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2022/08/10

BCMAを標的とするCAR-T細胞療法による難治性多発性骨髄腫の治療

 08/10 BMS, BCMA, CAR-T, Multiple myeloma

Bristol Myers Squibb and 2seventy bio Announce Topline Results from KarMMa-3 Trial Showing Abecma (idecabtagene vicleucel) Significantly Improves Progression-Free Survival Versus Standard Regimens in Relapsed and Refractory Multiple Myeloma

  • BCMAを標的とするCAR-T細胞療法アベクマ(Abecma、イデカブタジーン ビクレウセル)が再発および難治性多発性骨髄腫の治療において標準療法と比較して無増悪生存期間を大幅に改善することを示した KarMMa-3 試験のトップライン成績をブリストル マイヤーズ スクイブと 2seventyバイオが発表した。 

2022/06/05

BCMA-CD3二重特異性抗体による再発/難治性・多発性骨髄腫の治療

 06/05, PFE, BCMA, MM

Pfizer Presents First Data from Planned Interim Analysis of Pivotal Phase 2 MagnetisMM-3 Trial of BCMA-CD3 Bispecific Antibody Elranatamab Under Investigation for Relapsed/Refractory Multiple Myeloma

BCMA-CD3二重特異性抗体エラナタマブの再発/難治性・多発性骨髄腫に対する申請用P2マグネティスMM-3試験の中間解析データをファイザーが発表した。

(参考)ASCO 2022において口頭での抄録発表が行われた。当該 P2試験は対照群を設けない多施設、オープンラベル試験である。94症例を登録し、1週間に1回(QW)、76mgの皮下注射(SC)により、客観的奏効率(ORR)は60.6%となった。安全性ではグレード1のサイトカイン放出症候(CRS)が 40.0%、グレード2では 18.9%となったが対応可能であった。

2022/04/15

大塚製薬、阪大とCD98 重鎖を認識する新規抗腫瘍抗体R8H283 の独占的ライセンス契約

国立大学法人大阪大学(大阪大学)と大塚製薬は、大阪大学大学院医学系研究科が同定したCD98 重鎖を認識する新規抗体R8H283 について、大阪大学が大塚製薬に全世界におけるR8H283 を利用した製剤の独占的な実施権を許諾する契約を締結したCD98 重鎖は、様々な組織で発現し、細胞膜上でCD98 軽鎖とヘテロ2量体を形成して、アミノ酸トランスポーターとして機能する。また、CD98 重鎖は複数の癌種において高発現していることが知られている。
R8H283は、大阪大学大学院医学系研究科の保仙直毅教授(血液・腫瘍内科学)らの研究グループで同定された抗CD98 重鎖抗体である。R8H283 は多発性骨髄腫(MM)に特異的な結合を示す。骨髄腫細胞と正常血液細胞に発現するCD98 重鎖の糖鎖修飾の違いがその骨髄腫特異性の原因である可能性を示唆した。さらに、マウスを用いた実験において、R8H283 の投与により、正常細胞が傷害されずに、骨髄腫細胞のみが特異的に排除されることを示した。本年2 月、動物モデルを用いた試験において、R8H283 が顕著な抗腫瘍効果を示したことを発表した。

2022/04/12

新規 BCL-2阻害薬による骨髄線維症患者の治療

04/12AbbVMyelofibrosisBCL-2

AbbVie Presents Positive Investigational Navitoclax Combination Data in Phase 2 REFINE Study Suggesting Anti-Fibrosis Activity for Patients with Myelofibrosis
  • 開発中の新規 BCL-2阻害薬ナビトクラクスを骨髄線維症患者に併用した第2相試験 REFINEにおいて良好な抗線維症活性が示唆されたデータをAbbVieが発表した。

2022/02/28

BCMAを標的とするCAR-T細胞療法による多発性骨髄腫の治療

 02/28, JNJ, CAR-T, BCMA, MM

U.S. FDA Approves CARVYKTI™ (ciltacabtagene autoleucel), Janssen’s First Cell Therapy, a BCMA-Directed CAR-T Immunotherapy for the Treatment of Patients with Relapsed or Refractory Multiple Myeloma
  • FDAはヤンセンにとって初の細胞療法となる、BCMA標的CAR-T免疫療法カルビクティ(cilta-cel)を再発/難治性の多発性骨髄腫に対する治療として承認した。

BCMA標的CAR-T細胞療法による多発性骨髄腫(MM)の治療

 02/28, JNJ, CAR-T, BCMA, MM

U.S. FDA Approves CARVYKTI™ (ciltacabtagene autoleucel), Janssen’s First Cell Therapy, a BCMA-Directed CAR-T Immunotherapy for the Treatment of Patients with Relapsed or Refractory Multiple Myeloma
  • FDAはヤンセンにとって初の細胞療法となる、BCMA標的CAR-T細胞療法カルビクティ(cilta-cel)を再発/難治性の多発性骨髄腫に対する治療として承認した。

