2021/07/12

FDA、ADC 薬PADCEV 局所進行性/転移性尿路上皮癌治療の標準承認および効能追加承認

7 月12 日、アステラス製薬とSeagen Inc.(Seagen)は、共同開発を進めている抗体-薬物複合体(Antibody-Drug Conjugate:ADC) PADCEV(enfortumab vedotin-ejfv)(遺伝子組換え)について、FDA から、加速承認から標準承認への移行承認、ならびにcisplatin 不適応で治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮癌患者の治療の効能追加の承認を併せて取得したと発表した。

1. 承認情報

FDA は2019 年に、PD-1 またはPD-L1 阻害剤による治療歴があり、かつ、術前または術後の補助化学療法として、あるいは局所進行または転移した状態において、白金製剤を含む化学療法による治療歴のある、局所進行性または転移性尿路上皮癌の適応で、PADCEV を加速承認した。今回は確認試験で加速承認を標準承認への移行、および効能追加への2 つの一変申請承認である。

2. Real-Time Oncology Review (RTOR) pilot program

今回の正規の標準承認への移行に関する一変承認、および適応追加の承認は、RTOR pilot program の一環として審査された 2 本のsBLA に基づいている。FDA のRTOR pilot program は、安全で効果的な治療法を可能な限り早期に患者に提供すべく、より効率的な審査のプロセスの探索を目的としている。

3. Project Orbis

また、今回の審査には、FDA Oncology Center of Excellence が主導するProject Orbis も適用された。Project Orbis は、癌治療薬の承認申請と審査を、複数の加盟国の規制当局間で同時に行うことを可能とする枠組みである。オーストラリアおよびカナダの規制当局も、Project Orbis の下で、enfortumab vedotin の初回承認申請として EV-301 試験および EV-201 試験の結果を審査している。enfortumab vedotin は、2021 年3 月に日本と欧州において承認申請を行っている。世界では、毎年約57 万3,000 人が膀胱癌と新たに診断され、21万2,000 人が死亡している。

4. EV-301 試験(NCT03474107)

本試験は、国際共同、多施設、非盲検、無作為化、第3 相臨床試験である。本試験は、白金製剤を含む化学療法および PD-1/PD-L1 阻害剤による治療歴のある局所進行性または転移性尿路上皮癌患者608 人を対象に、enfortumab vedotin 投与群を、医師の選択する化学療法(docetaxel、paclitaxel 又はvinflunine)群と比較している。事前に指定された中間解析時点で、PADCEV 投与患者(n = 301)は、化学療法投与患者(n = 307)よりも全生存期間を中央値で3.9 カ月延長した。全生存期間の中央値は、それぞれ12.9 カ月対9.0カ月であった[ハザード比(HR)= 0.70;95%CI;0.56, 0.89;p = 0.001]。最も一般的な全グレードの副作用(20%以上)には、発疹、倦怠感、末梢神経障害、脱毛症、食欲減退、下痢、そう痒症、悪心、便秘、味覚障害、筋骨格痛、乾いた目、発熱、腹痛、貧血が含まれていた。

5. EV-201 試験(NCT03219333)

enfortumab vedotin の国際共同、多施設の第2 相単一群試験で、PD-1/ PD-L1 阻害剤の治療歴のある、局所進行性または転移性尿路上皮癌患者を対象にしており、白金製剤を含む化学療法による治療歴のある患者群(コホート1;n=128))、および白金製剤を含む化学療法未治療かつcisplatin 不適応の患者群(コホート2;n=91)からなっている。主要評価項目は、盲検下独立中央評価で確認された奏効率である。副次評価項目には、奏効期間、病勢管理率、無増悪生存期間、全生存期間、安全性と忍容性が含まれる。コホート2 の結果はLancet Oncology 誌に発表した。(完)

(主な出典:https://www.astellas.com/jp/ja/news/17061他)