お知らせ

2021/03/03

武田、Dravet 症候群/Lennox-Gastaut 症候群治療薬候補soticlestat のグローバルな権利を取得

3 月3 日、武田薬品と、希少神経疾患患者の生活に大きな変化をもたらす治療薬の開発を行うバイオ医薬品企業Ovid Therapeutics Inc.(Ovid)は、当社がDravet 症候群(DS)またはレノックス・ガストー(Lennox-Gastaut)症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にあるsoticlestat(TAK 935/OV935)について、グローバルな開発および販売権をOvid から獲得する独占契約を締結したと発表した。

武田薬品湘南研究所で創製されたsoticlestat のグローバルな権利を武田薬品が獲得し、今後の全世界での開発と販売を単独で担うことになる。Ovid はマイルストン支払いや将来の開発・販売費用を含め、武田薬品に対していかなる金銭的義務も負はない。Ovid は契約時に1 億9,600 万米$の一時金を受領し、開発、承認、発売等の各マイルストン達成時に最大6億6,000 万米$を受領する権利を有している。さらにOvid は、soticlestat が承認・上市された場合、販売額に応じた二桁台前半から最大20%の段階的なロイヤリティを受領する可能性がある。今回の新たな契約は、米国独占禁止法に基づく該当する規制当局による承認を含め、一定のクロージング条件を満たすことを前提に、2021 年3 月末までに完了する予定。

2017 年に締結された両社間の共同開発・販売契約に関する提携により、武田薬品はOvid の株式を取得し、臨床第3 相試験の開始を含む申請・承認等に関するマイルストンに対して最大8,500 万米$を受領する権利を有していた。Ovid は希少小児てんかん領域におけるPOC 試験を成功裏に実施し、グローバルな規模でsoticlestat の開発を主導していた。

soticlestat (TAK 935/OV935) は、強力で選択性の高い、first-in-class の経口cholesterol 24 hydroxylase(CH24H)阻害剤であり、発作感受性を低下させ、発作制御を改善する可能性がある。CH24Hは主に脳で発現し、そこでcholesterolを24S‐hydroxycholestero(l 24HC)に変換し、脳cholesterol の恒常性バランスを調節する。24HC はNMDA 受容体のポジティブallosteric モジュレーターで、てんかんに関連するglutamate 作動性シグナル伝達を調節する。glutamate は脳内の主要な神経伝達物質の1 つであり、発作の開始および進展に関与していることが示されている。最近の論文では、CH24H がNMDA 受容体の調節を介してglutamate 経路の過度な活性化に関与し、CH24H の発現増加がアストロサイトによるglutamate の再取り込みを妨げ、てんかん原性と神経毒性が生じることが示されている。soticlestat によるCH24Hの抑制はニューロンの24HC レベルを低下させ、脳の興奮性/抑制性バランスのゆがみを改善する可能性がある。