3 月4 日、EMA のヒト用医薬品委員会CHMP が、Russia のGamaleya 国立疫学・微生物センターにより開発されたCOVID-19 vaccine のSPUTNIK V(Gam-COVID-Vac)のローリング審査を開始したと発表した。本剤のEU における申請者は製造受託企業R-Pharm Germany GmbHである。Russia で開発された医薬品のEU への承認申請は初めてである。
CHMP によるローリング審査(RR):RR を開始するとのCHMP の決定は、前臨床試験と成人を対象とにした臨床試験結果に基づいている。これらの研究から、SPUTNIK V がARSCoV-
2 を標的とする抗体と免疫細胞の産生を惹起し、COVID-19 からの防御に役立つ可能性があることを示している。EMA は、SPUTNIK V が、有効性、安全性、品質に関する通常のEU 基準に準拠しているか否かを審査する。
SPUTNIK V:本vaccine は、SARSCoV-2 の感染から身を守るために、体に予め準備させることによって機能することが期待されている。このvirusは、スパイク(S)タンパク質と呼ばれる外表面のタンパク質を使用して細胞内に入り込み、COVID-19 を惹起する。
SPUTNIK V は、adenovirus family に属する2 種の異なるvirus のAd26 とAd5から構成されている。これらのadenovirus は、SARS-CoV-2 のS タンパク質を生成するための遺伝子を挿入されている。これらのvirus は体内で増殖することはできず、疾病を引き起こすこともない。第3 相試験のピアーレビューされた中間解析結果によれば、2 回接種で91.6%の有効性が得られ、重篤な副作用の報告は無く、最も多く報告された副作用は軽度で、フル様の症状と注射部位の痛みであった。英国、南ア、ブラジルで分離された変異株にも有効であることが認められている。既に15 カ国で承認され、3 月中に25 カ国での承認が期待されている。また、欧米大手企業が開発したvaccine にアクセスが困難な低開発国40 カ国以上の国々への供給が検討されている。