T-DM1は抗体医薬の乳がん治療薬ハーセプチンに強力な化学療法剤をリンカー(接続分子)で組み合わせた抗体・薬物複合体(ADC、Antibody-Drug Conjugate)である。ロシュは世界で初めてのADC抗がん剤として2010年にFDA申請したが、代替エンドポイントを用いたフェーズ2試験での緊急承認、とはならなかった。その間に武田薬品がSeattle Geneticsと共同開発したADC抗がん剤のホジキンリンパ腫治療薬アドセトリス(ADCETRIS)が緊急承認されて「世界初」の栄冠を手にした。T-DM1の方はP3試験EMILIAを追加して無増悪生存期間(PFS)の35%改善を証明(n=495、p<0.0001)して今年シカゴで開催されたASCOで発表した。年内に欧米で同時申請の予定。