2017/10/19

CETP阻害薬が全滅、メルクが開発を終了

CETP阻害薬アナセトラピブについてメルク(MSD)は承認申請を行わないことを決定しました。これにてCETP阻害薬はついに全滅です。
 振り返れば、先陣をきったファイザーのトルセトラピブは早期に撤退、二番手としてがんばっていたロシュのダルセトラピブ(JTから導入)は2012年に開発中止となりました。HDL-Cを上昇させる効果は確認されたものの、エンドポイントとした心血管系事故リスクの減少は証明できませんでした。さらに、動脈硬化症をターゲットとしたリリーのエバセトラピブも2015年に中止しています。
 メルクはその後も3万人の患者を4年間にわたって観察した大規模アウトカム試験REVEALを実施してきました。実薬群の心臓血管系イベントの発生率(11%)はプラセボ群(12%)よりも10%低下した(P=0.004)という一見ポジティブなデータを本年6月に発表しています。しかし、10%の改善率では商業的な成功には結びつかないと判断されたようです。REVEAL試験だけでも2000億円、これまでに費やした開発費は3000億円を超えていると思われますが残念な結果となりました。

(参考)
米国メルク会社発表
Merck Provides Update on Anacetrapib Development Program
October 11, 2017
ファーマセットLibrary➔ Merck (MSD)CETP