ロシュ会長の退任計画は株主総会で発表され、投資家を驚かせた。Humer 氏(66歳)は1998年から2008年までCEO として活躍、その後も会長としてSchwan(シュヴァン)CEO を支えていた。2002年に統合した中外製薬を通じて日本でも誠実な人柄が親しまれていた。前月にはノバルティス会長Vasella(バセラ)氏(60歳)が即時退任を発表、70億円の特別退職金に批判が高まっていた。バセラ氏の高額報酬は数年前にも株主総会で40%を超える反対票が集まるなど、社会問題へと発展している。対照的にフーマー氏には退任を惜しむ論調が多かった。ノバルティスが保有するロシュ株式の30%をめぐって対立してきた両首脳の退陣を契機として統合への協議を促す意見に対してフーマー氏は、両社の経営戦略は対角線上にあって話し合いの余地はないと述べた。同時に、ロシュの役員報酬は12年間変わっていない点を強調した。