お知らせ

2016/04/19

Purdue University/Endocyte Inc.、ユニバーサルCAR T 細胞療法によりこれまでの問題点を克服

Purdue 大学創薬センターPhilip S. Low 教授と葉酸の抗体薬で知られるEndoctyte Inc.の研究チームが、ユニバーサルなCAR T 細胞を作成し、同療法においてこれまで開発の障害になっていた問題点を克服する新CAR T 細胞療法を米国癌学会で発表し、注目された。
これまでのCAR T 細胞には、①サイトカインの放出率および腫瘍細胞の溶解のコントロールができない、②腫瘍細胞を根絶しても細胞傷害毒性を終了させるオフのスイッチが無い、③標的抗原を発現していない癌細胞を排除できない、④それぞれのユニークな癌抗原に対して異なるCAR T 細胞が必要となる、などの問題点があった。
今回発表された新しいCAR T 療法では、T 細胞上のキメラ抗原受容体と腫瘍細胞特有のユニークな抗原に同時に結合することにより、CAR T 細胞と標的細胞の間を繋ぐブリッジを形成する低分子の二重特異性アダプターの合成を模索し、fluorescein isothiocyanate(FITC)とfolic acid を結合させた二重特異的アダプターを取得した。T 細胞には抗FITC scFv CAR を発現させた抗FITC CAR T 細胞を使用する。アダプターの濃度および投与比率を調節することにより、CAR T 細胞の細胞毒性を管理することが出来る 。また、アダプターの半減期はin vivo で20 分以下にして、アダプターの投与を止めれば、CAR T 細胞の殺細胞活性を停止させることが出来る。更に、多様な抗原を有する癌種に対してはアダプターの葉酸部分を変えることで1 種類の抗FITC CAR T 細胞で多様な癌腫に対応できる。

Link 新薬開発CAR T細胞療法