2020/03/03

CHMP、グラム陰性菌感染症治療薬として塩野義製薬のFETCROJA (セフィデロコル)を承認勧告

塩野義製薬のFETCROJA(一般名:セフィデロコル)について、EMA のヒト用医薬品委員会(CHMP)が「他の治療選択肢が限られた18 歳以上の成人患者におけるグラム陰性菌感染症治療」を効能として承認勧告を採択した。
FETCROJA は、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のsiderophore cephalosporin 系抗菌薬で、世界保健機関により最優先の対応が必要と考えられているカルバペネム系抗菌薬に耐性を示す腸内細菌科細菌(Enterobacterales)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、Acinetobacter baumannii のすべてに有効性を示す唯一の薬剤である。FETCROJA は細菌のカルバペネム への耐性獲得に関連する3 つの主な機序 (①porin チャネルの変異による膜透過性低下、②β—ラクタマーゼ による不活化、③排出ポンプの過剰産生) による影響を受けずに抗菌力を発揮する。鉄と結合する独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスぽ^ター を介して、細菌内に能動的に取り込まれる。その結果、FETCROJA は細菌のperiplasm 内に効率よく取り込まれ、細胞壁合成を効率的に阻害する。
今回のCHMP の承認勧告は、ピボタル臨床試験であるカルバペネム 耐性菌感染症を対象とした国際共同試験(CREDIBLE-CR)ならびに、副次試験である複雑性尿路感染症を対象とした国際共同試験(APEKS-cUTI)、および院内肺炎を対象とした国際共同試験(APEKS-NP)結果を基に申請された。