お知らせ

2021/08/11

FDA、FibroGen の慢性腎臓病の貧血治療薬候補roxadustat のNDA に対してCRL を発行

8 月11 日、FibroGen, Inc. (FibroGen)は、本日、FDA が、慢性腎臓病(CKD)患者の貧血の治療薬としてのroxadustat のNDA に対して審査完了通知(CRL)を発行したと発表した。CRL には、FDA としては、現在のデータではroxadustat のNDA を承認することはできない。再提出するには、追加の臨床試験を要求している。この結論は以下に示す7 月15 日開催の心血管系・腎臓病薬諮問委員会(CRDAC)の審議結果を反映しての決定と思われる。

1. 米国外の許認可状況

roxadustat は、中国、日本、チリ、韓国で非透析依存性(NDD)、及び透析依存性(DD)成人患者の双方におけるCKD の貧血の治療薬として承認されており、EUのEMA のCHMP から承認勧告を受け、8 月18 日にEC から承認を取得している。同一申請内容でありながら、欧米での規制当局間で異なる評価による意思決定が行われたことになるが、その例を参考例として下記に示す。

2. CRDACの慢性腎臓病の貧血治療薬候補roxadustat のNDAの審議結果

去る7 月15 日、FibroGen は、本日、FDA の心血管系・腎臓病薬諮問委員会(CRDAC)が、同社が申請した、経口低酸素誘導因子prolyl hydroxylase(HIF-PH)阻害薬roxadustat の、成人患者の慢性腎臓病(CKD)による貧血の治療を効能とするNDA を審議し、採決の結果、承認却下を勧告したと発表した。

3. CRDAC 審議結果

諮問委員会は、8,000 人以上の患者を対象としたグローバル第3 相試験プログラムのデータに基づいて以下の勧告を行った。諮問委員会では、透析依存患者と非透析依存患者の双方における薬剤の安全性と有効性のプロファイルの評価に加えて、臨床試験プログラムの登録基準、潜在的な市販後調査プログラムなどについても審議した。

1) 非透析依存性患者(NDD);委員会パネルは 透析を受けていないNDD の慢性腎臓病に伴った貧血の治療薬としての承認に、13 対1 で承認却下を採択した。企業が提出した安全性データの全体について懸念を表明し、薬剤の心臓の安全性プロファイルについてさらに評価を深めるために、パートナー(AstraZeneca)が提案した市販後調査については確信が持てないと判断した(注Adjudicated;裁定された、確定診断の意、OT はOn-Treatment)。

2) 透析依存性患者(DD);諮問委員会は、透析を受けている患者対する貧血治療薬としての承認に安全性の懸念から、12 対2 で承認却下を採択した。

参考 FDA 承認の遅れ: 上記のように、8 月18 日にアステラス製薬は、FibroGen,と共同で開発中のEVRENZO(roxadustat)に関して、成人のCKD に伴う症候性貧血の治療薬として、EC から販売承認を取得し、FDA の意思決定とは決定的な相違となった。最近のEC 承認から遅れるFDA 承認審査の例を下表に示す。安全性での欧米での視点の相違が見て取れる。