OAK試験はTECENTRIQの有効性および安全性について化学療法と比較した、オープンラベルの第3相臨床試験である。主要評価項目(OS)のほかに、副次評価項目とした奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、奏効期間(DOR)などのエンドポイントも達成した。登録患者1,225例は対照薬ドセタキセルと1:1で割り付けられた。全生存期間(OS)の延長は、PD-L1の発現状況にかかわらず認められた。
PD-L1は、T細胞の表面上に発現しているPD-1、B7.1の双方と相互作用することにより、T細胞の働きを阻害する。TECENTRIQがこの相互作用を遮断し阻害することにより、T細胞が活性化され、癌細胞を効率的に検出して攻撃する能力を取り戻すことが可能になる。PDL1発現は、ロッシュの診断薬部門が開発したSP142抗体をベースにした免疫組織化学染色法(IHC)を用い、腫瘍細胞と腫瘍浸潤免疫細胞の両方で評価された。
参考:
すでに承認されていた非小細胞肺がん(NSCLC)での有効性の証明に失敗したと発表(8月5日)されたBMS/小野薬品のPD-1阻害剤オプジーボはPD-L1発現5%以上の患者を対象としていた。その後(9月7日)、非小細胞肺がんの効能追加試験に成功し、FDAがブレークスルー治療指定(BTD)を賦与したメルクのPD-1阻害剤キートルーダは対象をPD-L1発現50%以上の患者に絞り込んでいた。ロシュのTECENTRIQはPD-L1の発現状況にかかわらずOSを延長している点が注目されるものの対照薬は白金錯体化合物ではなくタキソテールであった。FDAは「PD-L1陽性の非小細胞肺がん」治療薬としてBTDを賦与し、適応症追加の承認申請は優先審査とされた。審査期日は10月19日。