お知らせ

2021/03/19

KEYTRUDA+LENVIMA 併用試験、進行性子宮内膜癌の無増悪生存期間・全生存期間を改善

3 月 19 日、Merck & Co., Inc.(Merck)とエーザイは、第 3 相 KEYNOTE-775/309 試験成績 について、バーチャル開催の米国婦人科腫瘍学会(SGO)2021 (Annual Meeting on Women’s Cancer) の口頭発表プレナリーセッション(Abstract #10191)において、初めて発表したとプレ スリリースした。本試験で、1 レジメンの白金製剤による前治療歴のある進行性、転移性ま たは再発性子宮内膜癌を対象に、Merck.の抗 PD-1 抗体 KEYTRUDA(pembrolizumab)とエー ザイ創製の経口 tyrosine kinase 阻害剤 LENVIMA(Lenvatinib)の併用療法が評価された。

1. KEYNOTE-775/309 試験:

本試験(NCT03517449)は、治療ラインにかかわらず、1 レジメ ンの白金製剤を含む前治療歴のある進行性子宮内膜癌を対象にした、KEYTRUDA と LENVIMA の併用療法を評価する、多施設共同、非盲検、無作為化、第 3 相臨床試験。2 つの 主要評価項目はRECISTv1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるPFSおよびOSである。 副次評価項目は、RECISTv1.1 に基づく盲検下独立中央画像判定による ORR、および安全性/ 忍容性である。

登録患者 827 人中、697 人がミスマッチ修復機構(pMMR)を有する患者であり、130 人が ミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する患者であった。登録患者は以下の 2 群に 1:1 に割 り付けられた。それらは、KEYTRUDA [200 mg 3 週毎(Q3W)静脈内投与を 1 サイクルとし最 大 35 サイクル(約 2 年)まで投与]と LENVIMA(20 mg, 1 日 1 回(QD)経口投与)]との併用群、お よび試験医師選択化学療法[doxorubicin(60 mg/m2 3 週毎(Q3W)静脈内投与で総投与量 500 mg/m2以下)]、または paclitaxel [4 週を 1 サイクルとして 80 mg/m2 週 1 回(QW)静脈内投与を 3 週連続し、1 週間休薬] 投与群。 

2. 第 3 相 KEYNOTE-775/309 試験有効性:

1) デュアル主要有効性評価項目;本試験は、 全体集団 (pMMR を有する患者集団、および dMMR を有する患者集団]ならびに pMMR を 有する患者集団において、RECIST v1.1 に基づく盲検下独立中央画像判定による無増悪生存 期間(PFS)、および全生存期間(OS)の 2 つの主要評価項目、ならびに RECIST v1.1 に基づく盲 検下独立中央画像(BICR)判定による奏効率(ORR)の有効性副次評価項目を達成した。追跡調 査期間の中央値は、全体集団および pMMR を有する患者集団において、11.4 カ月であった。 全体集団において、本併用療法(n=411)の PFS の中央値は、7.2 カ月(95%CI:5.7–7.6, イ ベント数=281)であり、試験医師選択化学療法[(TPC)、doxorubicin または paclitaxel、n=416]の 3.8 カ月(95%CI:3.6–4.2, イベント数=286)に対して、統計学的に有意かつ臨床的に意義のあ る改善を示し、疾患進行または死亡のリスクを 44%減少させた[HR=0.56 (95%CI:0.47–0.66); p<0.0001]。

また、全体集団において、本併用療法の OS の中央値は、18.3 カ月(95%CI:15.2–20.5, イ ベント数=188)であり、TPC の 11.4 カ月(95%CI:10.5–12.9, イベント数=245)に対して、統計 学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示し、死亡のリスクを 38%減少させた [HR=0.62(95%CI:0.51–0.75);p<0.0001]。本試験における本併用療法の安全性プロファイルは、 それぞれの単剤療法で確立している安全性プロファイルと概ね一貫していた。

2) 副次評価項目;全体集団において、本併用療法の有効性副次評価項目の ORR は 31.9% (95%CI:27.4–36.6)であり、完全奏効(CR)率 6.6%、部分奏効(PR)率 25.3%であった。一方、 TPC の ORR は 14.7%(95%CI: 11.4–18.4)、CR 率 2.6%, PR 率 12.0%であった(ORR に関する TPC との差:17.2 percentage points、p<0.0001)。奏効例の奏効期間(DOR)の中央値は、本併用 療法では 14.4 カ月(範囲:1.6–23.7)であり、TPC は 5.7 カ月(範囲: 0.0–24.2)であった。

