2021/11/05

GSK、腎性貧血患者に対するdaprodustat の第3 相試験の良好な有効性・安全性データ発表

11 月5 日、GlaxoSmithKline(GSK)は、米国腎臓学会学術集会・腎臓週間2021 において、臨床試験中の経口低酸素誘導因子proline 水酸化酵素阻害薬(HIF-PHI;hypoxia-inducible factor prolyl hydroxylase inhibitor)のdaprodustat について、第3 相ASCEND プログラム(慢性腎臓病に伴う貧血患者を対象にした試験:新規proline 水酸化酵素阻害薬であるdaprodustat による赤血球造血試験)から得られた良好な結果を発表した。

1. 背景

有効性および安全性の主要評価項目の結果が良好であったことから、daprodustatが、非透析及び透析期の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血(腎性貧血)患者に対する新たな経口治療薬となる可能性が確認された。daprodustat は、細胞が酸素供給能力を感知して適応する仕組みを示した、Novel 賞受賞の独自の科学的研究に基づいて開発された。

2. daprodustat

本品は、経口低酸素誘導因子proline 水酸化酵素阻害薬(HIF-PH 阻害薬)で、透析の有無に関わらず、成人の腎性貧血を効能・効果とした治療薬である。酸素を検知するproline 水酸化酵素を阻害することで低酸素誘導因子を安定化し、高地で身体に生じる生理学的作用と同様に、貧血の改善に関与するerythropoietin やその他の遺伝子の転写を誘導すると考えられている。daprodustat は、腎性貧血患者に対する利便性の高い経口の治療選択肢として開発された。

3. ASCEND プログラム

腎性貧血患者を対象にCKDの種々の疾病経過におけるdaprodustatの有効性および安全性を評価する、5 本の第3 相試験で構成されている。このプログラムには、最長4.26 年間治療を受けた8,000 例以上の患者が登録された。主要有効性評価解析の評価では、非透析群および透析群の何れにおいても、daprodustat は好ましい忍容性を示した。非透析患者(ASCEND-ND)および透析患者(ASCEND-D)を対象に2 本の第3 相の主要試験結果を含め、daprodustat に関するデータは、米国腎臓学会腎臓週間2021 のLate-breaking として口頭発表された。ASCEND-ND 試験及びASCEND-D 試験結果は、NEJM 誌に同時発表された。

4. ASCEND-ND 試験およびASCEND-D 試験結果

各試験で有効性及び安全性の主要評価項目を達成した。何れの第3 相試験でも、daprodustat の投与によりhemoglobin(Hb)が目標範囲内に改善または維持された。さらに、intention-to-treat(ITT)集団を対象にした主要安全性解析結果では、主要心血管イベント(MACE)(全死因死亡、非致死性心筋梗塞、または非致死性脳卒中と定義)の発現率は各試験内で同程度であった。

1) ASCEND-ND 試験
MACE の初回発現までの時間を反映したハザード比は.03(95%CI:0.89~1.19)であり、事前に規定したマージンを1.25 として非劣性が達成された。

2) ASCEND-D 試験
MACE の初回発現までの時間を反映したハザード比(HR)は0.93 (95%CI:0.81~1.07)であり、事前に規定したマージンを1.25 として非劣性が達成された。各激因子製剤(ESA)と比較して、daprodustat による心血管リスクの増加はないことが示された。daprodustat 投与患者において最も多い有害事象は、高血圧、下痢、透析低血圧、末梢性浮腫および尿路感染症であった。daprodustat は、非透析・透析患者の何れでも、ESA と比べてMACE の主要解析評価で良好な有効性を示した初のHIF-PHI。(完)

(主な出典:https://www.gsk.com/en-gb/media/press-releases/gsk-announces-positive-phase-iii-efficacy-and-safety-data-for-daprodustat-in-patients-with-anaemia-due-to-chronic-kidney-disease/他)