6 月28 日、Sanofi は、AstraZeneca と共同開発中のnirsevimab の第2/3 相MEDLEY 試験で得られた肯定的なトップライン結果より、生後初めてRS virus 流行期を迎える早期産児、および慢性肺疾患(CLD)または先天性心疾患(CHD)の乳幼児に投与することにより、palivizumab(SYNAGIS)と同様の安全性と忍容性が示されたと発表した。安全性と忍容性の評価は、臨床試験治療下で発現した有害事象(TEAEs)と、試験治療下で発現した重篤な有害事象(TESAEs)の発現状況に基づいて実施した。
1. RS virus
一般的な伝染性のあるvirus で、気道に感染する。全世界では数百万人の乳児が入院を余儀なくされており、1 歳未満の乳児の細気管支炎と肺炎の最も多い原因になっている。RS virus 感染症による入院率は生後1 年間で最も高く、5 歳未満の小児のRS virus による入院例の75%を1 歳未満の乳児が占めている。RS virus 感染症により入院した乳児の大部分は、RS virus 感染症以外に健康上の問題がなく生まれた乳児である。さらに、医療介入が必要な下気道感染は、医療制度における費用増加の一因となっている。
2. nirsevimab
本品は、RS virus に起因する下気道感染の予防を目的として受動免疫として作用する、開発中の半減期延長型抗RS viral monoclonal antibody で、RS virus 流行シーズンを初めて迎える全ての乳幼児と、初回と2 度目のRS virus 流行シーズンを迎える先天性心疾患や慢性肺疾患等の合併症を有する乳幼児を対象に開発中である。
3. MEDLEY 試験
nirsevimab の肯定的なデータを報告した3 番目のピボタル試験になった。Sanofi は、4 月に第3 相MELODY 試験においてnirsevimab が主要評価項目を達成し、健康な早期産児と正期産児におけるRS virus による下気道感染の発現率が、placebo を投与した対照群より統計学的に有意に減少したことを報告した。今般発表された第2b 相臨床試験結果とともに、MELODY 試験とMEDLEY 試験の結果が、nirsevimab が全ての乳幼児のRS virus症を予防する医薬品となる可能性を示す強固なエビデンスを示している。MELODY 試験とMEDLEY 試験の結果は今後学会で発表され、第2b 相試験結果とともに、2022 年に予定しているグローバルの規制当局への承認申請のベースになることが見込まれている。
4. New York 州立大学(SUNY) Upstate Medical Center 小児科学と微生物学・免疫学教授で、MEDLEY 試験の試験責任医師Dr. Joseph Domachowske のコメント
nirsevimab に関するこれらのデータは、早期産児や健康に問題のある乳児においてRS virus 感染による下気道感染症の予防薬として現時点で唯一の治療薬と、本剤の安全性と忍容性データが同様であることを示しており極めて重要である。典型的なRS virus 流行期が5 カ月間近く続くことを考えると、1 回投与で流行期を通じた予防が全ての乳児に行える選択肢となり得る」と述べている。
5. Sanofi Pasteur グローバル研究開発部門ヘッドJean François Toussain 氏のコメント
「RSvirus 感染症は、すべての乳児に使用可能な予防法がいまだに存在しない感染症のなかでも、特に多い疾患である。我々は、nirsevimab が、早期産児、正期産児、健常児、および健康に問題のある乳児も含めた、すべての乳児に対する定期的な予防接種のスケジュールに、重要な要素として新たに加わる可能性があると信じている」と述べている。(完)
(主な出典:https://www.sanofi.com/en/media-room/press-releases/2021/2021-06-28-08-00-00-2253567 他)