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2023/05/08

エーザイ、抗体薬物複合体BB-1701についてBlissBioと戦略的提携に向け共同開発契約締結

エーザイは、抗体薬物複合体(ADC) BB-1701 について、Bliss Biopharmaceutical (Hangzhou) Co., Ltd.(中国浙江省、BlissBio)と戦略的提携に向けたオプション権を有する共同開発契約を締結したと発表した。
BB-1701は、エーザイ創製の抗癌剤 エリブリンを、リンカーを介して抗 HER2 抗体に化学結合させた ADC で、HER2 を発現している乳癌、肺癌をはじめとした固形癌への直接的な細胞毒性(免疫原性細胞死を含む)、バイスタンダー効果および免疫応答誘導性細胞死などの複合的な作用機序による抗腫瘍効果が期待される。エリブリン を ペイロード としたリンカー-ペイロードは、エーザイの米国研究拠点である Exton Site が開発した独自の技術基盤であり、様々な抗体への結合を検討している。2018 年に締結した両社によるライセンス契約に基づいて、エーザイは、エリブリンをペイロードとした複数の ADC について、BlissBio にグローバルな独占的開発権を付与している。BB-1701 について、現在 BlissBio が実施している第 1/2 相臨床試験の状況を踏まえ、共同開発を行うことになった。

2023/03/31

抗amyloidβprotofibril 抗体レカネマブ、第2 相201 試験3 つの追加解析結果NEJMに掲載

エーザイとBiogen Inc,(Biogen)の、抗amyloidβ(Aβ)protofibril 抗体レカネマブ(米国製品名:LEQEMBI)の早期アルツハイマー病(AD)の被験者に対する有効性と安全性を評価した第2b相201試験で、3件の追加解析結果が査読学術誌に掲載された。
201 試験は、早期AD被験者856人を対象に実施された多施設共同、二重盲検、プラセボ対照、第2b 相試験で、コア試験では主要評価項目として12 カ月投与時のADCOMS(Alzheimer’s Disease Composite Score)による臨床症状の変化を評価した。主要副次評価項目として18 カ月投与時のADCOMS、CDR-SB(Clinical Dementia Rating-Sum-of-Boxes)およびADAS-Cog14(Alzheimer Disease Assessment Scale-Cognitive Subscale14)による臨床症状の変化等を評価した。本試験において、レカネマブ の18 カ月投与時の臨床効果を複数の統計モデルを用いて評価した結果、プラセボと比較してADCOMS では29.1~37.4%、CDR-SB では26.5~38.4%、ADAS-Cog では37.4~55.9%の悪化抑制となり、一貫した効果が確認された。

2023/03/06

AD 治療薬LEQEMBI(レカネマブ)の標準承認に向けたsBLA をFDA が優先審査指定

エーザイとBiogen, Inc.は、LEQEMBI(一般名:レカネマブ)の迅速プログラムの加速承認から従来の標準承認への変更に向けた一変申請(sBLA)が、FDAに受理され、優先審査に指定された上で、PDUFA の審査終了目標日が2023年7月6日に設定されたと発表した。
LEQEMBIは、可溶性(protofibril)および不溶性amyloidβ(Aβ)凝集体に対するヒト化IgG1モノクローナル抗体である。米国において、2023年1月6日にアルツハイマー 病の治療薬として加速承認され、同日、標準承認に向けたsBLA をFDA に提出した。LEQEMBIによる治療は、Aβ病理が確認されたAD による軽度認知障害または軽度認知症の患者において開始する必要がある。
日本において、エーザイは、2023年1月16日に、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に製造販売承認申請を行い、1月26日に厚生労働省より優先審査に指定された。欧州においても、2023年1月9日にEMAに販売承認申請(MAA)を提出し、1月26日に受理された。中国においては、2022年12月に国家薬品監督管理局(NMPA)にBLAのデータ提出を開始し、2023年2月27日に優先審査に指定された。

2022/08/03

切除不能な肝細胞がんに対するPD-1阻害薬とマルチキナーゼ阻害薬の併用

 08/03, Merck, Eisai, PD-1, MKI, HCC

Merck and Eisai Provide Update on Phase 3 LEAP-002 Trial Evaluating KEYTRUDA® (pembrolizumab) Plus LENVIMA® (lenvatinib) Versus LENVIMA Monotherapy in Patients With Unresectable Hepatocellular Carcinoma

  • 切除不能な肝細胞がん患者を対象に キートルーダ (ペムブロリズマブ) と レンビマ (レンバチニブ) の併用とレンビマの単独投与を比較した第3相試験 LEAP-002 最新情報(失敗)をメルクとエーザイが発表した。 

2022/07/06

抗amyloidβprotofibril 抗体lecanemab,早期アルツハイマー病の申請をFDA 受理、優先審査指定

エーザイとBiogen Inc.(Biogen)が開発中の、抗amyloidβ(Aβ) protofibril 抗体lecanemab(BAN2401)について、脳内にアミロイド 病変が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽症認知障害(MCI)および軽症AD(総称して早期AD)の治療薬候補として、加速承認制度に基づくBLA がFDA に受理された。本申請は優先審査の指定を受け、PDUFA の審査終了日は2023 年1 月6 日に設定された。
lecanemab(BAN2401)は、スウェーデンのBioArctic AB とエーザイの共同研究から得られた、可溶性amyloidβ(Aβ)凝集体(protofibril)に対するヒト化モノクローナル抗体(mAb)である。lecanemab は、AD を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有するAβprotofibrilに選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去することでAD の病態進行を抑制する疾患修飾作用が示唆されている。現在、lecanemab は抗Aβ抗体で唯一漸増投与が不要な早期AD 治療薬をめざして開発中である。早期AD を対象にした大規模臨床第2 相201 試験においては、事前に規定したlecanemab10 mg/kg bi-weekly 18 カ月静脈投与における解析結果は、脳内Aβ蓄積量減少(p<0.0001)とADCOMS*による臨床症状の悪化抑制(p<0.05)を示した。なお、12 カ月投与時における主要評価項目**は達成しなかった。
*ADCOMS:AD 複スコアは、早期AD の変化を、高感度の検出を目指し、ADAS-cog、MMSE、CDR の3 種の臨床評価尺度を組み合わせてエーザイが開発した評価指標。
** 投与12 カ月時点でADCOMSによる臨床症状の抑制がプラセボ投与群に比べて25%低下する確率が80%以上とする。

