2018/01/22

PARP 阻害剤リンパルザがBRCA変異陽性転移性乳がん効能追加のFDA 承認を取得(1月12日)

 FDAは昨年10月にsNDA申請を受理し、優先審査に指定、審査期間3カ月で「BRCA遺伝子変異陽性・HER2受容体陰性の転移性乳がん患者に対する二次治療」として承認した。
PARP阻害薬として初めて卵巣がん以外の適応症となる乳がんで承認された。アストラゼネカと共同開発するメルク(MSD)は昨年7月に一時金16億㌦(最終予定85億㌦、9400億円)を支払い、アストラゼネカのPARP阻害薬およびMEK阻害薬を共同開発し、売上の50%を取得する戦略的提携を結んでいる。
 追加承認された適応症は「生殖細胞系BRCA 遺伝子変異陽性(gBRCA)、HER2 陰性転移性乳がん」で「化学療法剤による術前、術後、あるいは転移巣治療を経験した患者を対象とする二次療法となる。また、ホルモン受容体(HR)陽性乳がんの患者は内分泌療法を優先した後、あるいは内分泌療法が不適切と考えられる場合に適応となる。BRCA遺伝子変異陽性の判断はFDA が同時承認したMyriad Genetics が開発したコンパニオン診断法によって行う。
 FDAが優先審査の根拠としたOlympiAD 試験は、無作為化、オープンラベル、多施設共同、第3相試験である。BRCA1 またはBRCA2遺伝子変異のあるHER2 陰性転移性乳癌患者302 人を対象とし、リムパーザと試験担当医師が選択した化学療法(カペシタビン、エリブリンまたはビノㇾルビンの何れか1 剤)を比較した。リムパーザは、主要評価項目であるPFS の有意な延長を達成し、病勢進行または死亡のリスクを42%減少させた [ハザード比(HR)= 0.58; 95%CI 0.43-0.80; p=0.0009; 中央値 7.0 カ月vs. 4.2 カ月)。また、副次評価項目のPFS2 の改善が認められた(HR=0.57;95% CI: 0.40-0.83)。奏効率(ORR)は、化学療法群の28.8%に対して、リムパーザ群は59.5%と2 倍以上の効果を示した。