2021/05/26

FDA, 再発/難治性多発性骨髄腫に対するLegend BiotechのBCMA CAR-T BLAを優先審査

5月26日、癌やその他の新しい効能を目指して、新規な細胞療法の創薬と開発に特化しているグローバル臨床段階のバイオ医薬品企業で、中国企業のLegend Biotech Corp.(Legend)は、開発中の抗B細胞成熟抗原(BCMA)CAR T細胞療法候補ciltacabtagene autoleucel (cilta-cel) について、共同開発パートナーのJanssen Biotech, Inc. (Janssen)が提出した BLA がFDAに受理され、優先審査に指定されたと発表した。処方薬ユーザーフィー(PDUFA)による審査の目標ゴールは、2021年11月29日に設定された。

1. cilta-cel:
本品は、再発または難治性多発性骨髄腫のより早期の治療法を目指した包括的な臨床開発プログラムで、開発中のキメラ抗原受容体 T 細胞(CAR-T)療法である。CAR Tのデザインは、構造面で他のCAR Tと差別化されており、2つのBCMA標的単一ドメイン抗体で構成されている。2017 年 12 月、にLegendはJanssenと、Cilta-celの開発と商業化に関するグローバルな独占契約を締結した。2019 年 12 月に米国FDAから受けたBreakthrough Therapy Designation (BTD)に加えて、cilta-cel は 2019 年 4 月にEMAから PRIority MEdicines (PRIME) 指定を受け、2020 年 8 月には中国で BTD を取得した。2019 年 2 月に米国 FDA によって、また 2020 年 2 月に欧州委員会によって 希少病薬指定が付与された。更にFDAに加えてEMAによっても販売承認申請が受理されている。

2. 販売承認申請の根拠:
cilta-cel のBLAまたはMAAの規制当局への提出は、再発性および/または難治性多発性骨髄腫患者を対象に、cilta-celの有効性と安全性を評価したピボタル第 1b/2相CARTITUDE-1試験結果に基づいている。長期フォローアップの更新データは、近く開催される米国臨床腫瘍学会 (ASCO) の年次総会(抄録 #8005) および欧州血液学会 (EHA) (抄録 #EP964)。(次報で報告)

3. 第1b/2相CARTITUDE-1試験(NCT03548207):
CARTITUDE-1 試験は、再発性および/または難治性の多発性骨髄腫の成人で、少なくとも 3 回の前治療歴があるか、またはプロテアソーム阻害剤 (PI) および免疫調節薬 (IMiD) の2剤に難治性の多発性骨髄腫の成人患者、および最新の治療としてPI、IMiD、および抗 CD38 抗体を投与され、治療を開始してから 12 カ月以内に病勢が進行したと診断された患者を対象に、cilta-celの安全性と有効性を評価する第1b/2相、非盲検、多施設共同試験である。試験の第1b相の部分は、安全性を評価し、cilta-celの第2相試験の推奨用量を確認することであった。LCAR-B38M CAR-T 細胞 (LEGEND-2) を用いた初めてのヒト試験の第2相試験の部分では、cilta-celの有効性をさらに評価し、全体的な寛解率(ORR)を主要評価項目とした。試験結果は、ASCOの発表を次報で報告する。

2021/05/12

抗BCMA CAR T cilta-cel再発・難治性多発性骨髄腫:に対するCARTITUDE-2試験結果発表

5月12日、中国系バイオ医薬品企業のLegend Biotech Corp.(Legend)は、Janssen Biotech, Inc. (Janssen)と共同開発中の抗BCMA CAR T細胞療法ciltacabtagene autoleucel (cilta-cel) について、ASCO 2021での発表が受理されたと発表した(Abstract #8013; Poster Discussion Session)。

1. 背景:
cilta-cel は、高い親和性を有する2つの抗BCMA 結合単一ドメインを有する抗体を発現する CAR T 細胞療法。複数のコホートからなる第2相CARTITUDE-2試験(NCT04133636) は、外来患者を含め、多様な臨床症状を示す多発性骨髄腫(MM)患者のcilta-celの安全性と有効性を評価する試験である。今回コホートAの最初の試験結果を紹介する。

