数の改訂に関して、本申請の完全な評価は困難と判断した。BMS は、EU で本申請を再提出する予定は無い。
一方、FDAは、1月15日にEGFR やALK 遺伝子変異陰性の進行または再発の非小細胞肺癌(NSCLC)患者の1 次療法として、オプジーボ+ヤーボイ併用療法の生物薬品承認の一部変更申請(sBLA)を優先審査の対象として受理した。FDA は、処方箋薬ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく、本申請の審査終了の目標期日を2020 年5 月15 日に設定した。

2017/04/14

JAK阻害剤の関節リウマチ治療薬baricitinib に対してFDAがCRLを発行

イーライリリーと共同開発パートナーのIncyte Corp.(Incyte)が提出していた新薬承認申請(NDA)に対してFDAは非承認とする審査終了通知(CRL)を発行した。FDAは追加の臨床試験を実施して用量設定をやり直し、さらに使用する用量群毎に安全性の懸念を明確化する必要があると述べている。認可・発売にはかなりの遅れが生じるものと考えられる。リリーは中等度から重度の関節リウマチ(RA)に対し1 日1 回経口投与で申請していた。欧州ではすでに、2016 年2 月に欧州医薬品庁(EMA) に提出した販売承認申請(MAA)が2017 年2 月13 日に承認され、推奨用量は一日一回4 mg(QD)となっている。
(参考)JAK阻害剤として最も先行しているノバルティスのJAKAVIは骨髄線維症治療薬として2011年11月に米国、2012年4月に欧州で承認された。欧米、ほぼ同時の承認だったが市場が大きい関節リウマチでは承認されていない。ファイザーのJAK阻害剤ゼルヤンツは抗リウマチ薬として2012年に米国で承認された。しかし、欧州では5年遅れて3月に承認されたばかりである。リリーとファイザーはどちらも米国企業であるが、米国で順調だったファイザーは欧州で難航、反対に欧州で順調だったリリーは米国で難航しそうである。

2012/06/25

ファクターXa阻害剤の開発競争:ELIQUISの新薬申請、XARELTOのACS追加申請はともに承認見送り [6/25、6/21]

ファクターXa阻害剤ELIQUISに対するFDAのCRLが報じられたが、ブリストルマイヤーズ・スクイブ(BMS)社の株価は微増、株式市場の反応は冷静だった。会社側からは、FDAが問題としたのはSPAF(Stroke Prevention in Atrial Fibrillation、心房細動患者の脳卒中予防)を対象とした大規模臨床試験アリストテレスのデータ管理の詳細で、新たな臨床試験は不要との説明。だが審査期限を3ヵ月延長した上でのCRLからは安全性問題に神経質となっているFDAの様子が伺える。トップを走るバイエルのXARELTOはまず「整形外科手術によるDVT(深部静脈血栓症)抑制」で承認取得、昨年11 月に本命のSPAF効能を追加した。続いて追加申請したACS(Acute Coronary Syndrome、急性冠症候群)は今回非承認となり申請を取り下げた。