お知らせ

2019/12/08

抗BCMA・CD38 二重特異性CAR T 細胞療法、多発性骨髄腫に対する第1 相用量漸増試験

フロリダ 州オーランドで開催中の米国血液学会(ASH2019)年次総会で、中国武漢市、華中科技大学同済医大病院血液学研究所および同武漢市のCellyan Therapeutics Co., Ltd.の研究者からなる共同研究グループが、再発・難治性(R/R)多発性骨髄腫患者に対する抗BCMA/ CD38 二重特異性CAR T 細胞療法の第1 相用量漸増試験結果を口頭発表した。
抗B 細胞成熟抗原(BCMA)キメラ抗原受容体(CAR)T 細胞療法は、一連の臨床試験から有望な結果が得られている。しかし、MM のBCMA 陰性又は陽性の再発による無増悪生存期間(PFS)が短期であることが当面の課題である。今回、演者らは、直列に4-1BB 共刺激ドメインおよびCD3ζドメインに抗CD38 および抗BCMA の単一鎖の可変フラグメントを組み込んだ二重標的のBM38 CAR を構築し、BM38 T 細胞の安全性、有効性、及び持続期間を評価すべくR/RMM 患者を対象にヒトでの最初の臨床試験(ChiCTR1800018143)を実施した。
遺伝子異常のある10 人(62.5%)と髄外病変を伴う5 人等(31.25%)合計16 人が、5 用量の漸増コホートでBM38 CAR-T 細胞を投与された。追跡期間中央値は36 週間、用量制限毒性(DLT)、及びグレード(GR)≧3 の神経系毒性は観察されなかった。主にGR 1〜2 のサイトカイン放出症候群(CRS)は、16 人中10 人(62.5%)に報告された。14 人(87.5%)が寛解を達成し、8 人(50%)が「厳格な完全寛解」(sCR)、2 人(12.5%)が「非常に良好な部分寛解」(VGPR)、4 人(25%)が部分寛解(PR)および14 人(87.5%)が骨髄内微小残存病変(MRD)の陰性を達成した。sCR の最長期間は51 週間を超え、8 人中5 人(62.5%)がsCR を維持しており、2 人がVGPR に、1 人がPR に移行した。無増悪生存期間(PFS)の中央値は未達で。 9 カ月の時点のPFS 率は75%であった。5 人(100%)の髄外病変が消失した。 本年7 月末で、BM38 CAR-T 細胞は、フローサイトメトリー(FCM)、およびq-PCR で、患者の末梢血にまだ生存していることが確認された。sCR 患者のCAR-T 細胞増殖のピーク時間は、注入後約2 週間であり他の患者よりも早かった。4.0×106 CAR T 細胞(患者11、12、及び15)は、優れた有効性と許容される毒性を備えた最適用量で選択され、拡張コホートが実施される。