10 月25 日発行のJAMA Network Open 誌[2019;2(10):e1913968. doi:10.1001/jamanetworkopen. 2019.13968]にCalifornia 大学Santa Cruz 校(UCSC)の研究者らのグループが、治療困難な小児および若年成人の癌治療における腫瘍RNA シーケンシング解析の比較研究結果を報告した。DNA シーケンシングに比べて個々の小児癌の症例にRNA シーケンスを使用することにより、腫瘍の遺伝子発現に関してより効率的な標的とすることができる可能性を示唆する成績が得られたと結論している。
California 大学Santa Cruz’校のTreehouse 小児癌イニシアチブのConsortium の下で実施された。 2016 年1 月から2017 年3 月までに4 カ所の臨床試験施設で、合計128 人の患者から採取した144 の腫瘍検体の遺伝子発現が検討された。144 の腫瘍検体中、99 検体(68%)にRNA シーケンス解析の比較で有用性が示された。一方、DNA 変異は、74 検体中34 検体(46%)に有用性が認められた。また、腫瘍サンプルの36%に、RNA 解析のみに基づいて、ドラッガブルで過剰発現された遺伝子および/または経路が特定されたが、DNA の評価では見いだされなかった。
多くの場合、癌を引き起こすのはDNA 変異でなく、遺伝子発現の制御方法の変化に起因する発育過程でのエラーであり、この研究は、個別の精密医療の臨床試験での使用可能性を初めて示した。