お知らせ

2021/08/27

JARDIANCE(empagliflozin)、左室駆出率保持された心不全患者に対し統計学的に有意な改善

8 月27 日、Boehringer Ingelheim(BI) とEli Lilly & Co.(Lilly) は本日、JARDIANCE (empagliflozin)の第3 相EMPEROR-Preserved 試験結果を発表した。

1. 第3 相EMPEROR-Preserved 試験結果

JARDIANCE(empagliflozin)は成人の左室駆出率が保持された心不全(HFpEF)患者において、主要評価項目の心血管系死または心不全による入院のリスクをplacebo に比べ 21%と低下させることが明らかになった。 このベネフィットは左室駆出率や糖尿病の有無に関わりなく認められ、JARDIANCE は、成人の左室駆出率が低下した心不全(HFrEF)患者とHFpEF 患者の両方に有意なアウトカムの改善を示した最初の薬剤になった。試験結果は欧州心臓病学会(ESC 2021)で発表され、NEJM誌に掲載された。重要副次評価項目の解析から、JARDIANCE は心不全による入院の初回および再発のリスクをplacebo と比較して 27%低下させるとともに、腎機能の低下を有意に遅らせることが明らかになった。

2. Germany Charité Berlin 心不全専門医、EMPEROR-Preserved 試験責任医師 Prof. Dr. Stefan Anker のコメント:

「左室駆出率が保持された心不全患者の診察にあたる専門医として、これまでその患者の状態を大きく改善する臨床的に証明された治療薬がないという厳しい現実に直面してきた。今回の結果は、何百万人もの左室駆出率が保持された心不全患者に希望をもたらすことが期待される。主要評価項目の結果は、性別や2 型糖尿病の合併症の有無、左室駆出率や腎機能の程度によらず、同様に改善を認めた。これらの結果は、JARDIANCE の有効性が幅広い患者層で認められ、好影響が期待できることを示唆している」と述べた。

3. 心不全:

世界中で6,000 万人以上が罹患しており、その約半数は拡張期心不全としても知られる HFpEF の患者である。HFpEF は、その有病率、転帰不良、そして現在までに臨床的に有効であることが証明された治療薬がないことから、「心血管領域で最大のアンメットニーズ」とされてきた。

4. EMPEROR-Preserved 試験(NCT03057951): 

5,988 人の心不全患者が参加した。このうち左室駆出率(LVEF)が50%以上の患者は4,005 人、LVEF が50%未満の患者は1,983 人であった。被験者は、無作為化され、JARDIANCE 10 mg (n=2,997)、またはplacebo (n=2,991)を1日1 回服用(QD)群に割り付けられた。 この試験での全般的な安全性は、JARDIANCE の既知の安全性プロファイルと一貫していた。

5. 関係者のコメント:

1) BI 副社長、心血管系代謝部門長Dr. Waheed Jamal;「心不全は複雑で重篤な疾患で入院の主な原因となっている。心不全患者の死亡リスクは、入院回数が増えるほど、腎機能が低下するほど増加する。EMPEROR-Preserved 試験でJARDIANCE が有意なベネフィットをもたらすことが示されたことは、医療従事者や患者にとって大変喜ばしいことである」と述べている。

2) Lilly 製品開発部門副社長Dr. Jeff Emmick;「今回得られた良好な結果は、治療の選択肢が限られてきた、生活が一変するような疾患を患われている患者に希望をもたらすものである。EMPEROR-Preserved 試験結果は、心不全患者さんの将来を根本的に変える可能性がある」と述べている。(完)

(主な出典:http://lilly.mediaroom.com/2021-08-27-Landmark-trial-demonstrates-Jardiance-R-empagliflozin-is-the-first-therapy-to-show-statistically-significant-improvement-in-heart-failure-outcomes-in-adults-with-preserved-ejection-fraction他)