アステラス製薬は、子会社Universal Cells, Inc.(Universal Cells)を通じて、癌領域の細胞医療製品の開発に特化したAdaptimmune Therapeutics plc.(Adaptimmune)と、癌患者を対象にした新たな多能性幹細胞由来の他家T 細胞療法の共同開発・商業化に関する契約を締結した。
Adaptimmune は、以前から、多能性幹細胞からT 細胞を分化誘導させる独自の技術を開発している。Universal Cells とAdaptimmune は、2015 年、T 細胞領域におけるユニバーサルドナー細胞に関する独占的ライセンス契約を締結し、共同で遺伝子編集TCR‐T 細胞医療の研究を推進してきた。今回の契約は、既存の共同研究を拡大する契約内容である。
両社は、本契約に基づき最大3 つの標的分子に対して、特異的に作用する新しいT 細胞療法候補を共同開発する。この共同開発では、Adaptimmune が確立した、あるいは開発中の、特定の癌抗原とヒト白血球型抗原(HLA)の複合体を認識する親和性を向上させたT 細胞受容体(TCR)、癌細胞のHLA 型に関わらず特定の癌抗原を認識するHLA 非依存TCR ( HLA-independent TCR:HiT )、および特定の癌抗原を認識するCAR の同定・検証能力の他、フィーダー細胞を使用せずに多能性幹細胞からT 細胞を分化誘導する技術を活用する。アステラス製薬は、これらと、Universal Cell ドナー細胞と遺伝子編集技術を組み合わせることで、免疫拒絶を抑えた革新的な他家T 細胞製品の創製、開発ができると期待している。