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セミナー「製薬産業分析の基礎」― 総論 / 各論1

Webinar メガファーマ経営の研究


製薬産業分析の基礎「新薬市場の変化と研究開発の動向」


新薬の売上実績を集計・分析して「企業別」、「疾患別」、さらに「薬効別」の動向を概観します。グローバル製薬企業を毎回1社とりあげ、関連する2つの疾患領域および薬効クラスとあわせて1時間半の講義です。総論「新薬市場の変化と研究開発の動向」を踏まえてグローバル製薬産業を俯瞰しながら一年間(12回)で全体を網羅します。> 開催予定一覧

総論「新薬市場の変化と研究開発の動向」グローバル新薬の2021年実績


グローバル新薬の2020年実績

1位ヒュミラは2019年の落ち込みから回復し、2020年はほぼ200億ドルとなりました。2位キートルーダは144億ドルへ33億ドル増加、一方で同じPD-1阻害薬の競合品オプジーボは初めて減少して7位に後退しました。前年までトップ10にあったロシュの3大抗体医薬品は米国でバイオシミラー製品の影響から、のきなみ25%~35%減少、アバスチンが10位、リツキサンは17位、ハーセプチンは27位へと後退しました。ギリアドのCOVID-19治療薬Veklury(レムデシビル)が28億ドルを売上げて44位に登場しました。


企業ランキングの推移(医療用医薬品)

エスタブリッシュド製品のアップジョン部門をマイランと合併させ、バイアトリスとして分離したファイザーは2019年1位の496億ドルから2020年は419億ドルと減少、6位に後退しました。セルジーンを買収統合したブリストルマイヤーズ・スクイブが 9位から5位へと上昇してファイザーを上回りました。激変の2020年でしたが、5年前(2016年)にはある程度、予想された展開でしたさらに5年後(2025年)にはロシュが6兆円を超えて1位となる見通しです。ファイザーは3位まで復活すると期待されます。


疾患領域別集計

弊社(ファーマセット・リサーチ)が調査対象とするグローバル製薬企業の新薬およそ400品目を合計すると4,436億ドル(ほぼ44兆円)に達しますが、この「新薬市場」を疾患別および薬効クラス別に分類して再集計しています。疾患別では「がん」が1,334億ドルで全体の30%を占める最大の疾患領域となり、次に大きい自己免疫疾患(21%)と循環代謝(19%)の3領域で70%となります。「がん」は2015年に初めて最大の疾患領域となり、2020年にはさらに9ポイント拡大しました。2025年にはさらに3ポイント拡大して全体の1/3(33%)を占めると予想します。



薬効クラス別集計

新薬市場の全体(2020年4,436億ドル、ほぼ48兆円)から再集計した上記36薬効クラスの合計は2,488億ドル(およそ26兆円)に上ります。薬効クラスとして最大のPD-1阻害薬は266億ドルで11%を占め、伸び率は前年(2019年)の46.7%から半減しましたが2020年も前年比22.1%増と力強い伸びが続いており、5年間の平均年間伸び率(CAGR)は77.5%でした。循環器系疾患領域のファクターXa阻害薬が264億ドルでがん領域のPD-1阻害薬と拮抗する規模になっていることも注目されます。

これらの36薬効群は主要企業が過去5年間に研究開発イベントを発表した品目を整理したものです。プロトンポンプ阻害薬(消化性潰瘍)やプレガバリン(神経性疼痛)のように現在でも1,000億円以上を売上げる製品がある薬効クラスでも、研究開発に関する各社の発表記事がないものは集計していません。主要な疾患領域を集計した合計4,436億ドル(44兆円)の平均年間伸び率は6%弱でしたので、伸び率16.5%の36薬効群25兆円を除いた「その他の薬効群」19兆円はマイナス3%の年間減少率だった計算になります。