2022/07/05

抗アミロイドβプロトフィブリル抗体による早期アルツハイマー症の治療

07/05, Biogen, Eisai, Alzheimer's

The U.S. FDA Accepts and Grants Priority Review for EISAI’s Biologics License Application of Lecanemab for Early Alzheimer’s Disease Under the Accelerated Approval Pathway

エーザイが開発した早期アルツハイマー病に対する治療薬レカネマブの生物製剤承認申請(BLA)を米国FDAは加速承認制度の下で受理、優先審査指定を賦与し、PDUFA審査期限は2023年1月6日とされた。

2022/01/20

レンビマ+キイトルーダ併用、進行性子宮内膜癌に対する臨床試験結果NEJM 誌に掲載

Merck & Co., Inc.(メルク)とエーザイは、第3 相KEYNOTE-775 試験/309 試験結果が、2022 年1 月19 日発行のNEJM 誌に掲載されたと発表した。本試験において、メルクの抗PD-1 抗体キイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)とエーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤レンビマ (一般名:レンバチニブ) との併用療法は、治療ラインに関わらず少なくとも1 レジメンの白金製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜癌を対象にして、化学療法(試験担当医師選択によるドキソルビシンまたはパクリタキセル)と比較して評価された。
米国婦人科腫瘍学会(SGO)2021 Annual Meeting on Women’sCancer のプレナリーセッションにおいて初めて口頭発表されたデータが含まれている。本試験結果において、本併用療法は、化学療法と比較して、二つの主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)において統計学的に有意な延長を示した。本論文では、奏効率(ORR)およびサブグループ解析を含む詳細な有効性および安全性データも記載されている。

2021/11/22

初期Alzheimer 病に対するaducanumab 2 本の第3 相試験, amyloid 関連画像異常が高率発現

11 月22 日、Biogen Inc.とエーザイが共同開発中のAlzheimer 病(AD)治療薬aducanumab の2本の第3 相試験EMERGE 試験およびENGAGE 試験の統合解析で、amyloid 関連画像異常(ARIA)が約40%の高率で発現していた結果がJAMA Neurol.誌に掲載された(JAMA Neurol.Published online November 22, 2021. doi:10.1001/jama neurol. 2021.4161)。

1. 統合解析からの知見

合計3,285 人の被験者を含む2 本の第3 相臨床試験(EMERGE 及びENGAGE)の統合安全性データセットにおいて、aducanumab 10 mg/kg の統合グループ(n =1,029)のうち425 人(41.3%)がARIA を経験した。これらのうち、ARIA 浮腫は362 人の患者(35.2%)に発生し、これらの患者の94 人(26.0%)は関連する症状(例えば、頭痛、錯乱、めまい、及び悪心)を経験した。また、ARIA-微小出血及びARIA-脳表ヘモジデリン沈着症は、それぞれ197 人の患者(19.1%)および151 人の患者(14.7%)に発生した。

2. 背景

aducanumab のEMERGE 及びENGAGE の第3 相無作為化臨床試験は、AD 又は軽度AD 認知症による軽度認知障害患者において、amyloid-β(Aβ)を標的とするmAb のaducanumab による治療で発生する、ARIA を特徴付ける確たるデータセットを提示した。

3. 目的

EMERGE及びENGAGEで発生したARIAのX線写真及び臨床的特徴を説明する。

4. 試験デザイン

20 カ国、348 施設における、2 本の二重盲検、placebo 対照、並行群間、第3 相無作為化臨床試験で、低用量及び高用量のaducanumab の治療をplacebo と比較したEMERGE 及びENGAGE 試験データの二次解析。統合解析は、placebo 対照期間中にplacebo(n= 1,087)又はaducanumab(n = 2,198;合計2,752 人年の曝露)を1 回以上投与された合計3.285 人のAD 患者データである。被験者は、4 週に1 回、高用量又は低用量の静脈内aducanumab 投与またはplacebo 投与のために1:1:1 に無作為に割り付けられた。

5. 結果

合計3,285 人のうち、2,661 人(81%)がAD による軽度の認知障害があり、1,777 人(54%)はAD の対症療法を使用していた。特に記載の無い限り、全て10 mg / kg 投与群の分析結果である。placebo 対照期間中に、1,029 人中425 人(41.3%)がARIA を経験し、14 人(1.4%)に重篤な症例が発生した。ARIA 浮腫(ARIA-E)が最も一般的な有害事象 [1029 件中362 件(35.2%)]であり、aducanumab の最初の8 回投与中に263 件の最初の有害事象(72.7%)が発生した。94 人(26.0%)が症候性であった。症候性ARIA-E 又はARIA-H の103 人に共通する関連症状は、頭痛[48(46.6%)]、錯乱[15(14.6%)]、めまい[11 (10.7%)]及び悪心[8 (7.8%)]であった。ARIAE発生率は、apolipoprotein Eε4 対立遺伝子carriers であるaducanumab 治療群で最も高かった。ARIA-E の殆ど [488 件中479 件(98.2%)]は、X 線写真で診断され、 488 件中404 件(82.8%)が16 週以内に解消した。placebo 群は、1,076 人中29 人(2.7%)がARIA-E を発症 [apolipoprotein Eε4 carriers:742 人中16 人(2.2%)、non-carriers;334 人中13 人(3.9%)]。ARIA-微小出血及びARIA-脳表ヘモジデリン沈着症は、それぞれ197 人(19.1%)及び151 人(14.7%)に発生した。

