2018/01/08

アトピー性皮膚炎を標的とするアッヴィのJAK1阻害薬をFDAが画期的治療に指定

JAK1阻害薬ウパダシチニブをアトピー性皮膚炎に対する画期的治療としてFDAが指定
 アッヴィが開発中のJAK1阻害薬ウパダシチニブ(upadacitinib)は関節リウマチ(RA)を対象にSELECT試験と総称する6本のフェーズ3試験が順調に進んでいる。昨年12月には3本目のSELECT-MONOTHERAPY試験がメソトレキセート無効患者を対象とした単独療法で好成績を収めた。高用量(30mg)1日1回内服14週投与時点のACR20/50/70達成率はそれぞれ71%、52%、33%に到達した。RA以外の自己免疫疾患はクローン病とアトピー性皮膚炎でフェーズ2段階にある。
 市場が大きい関節リウマチで初めて成功したJAK阻害薬は2012年にFDAが承認したトファシチニブ(販売名:ゼルヤンツ、2017年実績13億㌦(1500億円)ファイザー)であるがJAK1、JAK2、JAK3のサブタイプに対する選択性は乏しい。2017年に関節リウマチ適応症で欧州医薬品庁(EMA)が承認したバリシチニブ(販売名:Olumiant、リリー)はJAK1およびJAK2を阻害する。リリーは昨年9月にバリシチニブが中度~重度のアトピー性皮膚炎の患者を対象としたP2試験で主要評価項目を達成したと発表した。ファイザーは昨年12月にトファシチニブが追加効能として乾癬性関節炎(PsA)のFDA承認を取得する一方、JAK1選択性阻害薬PF-04965842でアトピー性皮膚炎のフェーズ3試験を開始した。今後のJAK阻害薬の開発はJAK1選択性と各種の自己免疫疾患との関連が焦点となりそうだ。