2. 方法:
コホートAの患者は、proteasome阻害剤(PI)、および免疫調節薬(IMiD)を含む1 ~3回の前治療(LOT)後に進行し、lenalidomide難治性、抗BCMA標的薬の治療歴の無いMM患者に対して、cilta-celの単回注入(目標用量: 0.75±106 CAR+生存T細胞/kg)は、リンパ球枯渇療法 [毎日cyclophosphamide (300 mg/m2) およびfuldarabine (30 mg/m2) 3日間] 開始後 5~7日目に投与された。 主要評価項目の微小残存病変(MRD)は10-5で陰性とした。副次評価項目は、寛解率(IMWG)と安全性(CTCAEによるCRSとICANS、ASTCT )であった。

3. 結果:
1) 有効性;2021 年 2 月データカットオフ時点(追跡期間の中央値: 5.8カ月;範囲: 2.5–9.8カ月)で、20人[男性 65%, 年齢中央値60歳(38–75)]がcilta-cel を投与された。1人の患者が外来で治療を受けた。患者の、LOTの中央値は 2回(範囲1–3)であった。 12人の患者のLOTが3回以下、8人が3回を経験していた。全ての患者は、PI、IMiD、およびdexamethasoneに暴露され、95% がアルキル化剤の投与を受け、65%がdaratumumab を投与されていた。大多数の患者(95%)は、直近のLOT に対して難治性で、 40% の患者が3剤に難治性を示していた。全体の寛解率(ORR)は 95% (95% CI: 75-100)、75% (95% CI: 51-91) が厳格な完全寛解(CR)/完全寛解(CR)を達成、85% (95% CI: 62-97) が非常に良好な部分寛解(≧VGPR)以上を達成した。最初の寛解達成までの期間の中央値は 1.0カ月(0.7–3.3) 、最良の寛解達成までの期間の中央値は1.9カ月(0.9–5.1)、寛解期間の中央値は未達である。データカットオフ時点で 微小残存病変(MRD)の評価可能な患者(n = 4)が10-5 で陰性であった。

2) 安全性
 ≧20% の血液学的有害事象(AEs)は、好中球減少((95%; GR 3/4: 90%)、血小板減少(80%; GR 3/4: 35%)、貧血(65%; GR3/4: 40%)、リンパ球減少(60 %; GR3/4: 55%)、および白血球減少(55%; 全GR 3/4)。 Cytokine 放出症候群(CRS)は 85%に発生し、10% がGR 3/4であった。CRS 発症までの期間の中央値は7日(5~9日)、症状発症期間の中央値は 3.5 日(2~11日)であった。神経毒性は、患者の20%(全てGR 1/2)に発生、3人が免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群(ICANS) (1人がGR 1; 2人がGR 2)を発症した。発症までの期間の中央値は8日(7~11日)、発症期間の中央値は2日(1~2日)であった。1人にGR 2の顔面麻痺が発症し、発症までの期間は29日、発症期間は51日であった。COVID-19により1人が死亡した(試験担当医師は、治療に関連と診断)。外来患者の安全性プロファイルは管理可能であった。

4. 結論:
cilta-cel 1回注入により、1~3回LOTを経験したMM 患者において管理可能な安全性プロファイルを伴う早期の、かつ強力な寛解を達成した。更新された有効性と安全性の知見は外来患者にも適用可能なことを示した。(完)

(主な出典:https://investors.legendbiotech.com/news-releases/news-release-details/legend-biotech-reports-new-and-updated-data-bcma-car-t-program

2021/03/31

FDA、多発性骨髄腫に対するSARCLISA + carfilzomib+dexamethasone との併用を追加承認

 3 月31 日、Sanofi は、FDA が、1~3 レジメンの前治療歴のある再発又は難治性多発性骨髄腫(r/rMM)の成人患者に対して標準療法のcarfilzomib + dexamethasone との併用療法として抗CD38 抗薬SARCLISA (isatuximab)を追加承認したと発表した。今回の承認は、SARCLISAに対するFDA の承認としては2020 年3 月の初回承認に続いて2 回目の承認になる。

1. 関係者のコメント:

1) California 大学San Francisco(UCSF)医学部、 骨髄腫プログラム副部長、成人白血病骨髄移植プログラム担当、Helen Diller Family Comprehensive Cancer Center共同リーダーProfessor Dr. Thomas G. Martin;「第3 相IKEMA 試験で、SARCLISA をcarfilzomib+ dexamethasone 併用療法に追加投与したところ、病勢進行または死亡のリスクが45%低下した。今回の承認は、再発患者にとって重要な進歩であり、SARCLISA が、r/rMM の標準療法になる可能性がさらに高まることになった。」と述べている。