6. 結論

EMERGE 及びENGAGE の統合安全性データセットは、10 mg / kg 群で最も一般的な有害事象はARIA-E であった。これは、10 mg / kg 群の1,029 人のうち362 人(35.2%)に発生し、ベースライン後のMRI スキャンが少なくとも1 回行われ、94 人(26.0%)が関連する症状を経験した。最も多い関連症状は頭痛であった。(完)

(主な出典:https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/fullarticle/2786606他)

2021/11/12

アデュヘルム 第3 相臨床試験、アルツハイマー病の症状悪化抑制とバイオマーカーとの正の相関示す

Biogen Inc.(Biogen)とエーザイは、アデュヘルム(一般名:アデュカヌマブ)の第3 相試験における1,800 人以上の患者からの約7,000 の血漿サンプルのデータ解析により、アルツハイマー病(AD)における血漿リン酸化Tau の減少と認知機能と日常生活機能の低下抑制の間の統計的に有意な相関、ならびに血漿p-tau 181 の減少とアミロイドβ(Aβ)のプラーク減少の相関について発表した。
今回の解析において、アデュヘルムは、血漿p-tau 181 で定量されるAD の明確な特徴の一つであるTau の病理をプラセボと比較して用量および時間依存的に有意に減少させた。アデュヘルムによる治療を受けた患者において、血漿p-tau 181 の大幅な減少は、認知機能と日常生活機能の低下抑制と統計的に有意な相関を示した。さらに、血漿p-tau181 の変化とAβプラーク の減少の間にも統計的に有意な相関が見られ、AD の2 つの主要な病理学的特徴に対するアデュヘルムの効果が示された。

2021/09/27

早期Alzheimer病に対する抗amyloidβprotofibril抗体lecanemab BLAのRolling申請開始

9月27日、エーザイとBiogen Inc.(Biogen)は、抗amyloid β(Aβ) protofibril抗体lecanemab (BAN2401)について、エーザイがFDAに対し、早期Alzheimer病(早期AD)治療薬として、BLAのRolling 申請のプロセスを開始したと発表した。

1. lecanemab( BAN2401):

BioArctic AB(Sweden)とエーザイの共同研究から得られた、可溶性amyloidβ(Aβ)凝集体(protofibril)に対するヒト化mAbである。lecanemabは、ADを惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有するAβprotofibrilに選択的に結合して無毒化し、脳内から除去することでADの病態進行を抑制する疾患修飾作用が示唆されている。早期ADを対象にした大規模第2相201試験においては、事前に規定した18カ月投与における解析の結果は、脳内Aβ蓄積量の有意な減少(p<0.0001)とADCOMS*による臨床症状の悪化抑制(p<0.05)を示した。なお、12カ月投与時における主要評価項目は達成しなかった。201試験(コア期間)の後、投与を休止していたギャップ期間(平均24カ月)を経て、lecanemab 10 mg/kg 2週に1回投与(Q2W)の安全性と有効性を評価するOpen-Label Extension試験が進行中。

エーザイは、本抗体について、2007年12月にBioArcticとのライセンス契約により、全世界におけるADを対象とした研究・開発・製造・販売に関する権利を取得している。2014年3月に、エーザイとBiogenはlecanemabに関する共同開発・共同販促に関する契約を締結し、2017年10月に契約内容の一部を変更した。現在、第2相201試験のOpen-Label Extension試験および早期ADを対象に検証用の一本の第3相Clarity AD試験を実施中。また、2020年7月、ADのより早期ステージにあたる脳内Aβ蓄積が境界域レベル及び陽性レベルのプレクリニカルADを対象にした第3相AHEAD 3-45試験を米国のADおよび関連する認知症の学術的臨床試験のための基盤を提供するAlzheimer's Clinical Trials Consortium(ACTC)と共同で開始した。AHEAD 3-45試験はNIH、National Institute of Agingから資金提供を受けている。

2. lecanemab(BAN2401)のBLA提出:主として、Aβの脳内蓄積が確認された早期ADを対象にした第2b相201試験による臨床症状、バイオマーカーおよび安全性データに基づいて、加速承認制度を活用する。本試験結果は、lecanemabの高い脳内Aβ除去作用と複数の臨床評価項目で一貫した臨床症状の悪化抑制を示し、その脳内Aβ除去の程度と臨床評価項目の効果との相関は、Aβが臨床的有用性を予測する代替マーカーになり得ることを示唆している。ADは進行性の深刻な疾患であるが、治療選択肢が限られている。エーザイは、FDAとの協議の結果、加速承認制度を活用し、早期AD当事者とその家族、医療関係者に新たな治療の選択肢の提供をめざす。lecanemabは、2021年6月にBreakthrough Therapyの指定を受けた。

本BLAは、主に、Aβの脳内蓄積が確認されたADによる軽度認知障害(MCI)および軽度AD(総称して早期AD)の被験者856人を対象に、lecanemab投与による脳内Aβ量の減少と臨床症状の進行抑制に対する効果を評価するPOCを目的とした第2b相201コア試験結果に基づいている。本試験結果は2021年4月に査読付き学術誌に発表され、18カ月のlecanemab 10 mg/kg Q2W投与により、PET画像にて測定した脳内Aβ蓄積量( SUVr)をベースライン時の平均1.37 Unitから0.306 Unitに減少させ、被験者の80%以上は読影診断により脳内amyloid陰性化が確認された。(完)

