ESMOの年次集会で、スペインバレンシア のBioncotech Therapeutics S.L の二重鎖RNA helicase activator BO-112 について、単剤又は抗PD-1 阻害剤との併用による固形癌に対する初期の臨床試験結果が報告された。
BO-112 は、細胞内デリバリ―を改善する陽イオンキャリアのpolyethylenimine,を製剤中に含む二重鎖RNA(poly I:C)で、前臨床では、Toll 様受容体3(TLR3)、細胞内ウイルスRNA センサーRIG-1 および細胞内ウイルスセンサーMDA-5 を活性化することによって作用し、免疫原性細胞死および免疫チェックポイント阻害の増強効果をもたらす結果が得られている。腫瘍内(IT)BO-112 単剤、または全身性抗PD-1 抗体との併用療法は、最初のヒトの臨床試験である当該試験で分析される(NCT02828098)。
BO-112 のIT 投与と抗PD-1 との併用療法を実施し、単剤では管理可能な安全性プロファイルを示した。その作用機序には、直接的な抗腫瘍効果の他に、自然免疫ならびに適応免疫系の活性化を含んでいる。抗PD-1 抗体との併用療法は、抗PD-1 抗体難治性癌患者に対する治療の可能性を示唆した。予備的有効性の解析結果から、抗PD-1 抗体療法に対する抵抗性の減弱、または感受性回復への転換の可能性も示唆された。