2) Sanofi Oncology & Pediatric Innovation のグローバル開発のヘッドDr. Peter C. Adamson;「r/rMM 患者の治療は依然として難しく、何度も再発をくりかえした患者の予後は不良である。今回の承認により、SARCLISA は、1 回目の再発時からMM患者の治療薬として2 種類の標準療法レジメンと併用できる医薬品となった。本日のマイルストン達成は、SARCLISAをr/rMM 患者に選ばれる抗CD38 抗体治療薬にしたいという当社の目標に向けたさらなる一歩になった。」と述べている。

2. 承認の根拠にした臨床試験デザインと有効性:無作為化、多施設共同、非盲検、第3 相IKEMA 試験のデータに基づいている。本試験は、16 カ国69 施設で治療を受けているr/rMM患者302 人を対象に実施された。この試験では、SARCLISA をMM の標準療法であるcarfilzomib + dexamethasone 併用療法(Kd)に上乗せ投与した患者群(SARCLISA 併用群)はKd のみを投与群に比べ、病勢進行または死亡のリスクが45%低下した [ハザード比(HR)=0.548;95% CI;0.366-0.822; p=0.0032]。試験プロトコルで設定した中間解析時の主要評価項目の無増悪生存期間(PFS)は、SARCLISA 併用群では中央値に到達していなかった。試験には、高齢者、細胞遺伝学的リスクが高い患者、腎機能障害のある患者など、治療の難しい患者も参加したが、2 群間のベースライン時点の患者背景に偏りはなかった。副次評価項目は、SARCLISA 併用群とKd 群の奏効率(ORR)の比較で、完全奏効率(CR)や 最良部分奏効率(VGPR)についても比較した。ORR には有意差が無く、SARCLISA 併用群86.6%、Kd 群82.9%であった(p=0.3859)。CR はSARCLISA 併用群39.7%、Kd 群27.6%であった。VGPR 率は、SARCLISA 併用群33%、Kd 群28.5%であった。中間解析の全生存期間(OS)は未達であった。

3. 安全性:

SARCLISA 併用群で発現率が高かった副作用(グレードの別なく患者の 20%以上にみられた有害事象、以下SARCLISA 併用群 vs. Kd 群)は、上気道感染(67% vs. 57%)、Infusion 反応(46% vs. 3.3%)、疲労(42% vs. 32%)、高血圧(37% vs. 32%)、下痢(36% vs.29%)、肺炎(36% vs. 30%)、呼吸困難(29% vs. 24%)、気管支炎(24% vs. 13%)および咳嗽(23% vs. 15%)であった。SARCLISA 併用群の5%以上に現れた重篤な副作用は、肺炎(25%)と上気道感染(9%)であった。SARCLISA 併用群では、8%が副作用(グレード1~4)により治療を中止、患者の2.8%は感染症のため治療を中止した。

2021/02/17

BCMA阻害薬による多発性骨髄腫の治療

02/17, PFE, BCMA, ADC, MM
Pfizer Initiates Pivotal Phase 2 Magnetismm-3 Trial of BCMA-CD3 Bispecific Antibody elranatamab (Pf-06863135) in Multiple Myeloma
  • ファイザーはBCMAとCD3を標的とする二重特異性抗体エルラナタマブの申請用フェーズ2試験を多発性骨髄腫を対象に開始した。
(参考)
多発性骨髄腫の主要な3種類の治療法(抗CD38抗体、プロテアソーム阻害薬、免疫調整薬)をすべて施した後に再発した難治性の患者150名を登録する。多施設・非ランダム化のオープンラベル試験であるが、主要評価項目の客観的奏効率(ORR)はブラインドされた独立中央評価委員会によって評価される。さらに、奏功期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、微小残存病変陰性率(MRDNR)および全生存期間(OS)を副次評価項目としている。

2021/01/06

タケダ薬品のR&D説明会(2020年12月9日開催)について(あらためてシャイアー問題を検証する)

10年後 2030年の目標とする売上収益5兆円の根拠を示す説明が不十分であったためか、株式市場の反応は冷ややかだった。量的にも直ちに理解することは難しい内容だったが会社説明の論点を、

① シャイアー統合後の売上収益は3兆3000億円前後のまま低迷しているが、「 5 年後の2024 年度には、主力品の落ち込み 45億ドル(ほぼ5000億円)を上回るグローバル製品の増加 80 億ドルが貢献して3兆5000 億円へと拡大する」、

② 「 10 年後の 2030 年にはパイプラインから 1兆 5000億円が貢献して 5 兆円に達する」、

という2つの段階に分けて考察してみたい。

まず、②「10年後(2030年)のパイプライン評価額1兆5000億円」については、全品目の成功確率を100%と仮定した非現実的な数値であった。一方で、その成功確率を半分以下に見積もった 6000億円程度が「WAVE 1 PTS調整後」としてグラフに示されており、全体としては信憑性が保たれているよう見える。しかしながら、根拠がないとさえ感じられる過大な数値を10年後の目標としてCEOが説明会の冒頭に発表しており、無責任な印象が強く残った。また、内容を詳細に見ていくと、個々の数値目標にも多くの疑問が残る。

