AstraZeneca とMerck & Co., Inc.(Merck)は、LYNPARZA(olaparib)を評価する第3 相OlympiA 試験について、独立データ監視委員会(IDMC)の勧告を受け、早期の主要解析および報告の段階に移行すると発表した。
1. 中間解析結果評価:事前に計画された中間解析結果に基づいて、IDMC は、根治的局所治療および術前補助化学療法または術後補助化学療法を完了した生殖細胞系BRCA 変異(gBRCAm)陽性の高リスクHER2(ヒト上皮成長因子受容体2)陰性早期乳癌に対する術後補助療法において、LYNPARZA が主要評価項目の無浸潤疾患生存期間(iDFS)についてplacebo と比較して優越性を示したと結論づけた。
2. 第3 相OlympiA 試験: Breast International Group(BIG)、NRG Oncology、U.S. National Cancer Institute(NCI)、Frontier Science & Technology Research Foundation(FSTRF)、AstraZeneca、Merck のパートナーシップにより実施している。治験依頼者は米国ではNRG Oncology、その他の国ではAstraZeneca である。
本試験は、gBRCAm 陽性の高リスクHER2 陰性早期乳癌で、根治的局所治療および術前補助化学療法または術後補助化学療法を完了した患者を対象に、術後補助療法としてのLYNPARZA 錠の有効性および安全性をplacebo と比較検討する、二重盲検、並行群間比較、placebo 対照、多施設共同、第3 相試験である。本試験の主要評価項目はiDFS で、無作為割り付けから最初の治療無効(局所領域再発、遠隔転移再発、新たな癌の発生、または原因を問わない死亡までの時間と定義されている。
3. BIG:Belgium、Brussels に拠点を置く、乳癌学術研究グループのための国際非営利団体。1999 年に、欧州の主要オピニオンリーダー達によって、乳癌研究がばらばらに進められている欧州の状況を改善するために設立され、現在では6 大陸約70 カ国の専門病院、研究センター、主要な専門家など55 以上の研究グループが結集したネットワーク。BIG の研究は、「BIG against breast cancer」として知られている、慈善事業の支援を一部受けている。
4. FSTRF:研究ネットワークや製薬会社、試験責任医師が科学的に意義のある質の高い臨床試験を実施できるように支援する非営利研究機関。OlympiA 試験には、米国の研究スタッフとScotland にある関連拠点の研究スタッフが参加した。FSTRF は世界中の800 を超える研究所、大学、医療センターの科学者や技術者と協力して、デザインや解析、報告など、臨床試験のプロセス全体にわたって包括的な研究サービスを提供している。この取り組みにより、FSTRF は、科学、医療、教育分野における統計科学とその実践、データマネジメント技術の応用を前進させることを目指している。
5. NRG Oncology:NIH 傘下のNCI の資金で活動するネットワークグループ。NCI が資金を提供するすべてのネットワークグループがこの試験に参加した。NCI とAstraZeneca は共同研究開発契約を締結して協業している。NRG Oncology は、National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project、Radiation Therapy Oncology Group、Gynaecologic Oncology Group が一体となり、多施設共同臨床研究や橋渡し研究によって治療を変革し、癌患者の生活を向上させることを使命としている。