お知らせ

2021/08/25

Lilly・Lycia、新規Lysosome Targeting Chimera(LYTAC)Degraders 開発に関わる戦略的提携

8 月25 日、Eli Lilly & Co.(Lilly)とLycia Therapeutics, Inc.(Lycia)は、本日、Lycia 独自のLysosome Targeting Chimera(LYTAC)タンパク質分解技術による新規標的治療薬の創薬・開発・商業化に焦点を当てた複数年にわたる共同研究提携とライセンス契約を締結したと発表した。

1. Lycia Therapeutics

同社は、Stanford 大学で培われたLYTAC と称する次世代分解アプローチを使用して、細胞表面受容体や分泌タンパク質など、未開発の細胞外proteome を標的としている。独自のLYTAC 技術を使用して、癌と自己免疫疾患を含む広範な治療の困難な疾患の進行に関わる、細胞外および膜結合タンパク質を細胞内のlysosome に誘導して分解するfirst-in-class の治療薬開発に特化しているバイオ企業である。 LYTAC 技術は、抗体や低分子を含むいくつかの治療法の開発を可能にする可能性があり、以前は様々な治療領域や疾患にわたって難治性と考えられていた多くの標的を阻害できる可能性がある。

2. 契約条件

両社はLycia のLYTAC 技術を利用して、免疫学や痛みなど、Lilly の治療分野において重要で満たされていない医療ニーズに対応することを目的として、最大5 つの標的に向けて新規分解剤を発見し開発することを目指す。Lilly は、候補品の前臨床および臨床開発に単独で責任を負い、契約から得られる潜在的な医薬品の商業化に向けた独占的グローバル・ライセンスを受領する。Lycia はLilly から3,500 万$の一時金を受領すると共に、同社はまた、事前に指定された前臨床、開発、および商業化のマイルストン達成に基づいて、総額16 億$超の潜在的なマイルストンの支払いを受領できる可能性がある。

3. LYTAC

タンパク質を標的とする治療法の殆どは、酵素の阻害やLigand との結合を阻害するといった標的タンパク質の特定の活性を調節する分子に依存している。このため、活性のプロファイルが不明であったり、既存の技術ではその活性を調節出来ないタンパク質は、疾患と関連することが同定されていても、治療の標的になっていない。こうしたundruggable なタンパク質を分解する戦略が2000 年頃から提案・実現されてきた。Stanford 大学の研究グループは、標的タンパク質の細胞外domain に結合する低分子または抗体を、細胞表面からlysosome まで運搬するcation-independent mannose 6-phosphate 受容体(CIM6PR)の作動薬となる化学合成oligoglycopeptide に融合し、標的タンパク質をlysosome へ誘導・分解する複合体を開発し、これをLYTAC (LYsosome-TArgeting Chimaeras)と名付けた。LYTAC によって、タンパク質をコードする全遺伝子の約40%に相当し、癌、加齢関連疾患および自己免疫疾患に関与する細胞外分泌タンパク質や膜タンパク質をlysosome に誘導して分解することが可能になった。(完)

(主な出典:http://lilly.mediaroom.com/2021-08-25-Lilly-and-Lycia-Therapeutics-Enter-into-Strategic-Collaboration-to-Discover-and-Develop-Novel-Lysosomal-Targeting-Chimera-LYTAC-Degraders他)