3) pMMR を有する患者集団;本試験成績は、全体集団と pMMR を有する患者集団で同様 であった。pMMR を有する患者集団において、本併用療法は、PFS の中央値 6.6 カ月(95%CI: 5.6–7.4, イベント数=247)であり、TPCの3.8カ月(95%CI:3.6–5.0, イベント数=238)に対して、 病勢進行または死亡のリスクを 40%減少させた [HR=0.60 (95%CI:0.50–0.72); p<0.0001]。ま た、本併用療法は、OS 中央値が 17.4 カ月(95%CI:14.2–19.9, イベント数=165)であり、TPC の 12.0 カ月(95%CI:10.8–13.3, イベント数=203)に対して、死亡のリスクを 32%減少させた [HR=0.68(95%CI:0.56–0.84);p=0.0001]。副次評価項目である ORR について、本併用療法は 30.3%(95%CI:25.5–35.5)であり、CR 率 5.2%、PR 率 25.1%であった。一方、TPC は、ORR は 15.1%(95%CI:11.5–19.3)、CR 率 2.6%、PR 率 12.5%であった(ORR に関する TPC との差:15.2 percentage points, p<0.0001)。奏効例において、本併用療法の DOR の中央値は 9.2 カ月(範囲: 1.6–23.7)であり、TPC では 5.7 カ月(範囲: 0.0–24.2)であった。

第 3 相 KEYNOTE-775/309 試験安全性

全体集団において、投与中止に至った全グレー ドにおける治療関連の有害事象(TEAEs)は、KEYTRUDAとLENVIMAの併用療法群(n=406) において、KEYTRUDA は 18.7%、LENVIMA は 30.8%、両薬剤は 14.0%で認められた。一方、 TPC(n=388)では 8.0%において、TEAEs により投与中止に至った。 あらゆる原因によるグレード 5 の TEAEs は、本併用療法では 5.7%にみられ、TPC では 4.9%であった。グレード 3 以上の TEAEs は、本併用療法では 88.9%にみられ、TPC では 72.7% であった。全グレードにおける最も一般的な TEAEs(発現率 25%以上)は、本併用療法では、 高血圧(64.0%)、甲状腺機能低下症(57.4%)、下痢(54.2%)、悪心(49.5%)、食欲減退(44.8%)、嘔 吐(36.7%)、体重減少(34.0%)、疲労(33.0%)、関節痛(30.5%)、蛋白尿(28.8%)、貧血(26.1%)、便 秘(25.9%)、および尿路感染(25.6%)であった。TPC では、貧血(48.7%)、悪心(46.1%)、好中球 減少症(33.8%)、脱毛症(30.9%)、および疲労(27.6%)であった。本併用療法の投与期間の中央値 は 231 日(範囲:1–817)であり、TPC では 104.5 日(範囲:1–785)であった。

関係者のコメント:1) Merck.研究開発本部 Oncology 臨床研究部長 Dr, Gregory Lubiniecki;「検証試験である本臨床第 3 相試験において、KEYTRUDA と LENVIMA の併用 療法は、化学療法に対して、統計学的に有意な PFS、OS および ORR の改善を示した。本 成績は我々を勇気づけるものであり、治療が困難な癌を抱える患者をより多く救うために、 本併用療法の可能性の追求に向けた両社のコミットメントを再確認した」と述べている。 2) エーザイ執行役 Oncology 事業グループ チーフメディスンクリエーションオフィサー兼 チーフディスカバリーオフィサー大和隆志博士;「ポジティブな本試験成績は、既に承認され ている進行性子宮内膜癌に対するLENVIMAとKEYTRUDAの併用療法のエビデンスを強固 にするものである。進行性子宮内膜癌は治療が難しいことが知られており、両社はこの疾患 のアンメットニーズの充足に貢献していく。世界的な新型 coronavirus の pandemic 下で本試 験にご協力頂いた患者、ならびに医療従事者の皆様に深く感謝申し上げる」と述べている。