お知らせ

2021/12/01

海外製薬産業ニュース:2021年11月

 新薬の初回承認はタケダ薬品が開発した移植後CMV感染に対する二次選択の抗ウイルス薬リブテンシティだけであり、ブロックバスター製品は見当たらなかった。追加承認も 1件しかなかったものの、PD-1阻害薬キートルーダの腎細胞がんの術後アジュバント療法は市場規模が大きいと期待される。キートルーダのアジュバント療法は膀胱がん、トリプルネガティブ乳がんに続いて3件目の承認となる(ファーマセット・リサーチ推定)。その他の薬事(申請、指定)においてもBRCA変異を標的とする初の補助療法として乳がんを対象にPARP阻害薬リムパーザの追加承認が申請された。承認申請は他にも 4件あり、合計で 5件だった。初回申請はBMSのTYK2阻害薬デュークラバシチニブ(乾癬)、ギリアドの慢性デルタ型肝炎治療薬ブレビルタイド、およびインサイトのPI3K阻害薬パルサクリシブ(NHL)の 3件だった。追加申請 2件は前述のリムパーザ(乳がんアジュバント療法)のほか、SGLT-2阻害薬の糖尿病治療薬ジャディアンス(リリー)の心不全効能追加である。
 申請用臨床試験では、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬ベリキューボを事故歴がない左室駆出率低下型慢性心不全の患者において評価するフェーズ3試験をメルクが開始、エーザイはレカネマブがフェーズ2B試験を複数の統計モデルで新たに解析した結果「一貫した有効性が確認された」と発表、BMSのオプジーボは切除可能な非小細胞肺がんを対象に化学療法を併用した術前アジュバント療法が無イベント生存率(EFS)を有意に改善した、GSKのHIF剤ダプロデュスタットは腎性貧血に対する有効性と安全性について良好な結果を発表した、ノバルティスのイプタコパンは希少病C3G腎臓疾患で主要評価項目を達成した。
 その他の臨床試験では、ファイザーのエストロゲン受容体タンパク質分解剤ARV-471(乳がん、P1)、BMSの経口ファクターXIa阻害薬ミルベキシアン(抗トロンビン作用、P2)、アストラゼネカのmRNA製剤AZD8601(心不全、P2)が注目される。
 企業経営および事業開発では、ロシュは臨時株主総会を開いてノバルティスが保有するロシュ株式(2兆円強)を買入れ償却して減資することを決定した。ジョンソンエンドジョンソンは大衆薬事業を分離する計画を発表した。ファイザーは最高財務責任者(CFO)フランク・ダメリオ氏の引退を発表、また血液がんに対するCD47関連の免疫療法剤をもつバイオテク企業の買収統合を完了した。ノボ・ノルディスクはRNA干渉の技術研究基盤を持つバイオベンチャーを買収統合すると発表した。