9 月17 日、第一三共とAstraZeneca は、両社が開発中の抗HER2 ADC 薬–ENHERTU (trastuzumab deruxtecan)のポジティブな第2 相DESTINY- Gastric02 試験の詳細な主要結果は、これまでにtrastuzumab を含むレジメンで治療されたHER2 陽性転移性および/または切除不能胃または胃食道接合部(GEJ)腺癌患者に対して、臨床的に意味のある持続性の腫瘍反応を示したと発表した。これらの結果は、2021 年欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2021) Late-Breaking Mini Oral セッションで発表された(#LBA55)。
1. 胃癌:
胃癌は、世界で5 番目に多い癌種で、癌種別死亡数は第4 位になっている。2020年の調査において、世界の新規患者は約100 万人/年、死亡数は約77 万人/年であった。胃癌の約5 分の1 は、HER2 陽性で、病気の進行期の5 年生存率は5~10%と予後不良である。HER2 陽性の切除不能胃癌の全身性の1 次療法は、化学療法とtrastuzumab の併用療法が推奨されているが、これらの投与後に進行した患者に対しては治療の選択肢が限られている。
2. 第2 相DESTINY- Gastric02 試験:
1) 有効性;特にHER2 陽性転移性胃癌またはGEJ腺癌の西欧の患者を対象にしたENHERTU の最初の試験であるDESTINY-Gastric02 の1 次解析では、ENHERTU(6.4 mg / kg)は、独立中央審査(ICR)によって評価された確定奏効率(cORR)として38.0%(n = 30;CI:27.3-49.6)を示した。ENHERTU で治療された合計79 人の患者のうち、3 人(3.8%)の完全奏効(CR)と27 人(34.2%)の部分奏効(PR)が観察された。これらの結果は、以前にNew England Journal of Medicine 誌に発表されたピボタル第2 相DESTINY-Gastric01 試験結果と一致していた。この試験では、trastuzumab、fluoropyrimidine 及び白金製剤含有化学療法を含む2 回以上の前治療レジメンで進行したHER2 陽性進行胃またはGEJ 腺癌の日本と韓国の患者でENHERTU を評価した。追跡期間中央値5.7 カ月経過後、ENHERTU の奏効期間(DoR) の中央値は8.1 カ月(95%CI:4.1-NE)であった。無増悪生存期間(PFS)の中央値は5.5カ月(95%CI:4.2-7.3)であった。81% (95%CI:70.6-89.0)の確定病勢コントロール率(DCR)の探索的評価項目が認められた。
2) 安全性;DESTINY-Gastric02 試験におけるENHERTUの全体的な安全性プロファイルは、DESTINY-Gastric01 試験で観察されたものと一致していた。DESTINY-Gastric02 試験で見られた最も一般的なグレード3 以上の治療関連の有害事象(TRAE)は、貧血(7.6%)、好中球減少症(7.6%)、悪心(3.8%)、倦怠感(3.8%)、嘔吐(1.3%)、下痢(1.3%)、食欲減退(1.3%)、血小板数減少(1.3%)であった。7 人の患者(8.9%)が、TRAE に起因する有害事象により治療を中止した。独立審査委員会よって判定された、治療関連の間質性肺疾患(ILD)、または非感染性肺炎が6人(7.6%)に報告された。大多数(83%)は低グレード(グレード1 またはグレード2)で、グレード5(ILD または肺炎関連の死亡)が1 例あった。(完)
(主な出典:https://daiichisankyo.us/press-releases/-/article/364091/11804536他)