ドイツマインツ に拠点を置く、高度な癌免疫療法を目標に開発中のバイオ企業Ganymed Pharmaceuticals AG(Ganymed)が開発中の新規抗Claudin18.2 抗体IMAB362の胃癌1 次療法の無作為化、第2 相臨床試験の成績をASCO2016 年次総会において報告した。 IMAB362は、選択的なtight junction 蛋白Claudin 18.2 に特異的な抗体である。Claudin 18.2は、およそ80%の胃消化管腺癌、60%の膵癌、胆管癌、卵巣癌、肺癌で発現している。
作用機序には抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)、補体依存性細胞毒性(CDC)の活性化、ならびに腫瘍微小環境のT 細胞浸潤と調節が含まれている。胃癌および膵癌に対して欧米当局から希少疾患指定を受けている。
第2 相試験は腫瘍中にClaudin 18.2 の特異的最低レベルを発現している進行または再発性の胃あるいは胃食道接合部癌患者161 名を登録してスタートした。Claudin 18.2 レベルは、腫瘍組織からバイオプシーで採取した検体を用い、検証済みのCE マークを受けた診断アッセイ法CLAUDETECT®18.2.を使用して測定した。患者は無作為に標準化学療法(エピルビシン、オキサリプラチン、カペシタビン)とIMAB362(800/600 mg/m2)との併用群、あるいは標準化学療法単独群に割り付けられた。さらに85 名の患者を探索コホートとして高用量投与群に追加した。
IMAB362 と化学療法の併用群は、化学療法単独群に比べて病勢進行までの期間の中央値を4.8 から7.9 ヵ月(HR 0.47; p=0.0001)に改善し、全生存期間の中央値を8.4ヵ月から13.2 ヵ月(HR 0.51; p=0.0001)に改善した。Claudin 18.2 の最高の発現レベルの患者では、全生存期間の中央値がIMAB362 と化学療法の併用群では16.7 ヵ月、化学療法単独群では9 ヵ月(HR 0.45; p<0.0005)であった。
Link 新薬開発➜大腸がん、胃がん、肝臓がん