2021/07/16

GSK、腎性貧血患者を対象としたdaprodustat の5 本の第3 相試験の良好な結果を発表

7 月16 日、GlaxoSmithKline plc(GSK)は、臨床試験中の経口低酸素誘導因子proline 水酸化酵素阻害薬(hypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase inhibitor;HIF-PH 阻害薬) daprodustat について、腎性貧血患者に対する有効性および安全性プロファイルを評価した第3 相ASCENDプログラムの5 本の臨床試験から得られた良好な結果を発表した。詳細な結果は、年内に開催される関連学会で発表を予定している。

1. daprodustat

本品は、経口の低酸素誘導因子proline 水酸化酵素の阻害薬(HIF-PH 阻害薬)で、透析の有無に関わらず、成人の腎性貧血を効能・効果とした治療薬である。酸素を検知するproline 水酸化酵素を阻害することで低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、貧血の改善に関与するerythropoietin やその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられている。daprodustat は、腎性貧血患者に対する利便性の高い経口の治療選択肢として開発された。

2. ASCEND プログラム

各試験においてdaprodustat が有効性の主要評価項目を達成したことが示された。慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease;CKD)に伴う貧血(腎性貧血)患者において、未治療患者ではhemoglobin(Hgb)値の改善が示され、標準治療の選択肢である赤血球造血刺激因子製剤(ESA)による治療を受けている患者ではHgb 値が維持された。さらに、非透析患者(ASCEND-ND)および透析患者(ASCEND-D)を対象とした主要な心血管アウトカム試験では、両試験の共主要評価項目の主要心血管イベント(MACE)のリスクに関して、daprodustat はESAと比較して非劣性であることが示された。

3. GSK 最高科学責任者(CSO)、研究開発部門社長Dr. Hal Barron のコメント

「腎性貧血患者の心血管アウトカムを管理することの重要性、および利便性の高い経口の治療選択肢を提供する必要性という点で、ASCEND-ND 試験およびASCEND-D 試験の結果をとても喜ばしく思っている。 第3 相ASCEND プログラムから得られたデータの解析を継続するとともに、承認申請に向けて規制当局と緊密に連携していく」と述べている。

4. 第3 相ASCEND プログラム

ASCEND-D 試験およびASCEND-ND 試験に加え、本プログラムには、新規に透析を開始した透析導入患者(ASCEND-ID)、生活の質の評価(ASCENDNHQ)および週3 回の投与方法(ASCEND-TD)に焦点を当てた試験も含まれる。プログラムの各試験は、それぞれの主要評価項目又は共主要評価項目を達成した。このプログラムには、最長3.75 年の治療を受けた8,000 人以上の患者が登録された。詳細な試験結果は、年内に開催される学会で発表され、世界中の規制当局に情報共有される予定である。

5. ASCEND プログラム

プログラム全体で、daprodustat は非透析患者および透析患者のいずれにおいてもおおむね良好な忍容性を示した。試験治療下で発現した有害事象の発現率は投与群間で同様であり、報告事象は試験の対象になった患者集団にみられるものと同様であった。ASCEND プログラム全体でdaprodustat 投与を受けた患者において最も多く報告された有害事象は、高血圧、下痢、透析低血圧、末梢性浮腫および尿路感染であった。daprodustatは現在、日本で腎性貧血患者を対象にダーブロック(Duvroq)錠として承認されている。その他の国では未だ承認されていない。(完)

(主な出典:https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/gsk-announces-daprodustat-phase-3-headline-results/他)