8 月9 日、Roche は、抗CD79b ADC 薬POLIVY(polatuzumab vedotin-piiq)とR-CHP 療法[MABTHERA /RITUXAN (rituximab)+cyclophosphamide, doxorubicin & prednisone combination (R-CHP)]との併用と、R-CHOP 療法 [MABTHERA /RITUXAN (rituximab)+cyclophosphamide, doxorubicin, vincristine & prednisone combination (R-CHOP)]を比較したpivotal 第3 相POLARIX試験で、未治療のびまん性大細胞型B 細胞リンパ腫(DLBCL)に対して、主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)において統計学的に有意に、かつ臨床的に意義のある延長を示したと発表した。安全性についてはこれまでに実施された臨床試験で認められた結果と同様であった。
1. POLIVY(polatuzumab vedotin-piiq)
本品は、first-in-class の抗CD79b 抗体薬物複合体(ADC)である。CD79b タンパク質は、一部の種類の非ホジキンリンパ腫(NHL)に影響を与える免疫細胞であるB 細胞の大部分に特異的に発現しており、新たな治療法開発の有望な標的となっている。POLIVY は、癌細胞の細胞膜上に発現する CD79b に結合し、抗癌剤の送達によりこれらのB 細胞を殺傷し、正常細胞への影響を抑えると考えられている。POLIVY は、Seattle Genetics(現Seagen)のADC技術を用いてRoche により開発されており、現在、数種類のNHL の治療薬として開発中である。
2. 第3 相POLARIX 試験(NCT03274492)
本試験は、未治療のDLBCL 患者を対象に、POLIVY とR-CHP 療法の併用とR-CHOP 療法の有効性、安全性および薬物動態を評価した無作為化第3 相、二重盲検、placebo 対照試験である。879 人の患者を1:1 の比で2 群に無作為に、POLIVY+R-CHP+vinchristine のplacebo を6 サイクル投与後、RITUXAN を2 サイクル投与群か、R-CHOP+POLIVY のplacebo の6 サイクル投与後、RITUXAN を2 サイクル投与群の何れかに割り付けた。主要評価項目は、Lugano Response Criteria for malignant lymphoma に基づく試験責任医師の評価によるPFS である。POLARIX 試験は、The Lymphoma Study Association(LYSA)およびThe Lymphoma Academic Research Organisation(LYSARC)と共同で実施している。
3. LYSA およびLYSARC
The Lymphoma Study Association(LYSA)は、リンパ腫研究を国際的にリードする協働グループである。新薬のヒトにおける最初の臨床試験から、参照すべき治療戦略の策定を目的とするものまで、幅広い臨床試験を実施している。LYSA は、4 カ国(France、Belgium、Portugal、Israel)にまたがる120 以上の医療施設とのネットワークを有し、多数の研究チームと国際的に協働している。Lymphoma Academic Research Organisation (LYSARC)は、LYSA の実践組織で、リンパ腫に関する国際的臨床研究プロジェクトを実施している。(完)
(主な出典:https://www.roche.com/media/releases/med-cor-2021-08-09.htm 他)