武田薬品のウェバー社長はシャイアーとの合併合意の記者会見で収益の悪化を懸念する質問に対して、武田側の株主にとってはEBITDAが3倍になる素晴らしいM&Aであると言っています。EBITDAとは何でしょうか? どうして純利益で言わないのでしょうか?
EBITDAは、earnings before interest, taxes, depreciation, and amortization。日本語にあえて訳せば利払い前・税引き前・減価償却前・その他償却前利益... 訳語が定まっていないため「EBITDA」と表記されることが多い。読み方は、「イービットディーエー」、「イービッタ」など、定まっていない。損益計算書上に表示される会計上の利益ではない。2000年前後には財務指標として広く利用されていたが、2002年のワールドコム破綻の際に、指標としての欠点が問題となった.... EBITDAには、過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失をマイナス要因として取り込むことができないという欠点がある。インターネット・バブルの頃、この欠点をアメリカの通信事業者・ワールドコムが不正に活用した。(ウィキペディア)
ウィキペディアからの引用が長くなりましたが重要な問題を分かりやすく解説してくれています。とくに「過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失」が隠れてしまうという問題はシャイアーにもあてはまりそうです。
ウィキペディアからの引用が長くなりましたが重要な問題を分かりやすく解説してくれています。とくに「過剰な設備投資やM&Aによって生じた損失」が隠れてしまうという問題はシャイアーにもあてはまりそうです。
シャイアーは3年前(2015年)までは売上高6000億円程度の中堅企業でしたが、2016年にバクスターの血液事業や、希少病の家族性血管浮腫(HAE)で成功したバイオベンチャーなどを買収して売上高は1兆6300億円へと2.4倍になりました。その結果、原価率が急上昇して粗利率が低下、さらに急増した無形固定資産の償却費が発生して営業利益率は大幅に低下しています。合併シナジー(コスト削減)が実現しておらず、大幅に悪化した利益率が回復していないとして、年初来の株価は武田との合併が憶測される3月末までに20%下落するという状況でした。
2017年は会計上の税前利益19億ドル(2000億円)に対してEBITDAは62億ドル(6700億円)にもなります。EBITDAをここまで膨らませる原因となっている無形固定資産の急激な増加にも注目する必要があります。「のれん代および無形固定資産」が総資産(資産合計)の78%を占めていて恐ろしくなります。
単位は100万㌦です。