特に問題なのは、 最大プロジェクト として60億ドル(6500億円)を見込むオレキシン化合物のナルコレプシー治療薬である。額面通りに実現すれば、グローバル製品の売上ランキングでトップ10に入ることになる。しかし、希少病治療薬におけるこれまでの最大売上は、アレクシオンのヘモグロビン尿症治療薬ソリリスの39億ドル(4200億円)であり、ランキングは21位である。

タケダのナルコレプシー治療薬がソリリスを2300億円も上回るという計画の根拠は不明である。経口剤のTAK-994は登録症例数202例を目標とするフェーズ2試験段階にあり、完了するのは2021年5月の予定、注射剤のTAK-925はフェーズ1を終了したばかりである。フェーズ2も終了していない段階ではどうのような根拠であれ、責任ある説明にはならない。2021年4月6日に開催される投資家イベントでの詳細説明が待たれる。

前後したが、①「5年後(2024年)に想定される既存製品の減少」については45億ドルにとどまらないと予測される。説明資料8ページのグラフでは、2019年度に3300億円だった血友病領域は2000億円前後へと40%ほどしか減少しない想定と見えるが、さらに1000億円減少して3分の1(1100億円)以下となる可能性が高いと思われる。

その根拠は、ロシュの二重特異性抗体ヘムライブラだけでなく、バイエルのJivi、ノボノルディスクのESPEROCT、サノフィのEloctateといったPEG化遺伝子組み換えファクターVIII製剤との競合が激化していることにより、アドベイトの後継品アディノベイトの成長が見込めないからである。さらに、ファイザーが発表した新規抗TFPI抗体やフェーズ3に進んだ遺伝子治療SB-525など、5年後にはさまざまな競合品が市場に参入している可能性が大きい。

仮に、全体の売上減少額が想定通り45億ドルにとどまるとしても、グローバルブランドによる上乗せ額として想定する80億ドルが45億ドル(4800億円)を下回る可能性が高く、売上収益は横ばいを維持することさえ困難な状況と見える。

タケダが期待する上乗せ額45億ドルの2/3以上は、2024年度売上65億ドル(2019年比33億ドル増加)を見込む潰瘍性大腸炎治療薬エンティビオの増加である。しかし、市場競合と開発パイプラインの状況を見ると、エンティビオの売上は47億ドル(5000億円)程度、15億ドルの増加にとどまりそうである。

最大の競合品であるヤンセンの抗IL-23抗体ステラーラ(適応症:潰瘍性大腸炎/クローン病、尋常性乾癬、乾癬性関節炎)の2019年売上は、グローバル医薬品売上8位となる67億ドルである。比較すると、エンティビオには消化器領域の適応症しかないうえ、最大市場の米国では皮下注製剤の承認が遅れている。さらに経口JAK阻害剤の抗リウマチ薬が続々と潰瘍性大腸炎へ適応拡大されてくる状況から、競合が激化すると予想される。

多発性骨髄腫治療薬ニンラーロに対する期待も過剰気味である。一次療法の効能追加に失敗し、高位予想20億ドルどころか、低位予想の15億ドルも厳しい状況である。同じ2015年に発売されたヤンセンのダーザレックスは、昨年、一次療法の効能追加が承認され、売上は1000億円増加、3000億円に達している。

「武田薬品の将来を考える会」のレポートでは、エンティビオとニンラーロの現状を分析し、タケダ薬品が想定する3つの数値、

(1) 2030年5兆円の売上収益

(2) 2024年までの主力品減少額 45億ドル

(3) 2024年までのグローバル製品の上乗せ80億ドル

について、現実性を分析している。

おわりに(シャイアーの買収統合を振り返って)

タケダ経営陣が想定する以下3つの数値からみて、シャイアー社統合の成否について考察する。
  ① 2030年5兆円の売上収益
  ② 2024年までの主力品の売り上げ減少額 45億ドル
  ③ 2024年までのグローバル製品の上乗せ 80億ドル

まず、① 2030年(10年後)の売上収益目標5兆円については、タケダ経営陣が想定する研究開発パイプラインの貢献額 1兆5000億円において旧シャイアー社製品の合計は4000億円以下(34億ドル)であり、現実的には2000億円にも満たない。

