7 月14 日、Johnson & Johnson(JNJ)は、同社の1 回接種COVID-19 Vaccine が、δ変異株をはじめとする懸念されるSARS-CoV-2 変異株に対して、持続的な免疫応答を示し、液性抗体)免疫応答、ならびに細胞性(T 細胞)免疫応答の 二重の防御メカニズムを引き起こすことを実証するデータがNew England Journal of Medicine 誌に掲載されたと発表した。
これらの免疫応答は、これまで評価されてきた期間である接種後8 カ月間は強く安定して持続している。また、感染細胞を探し出して破壊する重要なCD8+ T 細胞を含むT 細胞反応が、8 カ月間にわたって持続したというデータも得られた。同社は、この第1/2a 相試験のサブスタディのトップラインに関するプレプリント結果を2021 年7 月1 日に発表している。
1. ブースター接種(2 回目)は不要
Beth Israel Deaconess Medical Center Dr. Dan Barouch らと共同で実施された本試験のデータは、さらなるブースター接種(2 回目の接種)を行わなくてもB 細胞の反応が成熟していることを示唆している。成熟B 細胞は抗体を産生し、COVID-19の原因となるウイルスの感染力低下に役立つものである。
2. 試験結果
JNJのCOVID-19 Vaccineの単回接種により、SARS-CoV-2野生株(WA1/2020)に加え、δ変異株(B.1.617.2)、α変異株(B.1.1.7)、β変異株(B.1.351)、γ変異株(P.1)、ε変異株(B.1.429)、κ変異株(B.1.617.1)などの懸念される他のSARS-CoV-2 変異株によるCOVID-19 に対しても、二重の防御メカニズムが誘導されることが示された。これらのデータは、8 カ月間で中和抗体が増加したことを示唆しており、それに加えて、持続的なT 細胞反応が観察され、B 細胞の成熟が示唆されている。
3. 第1/2a 相試験デザイン(VAC31518COV1001)
現在進行中の第1/2a 相、多施設共同、無作為化、二重盲検、placebo 対照試験は、健常成人を対象に、Janssen のCOVID-19 Vaccine の2 種類の用量(5 x 1010 または1 x 1011 ウイルス粒子)を単回接種または8 週間間隔で2 回接種のスケジュールで筋肉内に投与し、安全性、反応原性、免疫原性の評価を目的としている。本試験は、Belgium および米国の複数の臨床施設で実施されている。今回のサブスタディの結果は、現在進行中の第1/2a 相試験のコホート1b にあたるもので、Beth Israel Deaconess Medical Center の単一施設において、18~55 歳の成人25 人が参加し、詳細な記述式の探索的免疫原性試験を実施した。現在、試験参加者に対し追加の追跡調査を行っている。
4. 最近のデータを総合した結果
複数の免疫応答の成分を生み出す能力を確認した。これらのデータは、以前Nature 誌に掲載された、vaccine には個人の免疫系の複数の構成要素を引き起こす能力があることを示す証拠や、Nature 誌に掲載された、非ヒト霊長類におけるβ変異株に起因するSARS-CoV-2 感染に対する有効性に関する非臨床データを拡張し、補完するものである。これらの分析結果を総合すると、COVID-19 に対するvaccine の有効性は、変異株による疾患を含め、非中和抗体、B 細胞およびT 細胞の役割に関するより広範な免疫の状況の中で考慮されるべきであることを示している。
5. bioRxiv に掲載されたデータ
第3 相ENSEMBLE 試験の参加者の一部(n=8)から得られた血液試料を新たに分析した追加データによると、JNJ の1 回接種COVID-19 Vaccine は、最近南アでβ変異株に対して観察されたものよりも高いレベルで、δ変異株に対する中和抗体活性を誘導した。
6. JNJ のJanssen R&D グローバルヘッドDr. Mathai Mammen のコメント
「これらの査読付きデータは、JNJ の1 回接種COVID-19 Vaccine による、δ変異株を含む懸念される変異株に対する二重の防御メカニズムを可能にする持続的な液性・細胞性免疫応答について、さらに深い洞察を与えてくれている。この試験により、Vaccine 接種後、8 カ月の間に変異株に特化した中和抗体が増加し、B 細胞反応の成熟を示唆するデータが得られた。さらに、T 細胞応答が特に強く、経時的に安定しており、これら変異株に対する抗virus 活性にとって重要な意味を有している」と述べている。
7. JNJ のCOVID-19 Vaccine 開発
自社開発のAdVac Vaccine 基盤技術の専有技術を活用している。この技術は、Janssen がEC に承認されたEbola Vaccine レジメンの開発・製造、さらにZika 熱、RSV、HIV Vaccine 候補の開発にも使用されている。今回の第1/2a 相臨床試験は、米連邦保健福祉省(DHHS)、事前準備・対応担当次官補局(OASPR)、アメリカ生物医学先端研究開発局(BARDA)のその他の取引を行う権限(OTA)の契約番号HHSO100201700018C に基づく連邦資金によって一部が賄われている。(完)
(主な出典:https://www.jnj.com/johnson-johnson-single-shot-covid-19-vaccine-demonstrated-a-durable-immune-response-and-elicited-dual-mechanisms-of-protection-against-delta-and-other-sars-cov-2-variants-of-concern-in-data-published-in-new-england-journal-of-medicine他)