2022/07/01

海外製薬産業ニュース(2022年6月)

 初回承認2件のうち1件は乳幼児向け肺炎球菌ワクチン、もう1件は欧州委員会によるロシュのCD20xCD3二重特異性抗体の承認であり、FDAによる新薬承認はなかった。メルクが開発した乳幼児の侵襲性肺炎球菌感染症予防ワクチン VAXNEUVANCEは肺炎球菌15価コンジュゲートワクチンで従来のか13価ワクチンを上回る有効性が期待される。ロシュの二重特異性抗体 ランスミオ(Lunsmio、一般名モスネツズマブ)は初回承認から市場が大きい濾胞性リンパ腫が適応症となった。米国では7月上旬にFDAが優先審査として申請を受理しており、承認適応症が注目される。

 追加承認5件のうち3件は自己免疫疾患であり、アッヴィのIL-23抗体スキリージのクローン病、リリーのJAK阻害薬オルミエントの円形脱毛症、サノフィのIL-13抗体デュピクセントの6カ月から5歳の乳幼児への適応が承認された。他にはグラクソがすでに100か国で販売しているMMRワクチンを米国FDAが承認、抗がん剤の承認は1件だけであった。ブリストルマイヤーズ・スクイブのCAR-T細胞療法ブレヤンジは昨年2月に大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の3次治療を適応症として承認されていたが、2次治療が追加承認された。

 申請用臨床試験では6月初めに米国臨床がん学会(ASCO)が開催されたこともあり、抗がん剤 12件を中心に全体としては 21件のアップデートが発表された。抗がん剤ではヤンセンのエルダフィチニブがFGFR変異陽性の固形がんを対象としたP2試験で腫瘍横断的な有効性を報告した。 第一三共とアストラゼネカが提携する抗 HER2抗体薬物複合体エンハーツが HER2 低発現の乳がん患者を対象とした好成績を示し、HER2変異の程度にかかわらず広く一次治療として承認される可能性が見えてきた。

 COVID-19関連ではファイザーがビオンテックと共同するmRNAワクチンの緊急使用許可が拡大され、 6か月から 4歳の乳幼児も対象となった。サノフィ・GSK連合は次世代のアジュバント化ワクチンによるブースター接種がオミクロンを含む変異種に広く有効とするデータを発表した。