COVID-19に対するワクチン開発はアストラゼネカの独壇場になりました。オックスフォード大学が2003年のSARS流行時に開発したワクチンが土台にあり、安全性にたいする信頼性が高いことが勝因と思われます。日本では第一三共が提携することになりました。
武田薬品はワクチンビジネス・トップが3月3日に会見しましたがラジーヴ・ヴェンカヤ氏が語ったTAK-888とは、その後のニュースを見るとワクチンではなく旧来の血清精製技術による中和抗体でした。COVID-19に対するワクチン開発の焦点は行政機関やNPOとの連携による量産化の取り組みから、今後は最先端のmRNAワクチンや効率的なアジュバント技術といった改良ワクチンの開発に焦点が移っていくと思われます。武田薬品も第2ステージでは何らかのイニシアティブを示して欲しいものです。
グローバル企業がこれまでに発表した主要な取り組み状況は下記の通りです。
- GSKはバイオベンチャーが開発したワクチンの臨床試験を開始。6/19
- アストラゼネカは欧州で、オックスフォード大学のワクチン4億人分を原価で提供する契約を締結。6/13
- J&Jは7月後半にフェーズ1/2aの臨床試験を開始する。6/10
- アストラゼネカはオックスフォード大学のワクチンを広く平等に提供するための契約締結を進めている。米国と英国ではすでに行政機関とのパートナーシップが成立しているが、低中所得国に対しても同様の供給を保障するためにCEPIとの間で3億人分を7億5000万ドル(800億円)で供給する契約を締結した。さらにインド血清公社(SII)とのあいだで10億人分のライセンス契約を締結した。そのうち4億人分は2020年の年末までに供給される。6/4
- メルクはIAVI(グローバル医療における緊急問題に取組む科学者が構成するNPO)と協力してSARS-CoV-2ワクチンを開発する。5/26
- アストラゼネカはオックスフォード大学のワクチンについて、初めての契約として4億人分の発注をうけた。世界的なCOVID-19問題への対応を強化するために、米国BARDA(生物医学先端研究開発局)から10億ドル(1080億円)の投資を受けてワクチンの開発・生産に取り組む。5/21
- ファイザーはドイツのビオンテックと提携してCOVID-19に対するmRNAワクチンを開発し、米国では最初の治験参加者へ投与した。5/5
- J&JはCOVID-19ワクチン候補物質を特定し、米国厚生省(DHHS)との間で新たなパートナーシップ協定を結んだ。全世界で10億人分のワクチンを供給する計画。3/30
- サノフィは米国厚生省(DHSS)と協力して新型コロナウイルスに対するワクチンを開発する。2/18