2017/05/25

キートルーダのマイクロサテライト不安定性、ミスマッチ修復欠損腫瘍の効能追加をFDAが承認

 Merck(MSD) の抗PD-1抗体療法のキートルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)に対して、FDAは癌種を問わず共通の遺伝子変異を有する癌を標的とする新効能を承認した。
 新たに承認された効能は、「前治療後に病勢が進行し満足な代替療法の選択肢の無い、切除不能または転移性の、マイクロサテライト不安定性が高頻度(MSI-H)に認められる(またはミスマッチ修復欠損性の)固形癌」、あるいは「ㇷルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカン による治療後に進行した結腸・直腸癌」を有する成人ならびに小児患者の治療である。本効能は、2015年11月にBreakthrough Therapyの指定を受け、加速承認制度の下で奏効率ならびに奏効期間に基づいて承認された。
 MSI 検査は、マイクロサテライトの反復回数を調べて、ミスマッチ修復(MMR)遺伝子が機能しているか否かを予測する検査で、リンチ症候群のスクリーニング検査としても利用されている。平均的な腫瘍にも何十もの変異があるが、DNA MMR欠損腫瘍、特にマイクロサテライトと呼ばれる反復DNA領域には何千もの変異がある。腫瘍にマイクロサテライト不安定性(MSI)と呼ばれる、一部のマイクロサテライト配列に変異がみられる場合、DNA MMR欠損と判定される。このような腫瘍は「MSI-high」と呼ばれる。全体的にはDNA MMR欠損はステージIIの癌の約15~20%、ステージIIIの約10%、ステージIVでは約5%以下に認められる。また、非遺伝性大腸癌の約15~20%に、またリンチ症候群を伴う遺伝性大腸癌の多くにMMR欠損が認められる。