一方、②5年後(2024年)に想定する45億ドル(4800億円)の売上減少は、2/3以上(3300億円)がシャイアー社製品によるものである。さらに、2024年までに米国において特許満了となる11品目の内、10品目(2019年度売上合計4300億円以上)がシャイアー社製品である。

このような状況から、タケダが公表した2030年までの売上予想額において シャイアー社買収はマイナス要因となっているように見える。さらに、③ 5年後(2024年度)にタケダが期待する「グローバルブランド12品目による80億ドル以上の上乗せ」については、実現の可能性が低いと思われるが、この数値においても旧シャイアー品目の貢献は26億ドル(2800億円)と1/3以下である。

このようにタケダが示している製品売上予想を分析してみると、シャイアー社買収に起因する問題が浮かびあがってくる。いずれにしても当面の焦点はタケダが5年後(2024年度)に想定する既存製品の減少45億ドルと、これを上回るとするグローバルブランドによる貢献80億ドルの現実性である。

現実的な想定で試算すると減少額は45億ドルを上回り、グローバルブランドによる上乗せ額は45億ドル前後にとどまる。すなわち、今後5年間の成長はほとんど見込めず、最終損益の回復も見通せない状況が続くと判断される。

2020/12/31

多発性骨髄腫の治療薬として開発中の二重特異性抗体医薬

 12月上旬にオンライン開催された米国血液学会(ASH)では、CD3による細胞免疫を誘導しながら、BMCA(B細胞成熟抗原)やGPRC5D(Gタンパク質共役受容体クラス5メンバーD)などを標的とする二重特異性抗体の新薬が次々と登場した。ファイザーのpf---3135、ヤンセンのタルケタマブ、リジェネロンのREGN5458、アムジェンのAMG 701は、いずれも初期臨床試験の段階だが多発性骨髄腫(MM)で好成績をおさめている。ヤンセンはBCMAを標的とするCAR-T細胞療法 cilta-cel のフェーズ1b/2試験の好成績もASHで発表した。

本年(2020年)8月にMM治療薬として承認されたGSKのBLENREP(一般名:ベランタマブ)は二重特異性抗体ではなくADC(抗体薬物複合体)治療薬であるが、初めてのBCMA標的薬となった。ベランタマブの適応症は4剤以上の前治療歴がある場合(5L)に限定されているが、いずれはベランタマブも含めてBCMA標的の一次選択(1L)治療薬が出てくる可能性が高い。MM治療薬は2019年実績108億ドル(1兆1200億円)のレブラミド(ブリストルマイヤーズ・スクイブ)や発売後4年で30億ドル(3200億円)に達したダーザレックス(ヤンセン)など、市場性が大きいだけに開発段階から激しい競合が繰り広げられている。

(参考)タケダ薬品が2008年に買収したミレニアムの主力品ベルケイドはプロテアソーム阻害剤の多発性骨髄腫治療薬であった。ピーク時には導出先のヤンセンが1700億円、タケダ薬品が1600億円を売上げたが、特許終了にともない売上高は激減している。プロテアソーム阻害剤の後継品ニンラーロは経口剤となって2015年に発売されたが、2019年売上高は770億円にとどまっている。さらに一次療法への適応症拡大を目指した臨床試験が本年(2020年)9月に失敗しており、競合品の開発状況から判断すると、タケダ薬品が12月のR&D説明会で提示した1500億円の目標は不可能と映る。

12/07, PFE, BCMA, CD3, Bispec-Ab, Multiple myeloma

Pfizer reports positive clinical data for BCMA-CD3 bispecific antibody (pf-06863135) in multiple myeloma
  • ファイザーは多発性骨髄腫に対するBCMA-CD3二重特異性抗体(pf-06863135)の良好な臨床データを報告した。

12/05, JNJ, Bispec-mAb, Multiple myeloma, GPRC5D, CD3

Janssen Presents First Data from the Phase 1 Study of the GPRC5DxCD3 Bispecific Talquetamab in Patients with Relapsed or Refractory Multiple Myeloma
  • ヤンセンは再発・難治性の多発性骨髄腫患者におけるGPRC5DxCD3二重特異性抗体タルケタマブの第1相臨床試験の最初のデータを発表した。

12/05, REGN, BCMA, CD3, Multiple myeloma, Bispec-Ab

Regeneron's BCMAxCD3 bispecific antibody (REGN5458) shows deep and durable responses in patients with heavily-pretreated multiple myeloma in phase 1
  • リジェネロンのBCMAxCD3二重特異性抗体(REGN5458) は多重治療歴の多発性骨髄腫患者におけるフェーズ1試験で強度かつ持続的な反応が確認された。

