糖尿病領域を強化するAZ は今年2月に米国フィラデルフィアを本拠地とする「糖尿病カンパニー」をBMSとの合弁で設立していた。総額43億ドル(4300億円)でBMSから買い取るのは合弁企業の持ち分50%だけでなく、製品の知的財産を含む開発・販売権など、糖尿病領域におけるグローバル事業全体である。DPP-4阻害剤オングリザ、GLP-1受容体作動薬バイエッタ、SGLT-2阻害剤ダパグリフロジンなど、主要製品がそろっている。12年に就任したソリオCEOは糖尿病と呼吸器を重点領域とする方針を表明していたが、事業構造の転換を加速する大きな経営判断を下した。
折しも40億ドルを売上げる主力製品の抗潰瘍剤ネキシウムが最大市場の米国で予想外の後発品参入に悩まされる状況となった。ストロンチウム塩にすることで特許を回避したと主張する韓国の韓美(ハンミ)薬品が裁判結果を待たずに後発品を発売(at risk launch)したためだ [12/17]。08年にAZと和解したランバクシーにとっても痛手だ。和解で成立した14年5月からの FTF権利(First-to-File企業の先行販売権)が無意味となる。