2014/10/30

第一三共の経口抗凝固剤エドキサバンをFDA諮問委員会が承認勧告

 「非弁膜症性心房細動患者の脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制」を適応症として第一三共が申請中の経口ファクターXa阻害剤「SAVAYSA」(一般名:エドキサバン)に対して、FDAの諮問委員会は9:1で承認を勧告をした。
 審議はエドキサバンの「1日1回60 mg」および「1日1回30 mg」の2用量について、非弁膜症性(NV)心房細動(AF)患者における脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制を評価した国際共同試験ENGAGEの結果に基づいて行われた。
 採決に際して、① 60mgを正常および軽度の腎不全患者の双方に承認、②正常腎機能患者には60mg 以上の高用量を承認、③ 軽度および中等度の腎機能不全患者を対象に承認、の3 つの選択肢が用意されたが承認に賛成した9 人は、①が5 人、②2 人、③が2 人と意見が分かれた。日本では2011年7月より製品名:リクシアナⓇとして半量の30mgと15mgで販売されている。

PAR コメント

圧倒的な賛成多数での承認勧告だったが、「60mg以上の高用量への言及」は追加臨床試験の必要性を示唆するとして、FDAの最終決定をネガティブに観測するロイターやForbesなど一般紙の記事(➜リンク)が目についた。専門メディアでは「Medscape」が、2万1000例にのぼる大規模臨床試験の成功を評価する一方で用量設定に関する問題を報じている(➜リンク)。
 FDAの事前資料(➜リンク)で指摘された「クレアチニンクリアランス80以上の腎機能正常患者で治療成績がワーファリンを下回る」、というサブグループ解析に対して諮問委員の意見が分かれた。低用量30mg投与群の存在が問題を複雑にしたようだ。
 NVAF患者の脳卒中予防(SPAF)効能を取得した抗血液凝固薬はすべてワーファリンを対照薬とする大規模アウトカム試験を実施している。2011年に承認されたバイエル/ジョンソン&ジョンソン共同開発のXareltoの「ロケット試験」は1万4000例、2012年に承認されたブリストル・マイヤーズ/ファイザー共同開発のELIQUISの「アリストテレス試験」は1万8000例だったがいずれも単一用量対ワーファリンの2群比較だった。1群あたりの症例数では、エドキサバンのENGAGE試験7000例はアリストテレス試験の9000例に及ばない。