2021/03/30

大塚製薬が Akebiaと共同開発中の腎性貧血治療薬vadadustat

 3 月 30 日、大塚製薬は、Akebia Therapeutics, Inc.(米国 Cambridge, Massachusetts)(Akebia) と共同開発を進めている経口腎性貧血治療薬 vadadustat について、Akebia が、透析期および 保存期における成人の慢性腎臓病(CKD)に伴う貧血治療藥として、FDA に新薬承認申請 (NDA)を提出したと発表した。 1. NDA の根拠とした臨床試験:Wainwright Global Life Sciences Conference 3 月 9 日発表。

2. 大塚製薬専務取締役 医薬品事業担当 Kabir Nath 氏のコメント:「当社はサムスカ/ジン アークを中心に循環器・腎領域を最重点領域の一つとしてグローバルに展開している。Akebia が創製した経口腎性貧血治療薬の本剤が当社のポートフォリオに加わることで、慢性腎臓病 に罹患している患者の標準治療法に利便性の高い新たな選択肢を提供できることを楽しみに している」と述べている。 

3. Akebia CEO John P. Butler,氏のコメント:「透析中の成人患者および透析を受けていない 成人患者の両方の CKD による貧血の治療薬としての vadadustat の NDA の提出は、Akebia と そのパートナーだけでなく、この疾患を患っている患者にとっても重要なマイルストンの達 成を示している。Akebia のチームと我々のコラボレータの大塚製薬は、vadadustat の 36 本に わたる臨床試験で 8,000 人を超える患者からの実質的なデータを含む、この包括的な NDA 提 出の準備に優れた仕事を進めてきた。審査の過程の中で FDA と協力することを楽しみにし ており、規制当局の承認を条件に、患者の利益のために vadadustat を前進させるためにパー トナーとの協力を継続できることを楽しみにしている。」と述べいる。

4. 両社の提携契約: 2016 年に米国における共同開発・共同販売の契約を締結した。2017 年の契約拡大に伴い、欧州では両社が共同開発および大塚製薬が販売、日本と中南米を除く その他の地域*では、大塚製薬が独占的に開発および販売を実施する権利を有している。 *田辺三菱製薬がライセンスを取得している日本・アジア諸国(台湾、韓国、シンガポール、 マレーシア、インドネシア他)以外の国。 

5. vadadustat:低酸素誘導性因子(Hypoxia Inducible Factor;HIF)の分解酵素である低酸素誘 導性因子 prolyl 水酸化酵素(HIF Prolyl Hydroxylase ; HIF-PH)を阻害することにより、 erythropoietin 転写因子である HIF を安定化・調整する働きをする。HIF は、酸素濃度の変化 に応答し、赤血球の産生に関与する遺伝子発現を制御する。vadadustat は、標高が高くなって 酸素濃度が低下した時に、人体が低酸素状態に自然に適応するメカニズムと同じ作用で作動 する。人体は低酸素状態では、HIF の産生を上昇させる。この HIF は erythropoietin 産生を導 くのみでなく鉄輸送能を改善する働きもあり相互依存的プロセスを調整することで、赤血球 の産生を高め、結果として酸素運搬を改善する。