6 月16 日、mRNA をベースに新たなクラスの形質転換薬を開発している臨床段階のバイオ医薬品企業CureVac は、同社の第1 世代COVID-19 vaccine 候補CVnCoV について、約40,000 人の被験者を対象にした国際的なピボタル第2b/3 相HERALD 試験の2 回目の中間解析結果を発表した。
1. CVnCoV
CureVac は、2020 年1 月にmRNA ベースのCOVID-19 vaccine 候補の開発を開始した。最初の臨床開発用に選択されたvaccine 候補CVnCoV は、最適化された非化学修飾により、SARS- CoV-2 virus の融合前の安定化した完全長のスパイクタンパク質をコードしたmRNA を脂質ナノ粒子(LNP)内に埋め込んで製剤化されている。CVnCoV の第1 相臨床試験および第/2a 相臨床試験は、それぞれ2020 年6 月および9 月に開始された。2020 年11 月に報告された第1 相中間解析データは、CVnCoV が一般に全ての被験用量にわたって十分な忍容性が示され、T 細胞活性化の最初の兆候に加えて強い抗体反応を誘発したことを示した。2020 年12 月に12 μg のCVnCoV を使用したピボタル第2b / 3 相HERALD 試験が開始された。2021 年2 月、CureVac はEMA にCVnCoV のrolling 申請を開始した。
2. 中間解析結果概要
中間解析で評価された患者集団のサブセットについて、前例のない状況で流行している少なくとも13 の変異株に対して、CVnCoV はあらゆる重症度を含むCOVID-19 に対する中間解析で、vaccine 有効率として47%という結果を得たが、事前に規定された統計的成功基準を満たしていなかった。初回の解析結果は、有効性は対象とする患者の年齢と感染株への依存性を示唆していた。入手可能な全てのデータは、欧州医薬品庁(EMA)と共有し、データ安全監視委員会(DSMB)は、CVnCoV の良好な安全性プロファイルを確認した。臨床試験は、最終分析まで継続されており、データ全体は最も適切な審査方式で審査される予定である(中央審査方式による条件付承認または加速承認、または標準承認)。
3. 中間解析結果
合計で134 のCovid-19 症例が評価された。これらの症例のうち、124 例について、感染を引き起こしている変異株を特定するために遺伝子解析に供した。結果は1 例だけが元のSARS-CoV-2 virus に起因することが確認された。症例の半数以上(57%)は、懸念される変異株(α~δ株)が原因であった。残りの症例のほとんどは、ペルーで最初に特定されたλ、C.37(21%)、及びコロンビアで最初に特定されたB.1.621(7%)など、あまり特徴づけられていない他の亜種が原因であった。これに関連して、中間解析結果は若い被験者に対して有効性を示唆しているが、60 歳を超える年齢層における有効性について結論することはできなかった。南米におけるCOVID-19 は多数の変異株の混合流行のように思われる。
4. CureVac CEO Dr. Franz Werner Haas のコメント
「より強力な中間結果を期待していたが、この前例のない幅広い変異株群に高い有性を示すことは困難であるこはと認識している。少なくとも80 の追加症例を含む最終解析に向けて試験を継続しており、vaccine の有効性が変わる可能性がある。さらに、新たな変異株に対する次世代vaccine の開発の必要性が強調されている」と述べている。(完)
(主な出典:https://www.curevac.com/wp-content/uploads/2021/06/20210616_PR-CV_Update-on-Phase-2b-3-Clinical-Trial-HERALD_Final.pdf他)