(主な出典:https://www.eisai.co.jp/news/2021/news202177.html他)

2021/09/02

米国下院2 委員長、FDA 長官代理にAlzheimer 治療薬ADUHELMの承認審査の情報を要求

9 月2 日、米国下院エネルギー商業委員会Frank Pallone, Jr 委員長と下院監査政府改革委員会のCarolyn B. Maloney 委員長が、連名でFDA 長官代理Dr. Janet Woodcock 宛てに、BiogenのAlzheimer 病治療薬ADUHELM(aducanumab)の承認審査手順および加速承認の認可に関する情報の提出を求める書簡を9 月1 日付で送付したことを公表した。両委員長は、書簡の中で、ADUHELM の審査に関わるFDA の審査のプロセスに認められる明らかな異常な結論に懸念を抱いている」と述べている。

1. 両委員長の懸念: 

FDA への書簡は、去る7 月のBiogen へのADUHELM の承認情報提出要求の書館に続いて、FDA におけるADUHELM の承認プロセス、販売、および価格設定に関する両委員会が続けている調査の一部である。我々は、ADUHELM の承認審査を取り巻くFDA のプロセスに明らかな異常を懸念している。FDA は、ADUHELM の臨床上のベネフィットと加速承認経路の使用について、FDA のスタッフやFDA の末梢神経系および中枢神経系医薬品諮問委員会(PCNS 諮問委員会)のメンバーを含む専門家によって提起された懸念にもかかわらず、加速承認で認可したことである。また、医薬品の承認プロセス全体を通じて、FDA とBiogen の間で異常な調整が行われていたという報告にも懸念を示している。

2. amyloidβプラークの代替エンドポイントとしての適格性: 両委員長は、FDA とBiogenが、キャンセルされた臨床試験の事後解析から、薬剤が脳内のamyloid βプラークを正常に減少させることが示されたという主張に依存していることにも留意している。amyloid βプラークの減少とAlzheimer 病患者の認知機能低下の進行抑制との関連性は十分に確立されておらず、多くの専門家によって疑問視されている。ADUHELM の承認前は、FDA 自体は、amyloid βプラークの減少が臨床上のベネフィットをもたらす可能性のある代替エンドポイントであるとは考えておらず、薬剤の承認プロセスについて新たな追加の疑問を提起している。FDA の2021 年6 月7 日の、ADUHELM の加速承認を認可の発表に続いて、3 人のPCNS諮問委員会メンバーが抗議して辞任したことも注目している。

3. 医療・保険機関の対応:

それ以来、Cleveland Clinic 及びMount Sinai などの主要な医療センターは、ADUHELM を投与しないことを決定した。大規模な健康保険会社は、彼らの患者にADUHELM をカバーすることを拒否し、退役軍人省(VA)も、重大な有害事象のリスクと認知へのポジティブなインパクトの証拠の欠如からVA 米国国民医薬品集への追加収載をしなかった。

4. 将来への影響:

ADUHELM の承認は、Alzheimer 病の患者だけでなく、高齢者、連邦医療プログラム、Alzheimer 病やその他の疾病の治療薬の将来の研究、開発、承認にも広範囲にわたり影響を及ぼすことが懸念される。米国の人々がFDA と承認された薬の安全性と有効性に最大限の信頼を持ち続けることを保証し、将来の法律作成に情報を提供するために、ADUHELM を審査し承認したFDA のプロセスに関する詳細な情報が必要である。

5. Biogen とFDA スタッフとの関係: 

書簡の中で、両委員長は、医薬品の承認プロセス全体にわたるFDA とBiogen の間の非定型的な調整の報告について懸念を表明し、FDA とBiogen の間の相互作用は、医薬品開発中のスポンサーとFDA スタッフの関与に関するFDA独自のガイダンスに反している可能性があることを示している。7 月にFDA は、保健福祉省の監察総監室(HHS OIG)にFDA とBiogen の間の相互作用を調査するよう要求し、8 月にHHS OIG は、FDA と外部組織との相互作用とFDA の加速承認経路の実施方法を検討すると発表した。

6. FDA への要求:

両委員長は、透明性の向上のためのこれらの努力を称賛する一方で、明確な説明が今必要であり、アメリカ人、特にAlzheimer 病患者とその介護者は、OIG レポートが2023 年に完成する予定なので、それまで待つことは到底できないことも強調した。従って、両委員長は、FDA が2021 年9 月16 日までに以下を含む重要な情報を委員会に提出することを要求した。

1) ADUHELM が加速承認の基準を満たしているというFDA の決定を、PCNS 諮問委員会、FDA の生物統計局の内部専門家、および米国最大の医療センターと保険会社の一部の見解とどのように調整するか説明すること。ADUHELM の安全性と有効性に関するデータが不十分である。

2) FDA スタッフが関連する諮問委員会と意見の相違がある場合、および/または関連するFDA の専門家である審査官の間で、内部の意見に相違がある場合に、承認の決定を行うためのFDA のプロセスまたは関連ポリシー(ADUHELM の承認がこのプロセスから逸脱したかどうかに関する情報を含む)。

3) FDA がADUHELM の加速承認経路の使用の可能性について、庁内およびBiogen と最初に話し合った時期と、そのような話し合いへの参加者の詳細。

4) ADUHELM の承認に関係したFDA 職員とBiogen の間の相互作用に関する内部機関による調査または評価に関連する文書。

5) 臨床試験で評価された病期よりも幅広い効能を承認し、承認後にADUHELM のラベルの一変申請で効能の限定を承認するためのFDA の内部協議およびそのプロセスに関わる文書。