12/05, AMGN, BCMA, MM

Amgen To Present First Clinical Data For BCMA-Targeted Half-Life Extended BiTE® Therapy AMG 701 At ASH 2020 -- 83% Overall Response Rate in Most Recent Evaluable Cohort of Heavily Pre-Treated Multiple Myeloma Patients
  • アムジェンはBCMA標的の半減期延長BiTE抗体治療薬AMG 701について最初の臨床データを発表、多重治療歴・多発性骨髄腫患者を登録した最新の評価可能群において全奏効率(ORR)は83%となった。

2020/09/10

経口プロテアソーム阻害薬による多発性骨髄腫の一次治療

09/10 Takeda, Proteasome, Multiple myeloma
Takeda Announces Results from Phase 3 Clinical Trial Evaluating NINLARO™ (ixazomib) in Newly Diagnosed Multiple Myeloma

多発性骨髄腫の新規患者を対象としたニンラーロ(一般名:イキサゾミブ)の第3相試験結果を武田薬品が発表した。標準的な一次治療であるレナリドマイド(販売名:レブラミド)とステロイド薬デキサメタゾンの併用療法にニンラーロを追加した。無増悪生存期間(PFS)は35.3か月となり、プラセボを追加した対照群の21.8か月を13.5か月(62%)も上回った。しかしながらp値は0.073と大きく、統計的有意差を証明するには程遠かった。

プロテアソーム阻害薬の競合品であるカイプロリスは8月にFDAがダーザレックスとの併用を承認した。承認根拠とされたフェーズ3試験CANDORは466症例を登録して従来のKd療法(カイプロリス+デキサメタゾン)とダーザレックスを追加したDKd療法を比較し、病勢進行リスクを37%軽減、統計的有意差はp値0.0014をもって証明された。

武田薬品の発表には登録症例数が示されていないため、失敗の原因は判然としないが症例数が大きければ余裕をもって有意差が得られたのではないかと推察される。多発性骨髄腫はレブラミドが110億ドル(1兆2000億円)を売上げる巨大市場である。カイプロリスはニンラーロ(8億ドル)を抜いて10億ドルに達しており、急伸して30億ドルに達したダーザレックスとの併用が承認されたことから20憶ドルへ倍増する可能性も見えてきた。武田薬品は1000億円を投じてでも、症例数を数倍にして有意差を出さねばならない状況だった。

2020/08/06

多発性骨髄腫に対するB細胞成熟抗原(BCMA)を標的とするADC(抗体薬物複合体)治療薬

08/06  GSK BCMA inhibitor Multiple myeloma
FDA approves GSK’s BLENREP (belantamab mafodotin-blmf) for the treatment of patients with relapsed or refractory multiple myeloma

GSKが開発したB細胞成熟抗原標的ADC(抗体薬物複合体)治療薬ベランタマブ・マフォドチン-blmfが再発・難治性の多発性骨髄腫治療薬としてFDA承認を取得した。抗CD-38抗体、プロテアソーム阻害薬、免疫抑制剤、など少なくとも4種類以上の前治療歴がある再発・難治性の成人患者に対する単独療法として承認された。販売名はBLENREP(ブレンレップ?)、世界で初めて承認された抗BCMA治療薬となる。

2020/05/13

ヤンセンの多発性骨髄腫に対するCAR-T細胞療法

05/13 JNJ, CAR-T Therapy, Multiple myeloma (MM)

Janssen’s BCMA CAR-T Therapy JNJ-4528 Showed Early, Deep and Durable Responses in Heavily Pretreated Patients with Multiple Myeloma 
  • Longer-term follow-up data from Phase 1b/2 CARTITUDE-1 study demonstrate 100% overall response rate, 86% stringent complete response rate at a median of 11.5 months and 86% progression-free survival at 9 months
ヤンセンのB細胞成熟抗原CAR-T療法JNJ-4528は、多重の前治療歴を持つ多発性骨髄腫患者に対して早期に深甚で持続性の治療効果を示した。フェーズ1b / 2試験 CARTITUDE-1の長期追跡データは全奏効率が100%、厳格完全奏効率は中央値11.5か月時点で86%、9か月時点の無増悪生存率86%を示した。

2020/05/12

再発・多発性骨髄腫に対するCD38標的抗体薬の治療効果

05/12 Sanofi, CD38, Multiple myeloma (MM)

