お知らせ

2021/03/31

FDA、多発性骨髄腫に対するSARCLISA + carfilzomib+dexamethasone との併用を追加承認

 3 月31 日、Sanofi は、FDA が、1~3 レジメンの前治療歴のある再発又は難治性多発性骨髄腫(r/rMM)の成人患者に対して標準療法のcarfilzomib + dexamethasone との併用療法として抗CD38 抗薬SARCLISA (isatuximab)を追加承認したと発表した。今回の承認は、SARCLISAに対するFDA の承認としては2020 年3 月の初回承認に続いて2 回目の承認になる。

1. 関係者のコメント:

1) California 大学San Francisco(UCSF)医学部、 骨髄腫プログラム副部長、成人白血病骨髄移植プログラム担当、Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center共同リーダーProfessor Dr. Thomas G. Martin;「第3 相IKEMA 試験で、SARCLISA をcarfilzomib+ dexamethasone 併用療法に追加投与したところ、病勢進行または死亡のリスクが45%低下した。今回の承認は、再発患者にとって重要な進歩であり、SARCLISA が、r/rMM の標準療法になる可能性がさらに高まることになった。」と述べている。

2) Sanofi Oncology & Pediatric Innovation のグローバル開発のヘッドDr. Peter C. Adamson;「r/rMM 患者の治療は依然として難しく、何度も再発をくりかえした患者の予後は不良である。今回の承認により、SARCLISA は、1 回目の再発時からMM患者の治療薬として2 種類の標準療法レジメンと併用できる医薬品となった。本日のマイルストン達成は、SARCLISAをr/rMM 患者に選ばれる抗CD38 抗体治療薬にしたいという当社の目標に向けたさらなる一歩になった。」と述べている。

2. 承認の根拠にした臨床試験デザインと有効性:無作為化、多施設共同、非盲検、第3 相IKEMA 試験のデータに基づいている。本試験は、16 カ国69 施設で治療を受けているr/rMM患者302 人を対象に実施された。この試験では、SARCLISA をMM の標準療法であるcarfilzomib + dexamethasone 併用療法(Kd)に上乗せ投与した患者群(SARCLISA 併用群)はKd のみを投与群に比べ、病勢進行または死亡のリスクが45%低下した [ハザード比(HR)=0.548;95% CI;0.366-0.822; p=0.0032]。試験プロトコルで設定した中間解析時の主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は、SARCLISA 併用群では中央値に到達していなかった。試験には、高齢者、細胞遺伝学的リスクが高い患者、腎機能障害のある患者など、治療の難しい患者も参加したが、2 群間のベースライン時点の患者背景に偏りはなかった。副次評価項目は、SARCLISA 併用群とKd 群の奏効率(ORR)の比較で、完全奏効率(CR)や 最良部分奏効率(VGPR)についても比較した。ORR には有意差が無く、SARCLISA 併用群86.6%、Kd 群82.9%であった(p=0.3859)。CR はSARCLISA 併用群39.7%、Kd 群27.6%であった。VGPR 率は、SARCLISA 併用群33%、Kd 群28.5%であった。中間解析の全生存期間(OS)は未達であった。

3. 安全性:

SARCLISA 併用群で発現率が高かった副作用(グレードの別なく患者の 20%以上にみられた有害事象、以下SARCLISA 併用群 vs. Kd 群)は、上気道感染(67% vs. 57%)、Infusion 反応(46% vs. 3.3%)、疲労(42% vs. 32%)、高血圧(37% vs. 32%)、下痢(36% vs.29%)、肺炎(36% vs. 30%)、呼吸困難(29% vs. 24%)、気管支炎(24% vs. 13%)および咳嗽(23% vs. 15%)であった。SARCLISA 併用群の5%以上に現れた重篤な副作用は、肺炎(25%)と上気道感染(9%)であった。SARCLISA 併用群では、8%が副作用(グレード1~4)により治療を中止、患者の2.8%は感染症のため治療を中止した。