6) FDA とBiogen の代表者との間のすべての公式および非公式の会話と会議のリスト、および2018 年1 月以降のそれらの会話に関連するコミュニケーションを含むすべての文書、およびそのような会議がFDA のBest Practices に沿って記載されなかった理由の説明。

7) ADUHELM の承認書記載の加速承認の確認試験提出期限の設定について;FDA が最初にADUHELM の市販後第4 相試験についてBiogen と協議をした期日はいつか?市販後試験提出期限とした9 年間(2029 年8 月)のタイムラインはどのようにして合意されたのか、そして、深刻な疾病の治療法開発を目指す迅速プログラムの-医薬品(Subpart E)と生物薬品(Subpart H)に定められたFDA 独自のガイダンスを満たしているか?検証試験の最終プロトコルの提出が2022 年8 月で、迅速プログラムの方針に適合しておらず、臨床上のベネフィットを検証する確認試験を迅速に実施させるか?(完)

(主な出典:Chairs Pallone and Maloney Request Answers from FDA on the Approval Process for Alzheimer’s Drug Aduhelm | Democrats, Energy and Commerce Committee (house.gov)他)

2021/08/11

PD-1阻害薬とチロシンキナーゼ阻害薬の併用による腎細胞がんの第一次治療

 08/11, MRK, PD-1, Eisai, TKI, RCC

FDA Approves KEYTRUDA® (pembrolizumab) Plus LENVIMA® (lenvatinib) Combination for First-Line Treatment of Adult Patients With Advanced Renal Cell Carcinoma (RCC)
  • FDAはPD-1阻害薬キートルーダとエーザイのチロシンキナーゼ阻害薬レンビマの併用による進行性腎細胞がんの一次療法を承認した。

2021/07/29

lecanemab(BAN2401)臨床効果、Alzheimer 病協会国際会議(AAIC)2021 Late Breaking で発表

7 月29 日、エーザイ(株)(エーザイ)とBiogen Inc.(Biogen)は、2021 年7 月26~30 日にバーチャル形式で開催されたAlzheimer 病協会国際会議(Alzheimer's Association International Conference: AAIC)2021 において、FDA からBreakthrough Therapy の指定を受けた抗amyloid β(Aβ)protofibril 抗体lecanemab(開発コード: BAN2401)について、Alzheimer 病(AD)による軽度認知障害(MCI)および軽度認知症(総称して早期AD)を対象にした臨床第2b 相POC 試験後のOpen-Label Extension(OLE:非盲検継続投与)試験で18 カ月投与の臨床効果の予備解析結果を口頭発表した(#57780)。

1. lecanemab:

Sweden のBioArctic AB とエーザイの共同研究から得られた、可溶性Aβ 凝集体(protofibril)に対するヒト化mAb である。lecanemab は、AD を惹起させる因子の一つと考えられている、神経毒性を有するAβ protofibril に選択的に結合して無毒化し、脳内からこれを除去することでAD の病態進行を抑制する疾患修飾作用が示唆されている。lecanemab は、現在、第3 相試験(Clarity AD)が進行中で、2021 年3 月に1,795 人の早期AD 被験者登録を完了、2022 年9 月末迄に主要評価項目の取得を目指している。

2. 第2 相201 試験及びOLE

lecanemab は、可溶性Aβ 凝集体のprotofibril に優先的に結合するヒト化mAb である。早期AD に対する第2b 相POC 試験(201 試験, n=856)の18 カ月投与(コア試験)において、脳内Aβ 量の減少と臨床症状の進行抑制を示した。201 試験のコア試験終了後、9〜59 カ月の無投与期間(ギャップ期間、コア試験におけるlecanemab の最後の投与からOLE の投与開始迄の期間:平均24 カ月)後に、lecanemab 10mg/kg IV、Q2W 投与を評価するOLE が実施された(コア試験参加者から180 人が登録)。lecanemab 治療による臨床効果は、コア試験の主要評価項目のADCOMS の調整後平均変化によって評価された。また、CDR-SB 及びADAS-Cog でも評価された。ADCOMS は0.00~1.97 のスコアで評価され、スコアが高い方がより臨床症状の進行を示す。

3. 疾患修飾効果の可能性

第2 相201 試験OLE の投与開始時に早期AD の被験者は、コア試験におけるlecanemab 投与による用量依存的な臨床効果の差がギャップ期間中も維持され、コア試験でlecanemab 10 mg/kg IV 投与群は、placebo 投与群との臨床症状の差を維持したまま推移した。ギャップ期間(コア試験後追跡調査時とOLE 投与開始時の間)のADCOMS による調整後平均変化は、Q2W 投与で0.11(0.07~0.18)、QM 投与で0.10(0.12~0.22)、placebo 投与で0.09(0.19~0.28)の増加(臨床症状進行)であった。CDR-SB とADAS-Cog においても同様の結果が観察された。ギャップ期間中、コア試験期間におけるすべての投与群で、主要評価項目による臨床症状の進行は同程度で、lecanemab の潜在的な疾患修飾効果を示唆している。

4. 脳内amyloid と治療との関係の可能性

血漿中Aβ 42/40 比の低値は、脳内amyloid の上昇の指標と認識され、201 試験のサブセットとして評価され。血漿中Aβ 42/40 比は、lecanemabの投与群で、コア試験期およびOLE 期間中に増加し、ギャップ期間中に減少することから、血漿中Aβ 42/40 比とlecanemab の治療との関連を示している可能性がある。lecanemab 治療に関連する血漿中Aβ 42/40 比の増加は、コア試験とOLE における治療に関連する脳内amyloid の減少と逆相関した。(完)

(主な出典:https://investors.biogen.com/news-releases/news-release-details/late-breaking-aaic-presentation-explores-potential-clinical他)

