9月29日、AstraZenecaは、Caelum Biosciencesの軽鎖(AL)amyloidosisの潜在的なfirst-in-classの医薬品候補CAEL-101を完全買収により取得し、進行中の第3相試験の臨床開発を前進および加速させると発表した。AstraZenecaにより2021年7月に買収を完了したAlexionが、軽鎖(AL)amyloidosisの治療のための潜在的にfirst-in-classのfibryl反応性mAb のCAEL-101を有するCaelum Biosciencesの残りの全株式を取得するオプション権を行使した。
1. AstraZenecaとCaelum Biosciences:
2019年、CaelumとAlexionは株式投資を含む、最初の提携契約を締結し、CAEL-101の共同研究開発を開始した。これにより、Alexionは少数株主持分と、Caelumの残りの株式を取得するための独占的オプション権を取得した。 Alexionは現在Caelumを統合しており、1億5,000万$の非支配株主持分を反映している。Alexionは、2021年10月5日に行われる予定の買収を完了すると、合意されたオプション権行使価格約1億5,000万$をCaelumに支払い、許認可および販売のマイルストン達成時に最大3億5,000万$の追加支払いの可能性がある。
2. AL amyloidosis:
稀な疾患であり、誤って折りたたまれたamyloidタンパク質が心臓や腎臓を含む全身の臓器に蓄積し、重大な臓器損傷や機能不全を引き起こし、最終的には致命的となる可能性がある。米国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国全体で約20,000人が、Mayo Stage IIIaまたはIIIbに分類されるAL amyloidosisに罹患している。異常な抗体(免疫グロブリン)タンパク質を産生する骨髄の形質細胞の欠陥によって引き起こされる稀な疾患である。臓器、特に心臓と腎臓にamyloidが蓄積すると、広範囲にわたる進行性の臓器損傷と高い死亡率を引き起こす可能性があり、その結果心不全による高い死亡率に進展する。
3. CAEL-101:
本品は、AL amyloidosis患者の組織および臓器におけるamyloid沈着を減少または排除することにより、臓器機能を改善するように設計された、潜在的にfirst-in-classのmAbである。この抗体は、誤って折りたたまれた軽鎖タンパク質とamyloidに結合するように設計されており、κとλの両方のサブタイプに結合する。CAEL-101は、AL amyloidosis患者の潜在的な治療法として、FDAとECの両方から希少病薬の指定を受けている。さらに、米国FDAは、2021年6月にAL amyloidosisのCAEL-101にFast Track指定を付与した。
4. CARES 第 3相臨床プログラム:
CAEL-101とAL amyloidosisの標準療法(SoC)を組み合わせた第3相臨床プログラムCardiac Amyloid Reaching for Extended Survival (CARES)で評価されている。これは新たに診断され、SoCを受けていないAL amyloidosis患者(cyclophosphamide-bortezomib-dexamethasoneレジメンに基づく)におけるCAEL-101の有効性と安全性を評価する2本の並行グローバル第3相試験で構成されている。1本の試験はMayo Stage IIaの患者約270人が登録され、他の1本の試験にはMayo Stage IIIbの患者約110人が登録されている。両臨床試験の主要評価項目は全生存期間(OS)であり登録が進行中である。各試験で、被験者は2:1の比率に無作為化され、CAEL-101+SoC、またはplacebo +SoCのいずれかを週に1回、4週間投与される。これに続いて、最後に登録された患者が少なくとも50週間の治療を完了するまで、2週間毎(Q2W)に維持量が投与される。患者は12週間毎に追跡調査訪問を継続し、その後非盲検延長試験に登録される。(完)
(主な出典:https://www.astrazeneca.com/content/astraz/media-centre/press-releases/2021/astrazeneca-to-fully-acquire-caelum-biosciences.html他)