Sarclisa® (isatuximab) Phase 3 IKEMA trial meets primary endpoint early in patients with relapsed multiple myeloma 
  • IKEMA trial results released early based on recommendation of an Independent Data Monitoring Committee. Addition of Sarclisa significantly reduced the risk of disease progression or death compared to carfilzomib and dexamethasone alone
再発・多発性骨髄腫患者を対象としたサルクリサ(Sarclisa®、一般名:イサツキシマブ)のフェーズ3 試験IKEMAは主要評価項目を早期に達成した。独立データ監視委員会の推奨に基づいて早期に開封されたIKEMA試験の結果、サルクリサの追加投与はカーフィルゾミブとデキサメタゾンのみを投与した患者群と比較して、疾患の進行または死亡のリスクを大幅に減少した。

2020/03/02

多発性骨髄腫に対する抗CD38抗体医薬をFDAが承認

03/02 Sanofi, CD38, Multiple myeloma (MM)
Sanofi : FDA approves Sarclisa® (isatuximab-irfc) for patients with relapsed refractory multiple myeloma

サノフィのCD38抗体イサツキシマブ(商品名:サークリサ)を再発・難治性の多発性骨髄腫の治療薬としてFDAが承認した。ポマリドマイド/デキサメサゾン併用療法に追加投与して病勢進行または死亡を40%減少した。

(参考)
2015年に初のCD38抗体として承認されたダーザレックス(ヤンセン)は昨年(2019年)30億ドル(3200億円)に達し、多発性骨髄腫の治療薬としてはレブラミド112億ドル(1兆2000億円)に次ぐ大型製品となっている。ポマリドミド(商品名:ポマリスト)はレブラミド(一般名:レナリドミド)と同様にギリアドが開発したサリドマイド誘導体である。2013年2月に承認され、レブラミドとならんで順調に成長している。2019年売上高は25億ドルに達し、多発性骨髄腫市場ではダーザレックスに次ぐ3位となった。

2020/01/21

BCMA標的ADC(抗体薬物複合体)による多発性骨髄腫の治療

  • US Food and Drug Administration (FDA) grants priority review of belantamab mafodotin for patients with relapsed or refractory multiple myeloma - with potential to be the first anti-BCMA treatment available to patients

グラクソスミスクラインが再発・難治性の多発性硬化症治療薬として開発した、B細胞成熟抗原(B-cell maturation antigen)を標的とする抗体薬物複合体(ADC)ベランタマブ・マフォドチンの承認申請をFDAが優先審査に指定した。承認されれば患者に届けられる初めての抗BCMA治療薬となる。

2019/12/16

抗BCMA抗体による多発性骨髄腫の治療

  • Pivotal DREAMM-2 study demonstrated a clinically meaningful overall response rate with belantamab mafodotin (GSK2857916) for patients with relapsed/refractory multiple myeloma (再発・難治性の多発性骨髄腫の患者を対象とする申請用臨床試験において、ベランタマブ(GSK2875916)は有意義な全奏効率を示した)
  • ベランタマブはグラクソがSeattle Geneticsのリンカー技術と協和発酵キリンのポテリジェント技術を導入して開発したADC(抗体薬物複合体)医薬であり、B細胞成熟抗原(BCMA)を標的としている。すでに多重治療が施され、CD38標的抗体医薬に対して不耐容となった再発・難治性の多発性骨髄腫の患者97例を登録した申請用フェーズ3試験において31%の全奏効率を示した。

(参考)
ヤンセンが開発したCD38標的抗体ダーザレックスは2015年に承認され、多発性骨髄腫を適応症として2018年売上高は20憶㌦に達した。その他のCD38標的抗体はサノフィが開発中のイサツキシマブが昨年(2019年)7月にBLA申請が受理されている。臨床段階にある抗BCMA抗体医薬はGSKのベランタマブだけである。

2019/12/06

多発性骨髄腫を対象とするCAR-T治療薬をFDAが画期的治療に指定

  • Janssen Announces BCMA CAR-T Therapy JNJ-4528 Granted U.S. FDA Breakthrough Therapy Designation for the Treatment of Relapsed or Refractory Multiple Myeloma (ヤンセンが開発中のBCMA標的CAR-T治療薬JNJ-4528が再発性・難治性の多発性骨髄腫に対してFDAの画期的治療指定(BTD)を取得した)

(参考)
CAR-T治療薬として初めて承認されたキムリア(ノバルティス)は2017年8月にB細胞急性リンパ性白血病(ALL)、2018年5月にB細胞リンパ腫の適応症を取得し、続いて慢性リンパ性白血病(CLL)に対する適応を模索している。カイト(現ギリアド)が2017年10月に承認取得したイエスカルタはびまん性大細胞B細胞リンパ腫を適応症としており、急性リンパ性白血病(ALL)についてはフェーズ1/2臨床試験の段階にある。骨髄腫を対象とする臨床試験を実施しているCAR-T治療薬は、現時点ではヤンセンのJNJ-4528だけである。