2021/07/22

FDA、全身療法に増悪した進行性子宮内膜癌のLENVIMA+KEYTRUDA 併用療法を承認

7 月22 日、Merck & Co., Inc.(Merck)とエーザイは、LENVIMA (lenvatinib)とKEYTRUDA (pembrolizumab)の併用療法について、癌免疫療法とTKI の併用療法による治療ラインに関わらず、全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な、高頻度マイクロサテライト不安定性を有さない(陰性)、またはミスマッチ修復機構欠損を有さない進行性子宮内膜癌に関する効能追加の承認をFDA から取得したと発表した。

臨床試験では、全生存期間、無増悪生存期間および奏効率を統計学的に有意に改善し、進行性子宮内膜癌におけるアンメット・ニーズに応えるものとなる。

1. 許認可情報

本併用療法は、FDA の加速承認制度、RTOR(Real-Time Oncology Review)パイロットプログラム、およびProject Orbis の下で、第3 相KEYNOTE-146 試験結果に基づいて、全身療法後に増悪した、根治的手術または放射線療法に不適応な MSI-H を有さない、または dMMR を有さない進行性子宮内膜癌の効能で、既に承認を受けていた。加速承認制度に従って、この加速承認の継続には、臨床上のベネフィットの検証とラベルへの記載が要件となっていたが、臨床第3 相309 試験/KEYNOTE-775 試験結果により、本要件は満たされ、今回の承認にいたった。加速承認から標準承認への移行に成功した。


2. 有効性および安全性
併用による有効性は上表に示した。LENVIMA により発現の可能性のある有害事象には、高血圧、心機能障害、動脈血栓塞栓症、肝毒性、腎不全または腎機能障害、蛋白尿、下痢、瘻孔形成ならびに消化管穿孔、QT 間隔延長、低カルシウム血症、可逆性後白質脳症症候群、出血性イベント、甲状腺刺激ホルモン抑制障害/甲状腺機能障害、創傷治癒障害、および顎骨壊死が含まれる可能性がある。(完)

(主な出典:https://www.merck.com/news/fda-approves-keytruda-pembrolizumab-plus-lenvima-lenvatinib-combination-for-patients-with-certain-types-of-advanced-endometrial-carcinoma/他)

2021/07/09

Biogen/エーザイが開発したADUHELMの承認に関する監察総監室調査

7 月9 日、FDA 長官代理Dr. Janet Woodcock が、FDA の上部組織の連邦保健福祉省(DHHS)の監査総監室総監代理(Acting Inspector General ) Ms. Christi A. Grimm 宛てに、Biogen が申請したアルツハイマー病(AD)治療薬ADUHELM(aducanumab)のFDA 承認に関して、独立組織として調査するように要請したと自身のブログに要請文書を公開した。

1. 背景

Biogen とエーザイが共同で、初期の軽症AD の進行抑制を評価項目として実施した2 本の同一のプロトコルからなる試験で、1 本は有効、他の1 本は無効のデータを基に、Biogen がaducanumab(ADUHELM)のBLA を提出した。2020 年11 月にFDA 諮問委員会にBLA の審議を要請、審議の結果、有効性の証明が不十分として承認に不賛成10 人、保留1人とほぼ全会一致に近い状態で承認すべきでないと結論した。しかし、FDA の神経薬審査部門は6 月7 日に、臨床効果ではなく代替評価項目として学会として完全に認知されていないバイオマーカーのamyloidβの低下のみを評価して、AD 病の治療という臨床試験の患者集団とは異なる極めて広い効能で承認し、しかも効果不十分さをカバーするために加速承認制度を適用させ、2030 年までに臨床上の有効性を確認する承認を認可した。このFDA の決定を受けて諮問委員会のメンバーが辞任、上院議員がBiden 大統領あてにFDA 長官代理の辞任要求が出されるなど混乱を生じている。市民団体のPublic Citizen もこの承認に抗議している。

2. FDA 一変申請承認

7 月7 日、FDA は、ADUHELM の効能に、治療は、臨床試験において治療開始の対象としたAD による軽症認知障害または軽症AD 患者において開始することと、臨床試験の患者集団に限定する一変申請を承認した。先ず効能の範囲を縮小した。

3. 監査総監室総監代理宛書簡内容概要

1)現在、一般の関心が高まり、疑念が高まっているADUHELM 承認プロセスの中の、Biogen とFDA 代表者間の相互関係について独立した調査を実施するよう要請する。周知のように、AD の治療薬としてADUHELM(aducanumab)のBiogen のBLA の審査手順に関して、大きな注目と論争が絶えることなく続いている。これには、審査過程の段階で、Biogen とFDA のスタッフ間に何らかの相互作用があったか否かが注目されている。そのため、これらの相互作用がFDA の承認審査の基本方針と手順に矛盾をしていないかどうかを判断するために、BLA 承認の決定に至るプロセス中で、Biogen とFDA の関係者の間に相互作用があったか否かを独立に審査し評価を要請する。

2) FDA の規制対象となる製品の年間消費量は、米国民が毎年消費する金額の約4 分の1(1$当り25¢)にあたる規制を担う当局として、FDAの意思決定は広範囲にわたることか、それらの決定の中に論争につながることが生ずることは避けられないことでもある。

3) aducanumab の審査に関与したCDER のスタッフとリーダーシップの完全さと偏りのない科学に基づく意思決定へのコミットメントには大きな自信を持っているが、公式の通信手段以外による可能性を含め、審査の過程でBiogen とFDA の関係者との間の接触に懸念が指摘され続けている。FDA は、科学的完全性、バイアスのないデータの審査、およびデータに基づく規制上の決定に専念している。貴署の審査にはFDA としては全面的に協力する。この問題に対する継続的な公益を考えると、この調査を可及的早期に実施していただければ非常に役立つと考えている。(完)

(主な出典:https://www.neurologylive.com/view/fda-commissioner-janet-woodcock-independent-review-interactions-biogen-aducanumab)

2021/06/18

エーザイ・BMS、エーザイのADC 薬MORAb-202 に関するグローバル戦略的提携契約締結

エーザイとBristol Myers Squibb(BMS)が、エーザイ創製の抗体薬物複合体(ADC)のMORAb-202 の共同開発・共同商業化に関するグローバルな独占的戦略的提携契約を締結した。
MORAb-202は、エーザイ創製の抗葉酸受容体(Folate Receptor: FR)α抗体に、酵素切断リンカーを介して、同じくエーザイ創製の抗癌剤エリブリンを化学結合させたエーザイ初のAD 薬である。良好な薬理学的プロファイルと進行性固形癌に対する単剤による抗腫瘍活性を示し、FRαADC としてbest-inclassのポテンシャルが期待される。現在、エーザイがFRα陽性の固形癌(子宮内膜癌、卵巣癌、肺癌、乳癌を含む)を対象として、日本における臨床第1 相試験および米国における臨床第1/2 相試験の2試験を実施中である。両社は、早ければ2022 年にも本剤の承認申請をめざした臨床試験に移行する予定である。 
本契約の経済条件に基づき、BMS は契約締結時に一時金6.5 億$(約680 億円)をエーザイに支払う。うち、2.0 億$(約209 億円)が、今後のエーザイの本剤に関する研究開発費に充当される。また、エーザイは、開発、薬事および販売のマイルストン達成により最大で24.5 億$(約2,560 億円)を受領する

2021/06/07

抗アミロイドβ抗体によるアルツハイマー病の治療

 06/07, Eisai, Biogen, Alzheimer's, Anti-amyloid beta mAb

FDA grants accelerated approval for ADUHELM™ as the first and only Alzheimer’s disease treatment to address a defining pathology of the disease
  • FDAはアデュヘルム(ADUHELM)を、決定的な病因を標的とする最初で唯一のアルツハイマー病治療薬として加速承認した。

新規アルツハイマー病治療薬アデュカヌマブを加速承認したFDA の釈明見解

6 月7 日、FDA のCDER センター長Dr. Patrizia Cavazzoni が、当日FDA が決定した新規Alzheimer 病(AD)治療薬aducanumab(ADUHELM)の加速承認した件について、異例のステートメントを公開した。

背景

2020 年11 月開催の末梢・中枢神経系薬諮問委員会の審議で当該品目のBLA を審議し、承認に反対が10 票、保留1 票で、圧倒的多数で承認勧告を却下した結果を考慮しての発表であった。担当の神経科学審査課長から審問委員会委員長への承認理由の説明メモも公開されている。この承認の結果に強く反発した2 名の諮問委員会委員が委員を辞任している。

CDER センター長Dr. Patrizia Cavazzoni のステートメント

本日、FDA は、加速承認経路を使用してAD 患者の治療薬としてADUHELM(aducanumab)を承認した。この経路では、重篤、あるいは生命に関わる疾病に対して、当該治療薬が患者に対して臨床上のベネフィットを合理的に予測する可能性があり、また臨床上のベネフィットに対していくらかの不確実性が残されている代替評価項目で有効性が示されていて、既存の治療法に対して有意義な治療上のベネフィットを提供する可能性のある治療法を承認してきている。

この承認の意味

ADUHELM は、2003 年以来AD に対して承認された最初の新治療法である。恐らくより重要なことは、ADUHELM が、AD の根底にある病態生理学、つまり脳内のamyloidβプラークの存在に対する最初の治療法であることである。ADUHELM の臨床試験は、これらのプラークの減少(AD 患者の脳における特徴的な所見)が、この壊滅的な認知症の臨床的な進行の抑制につながると期待されることを最初に示した。我々は、この承認を取り巻く注目度を十分に認識している。 ADUHELM がマスコミ、AD 患者コミュニティ、国会議員、その他の利害関係者の注目を集めていることを理解している。

データが単純でない状況で規制上の決定

生命を脅かす深刻な疾病の治療法の重大な局面に当たって、非常に多くの人々がこの審査結果を注視していたことは当然かもしれない。さらに、申請者の提出物に含まれるデータは非常に複雑であり、臨床上のベネフィットに関する不確実性が残されていた。ADUHELM が承認されるべきか否かについてはかなりの公の場での議論がなされた。科学データの解釈に関しては稀ではないが、専門家コミュニティからはさまざまな視点から提案がなされた。結局のところ、データが単純でない状況で規制上の決定を下す場合の通常の行動方針に従った。

FDA の加速審査経路の採用

我々は詳細に臨床試験結果を調査し、末梢神経系および中枢神経系薬諮問委員会の意見を求め、患者コミュニティの視点に耳を傾け、関連するすべてのデータを確認した。我々は、最終的に、加速承認経路を使用することを決定した。これは、ニーズが満たされていない深刻な疾患の患者に、潜在的に価値のある治療への早期のアクセスを提供することを目的とした経路であり、その臨床上のベネフィットに不確実性が残っているにもかかわらず、臨床上のベネフィットが期待される。申請が加速承認の要件を満たしていると判断した際、AD 患者に対するADUHELM の利点が治療のリスクを上回っていると結論付けた。

ADUHELM の後期開発プログラム

ADUHELM の後期開発プログラムは、全く同一のプロトコルの下で2 本の第3 相臨床試験で構成されていた。1 本の試験は主要評価項目を達成し、臨床上の進行の抑制を示した。 2 本目の試験は主要評価項目を満たしていなかった。2020 年11 月に開催された末梢神経系および中枢神経系薬の合同諮問委員会が臨床試験データを検討し、ADUHELM の適用を裏付ける証拠について協議したが、2 本のうちの1 本の成功した方の試験を、承認を裏付ける主要な証拠として、臨床上のベネフィットを検討することが合理的であるとの意見に同意しなかったことを我々は承知している。

代替評価項目のamyloidβプラーク減少

加速承認経路の選択に関する議論は、諮問委員会ではなされなかった。上記のように、ADUHELM による治療は、amyloid βプラークを大幅に減少させることが全ての試験で明確に示された。プラークのこの減少は、臨床上のベネフィットをもたらす可能性がかなり高いと思われる。諮問委員会がフィードバックを行った後、我々の審査は継続され、ADUHELM 申請書に提示された証拠が加速承認の基準を満たしていると判断した。独立したデータ審査と貴重な助言の提供に対し諮問委員会に感謝したい。

加速承認プログラム

FDA は、深刻な状態を治療し、満たされていない医療ニーズを満たす薬剤の早期承認を可能にするために、迅速承認プログラムを開始しました。承認は、代理または中間の臨床評価項目(この場合は脳内のamyloid プラークの減少)に基づいている。代替評価項目は、臨床検査値、X 線画像、物理的兆候、または臨床上のベネフィットを予測できると考えられている。代替評価項目を使用すると、FDA の承認を受けるまでに必要な時間を大幅に短縮することができる。製薬企業は、予想される臨床上のベネフィットを検証するために承認後の試験を実施しなければならない。これらの試験は、第4 相確認試験として知られている。確認試験で薬の予想される臨床上のベネフィットが確認されない場合、FDA は、薬の市場からの排除に繋がる可能性のある承認取り消しの規制手順を実施している。

AD の疫学

患者は時間の経過とともに記憶と認知機能を失うため、AD が引き起こす段階的かつ累積的な荒廃をFDA も十分に認識している。病勢の後期の病態では、人々はもはや会話をしたり、自分の環境に反応したりすることが不可能になる。平均して、AD 患者は診断後平均4〜8 年間は生存することができるか、一部の患者はこの病気で20 年間生存することができる。治療の必要性は緊急で、現在、米国では600 万人以上がAD に罹患しており、この数は人口の高齢化に伴って増加すると予想されている。AD は、米国で6 番目に多い死因になる。ADUHELMのデータはその臨床上のベネフィットに関して複雑であるが、FDA は、ADUHELM が脳内のamyloid βプラークを減少させるという実質的な証拠を有しており、これらのプラーク減少が患者への重要なベネフィットを予測する可能性がかなり高いと判断した。 FDA によるADUHELM の承認の結果、AD 患者は、この病気と闘うのに役立つ重要な新しい治療法を手に入れることができた。

FDA の監視体制

FDA は、ADUHELM が市場に到達し、最終的には患者のベッドサイドに到達するまで、引き続き監視を継続する。さらに、FDA は、Biogen に対し、承認後の臨床試験を実施して、臨床上のベネフィットを検証するよう要求している。検証に失敗した場合、市場から排除するための措置を講じることができる。しかし、検証が成功すれば、より多くの人々がADUHELM の投与を重ねていくうちに、臨床試験のベネフィットのさらなる証拠が認められることが予想される。また、規制当局としてFDA は、この壊滅的な疾病の医薬品開発の促進にも引き続き取り組んでいく。(完)

主な出典:https://www.fda.gov/drugs/news-events-human-drugs/fdas-decision-approve-new-treatment-alzheimers-disease

FDA、aducanumab をアルツハイマー病の病理に作用する最初て唯一の治療薬として加速承認

FDA がBiogen とエーザイのADUHELM™(一般名:aducanumab)について、脳内のアミロイドβプラークを減少させることにより、アルツハイマー病(AD)の病理に作用する最初で唯一のAD 治療薬として加速承認した。2020 年11 月開催のFDA 末梢・中枢神経系薬物諮問委員会(PCNSDAC)での本品のBLA 審議では、圧倒的多数で承認勧告を否決した。加速承認は、臨床的有用性(臨床症状の悪化抑制)の予測可能性が高いバイオマーカーであるアミロイドβプラークの減少に対するADUHELM の効果を実証した臨床試験データに基づいている。なお、加速承認の要件として、今後検証試験による臨床的有用性の確認が必要となる。承認書によれば、確認試験のプロトコル提出;10/2021、最終プロトコル提出;08/2022、確認試験終了;08/2029、最終報告書提出;02/2030 となっており、臨床上のベネフィットが未確認のまま、少なくとも10 年近く市場にあることになる。

2021/05/14

エーザイと国立がん研究センター、PDX と癌ゲノムデータによる希少癌の治療薬開発研究

エーザイと国立研究開発法人国立がん研究センターは、治療効果予測能が高いPDX と癌ゲノムデータを用いた「希少癌ならびに難治性癌に対する抗癌剤開発を加速させる創薬研究手法に関する研究」を開始したと発表した。
本研究開発プロジェクトを通じて、アンメット・メディカル・ニーズの高い希少癌ならびに難治性癌に対する治療薬の創出に取り組む。本研究開発プロジェクトでは、国立がん研究センターが有する、日本人癌患者由来の腫瘍組織を免疫不全マウスに移植した動物モデルのPDX(Patient-Derived Xenograft)ライブラリーと癌ゲノムデータを用いて、エーザイが保有する新規抗癌剤候補の開発を加速し、薬事承認に繋げ、非臨床研究から臨床研究まで一貫した新規抗癌剤開発の創薬研究システムを確立する。本研究開発プロジェクトは、日本医療研究開発機構(AMED)医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の支援により実施する。