アストラゼネカのブリリンタBrilinta錠(一般名:チカグレロルticagrelor)は21,000人以上を対象とする大規模アウトカム試験PEGASUS-TIMI 54試験において、有効性主要評価項目を達成した。この試験の対象は、心筋梗塞の既往歴(1~3年前)に加えて1つ以上の心血管系リスク因子をもつ50歳以上の患者である。試験の主要評価項目は、心血管系死、心筋梗塞または脳梗塞からなる複合イベントで、投与量は60mg錠1日2回、あるいは90mg錠1日2回である。いずれの投与群も低用量のアスピリンを併用した。
PEGASUS-TIMI 54試験は、8万人を対象とする大規模市販後臨床試験プログラム「PARTHENON」の一環として実施された試験で、欧米など31ヵ国の1,100以上の施設が参加した。パルテノン(PARTHENON)プログラムでは主要5試験を異なるタイムスケールで実施している。ソクラテス(SOCRATES、脳梗塞、一過性脳虚血発作)、ユークリッド(EUCLID、末梢動脈疾患)、テーミス(THEMIS、心血管系イベントのリスクが高い2型糖尿病)の各試験が含まれ、心血管系障害を網羅している。ブリリンタは、今後4年間で4つの新規効能の取得を目指している。
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ブリリンタは、cyclo-pentyl-triazolo-pyrimidines(CPTPs)群に属する薬剤で、P2Y12受容体に直接作用し、血小板活性を阻害して急性冠症候群(ACS)患者における心筋梗塞や心血管系死亡などの血栓性心血管系イベントの発生を抑制する。
チカグレロル90mg錠は、米国では2011年に承認され、わが国では現在申請中。米国での適応症は、ACS(不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞、またはST上昇型心筋梗塞)患者における血栓症心血管イベントの発症抑制」である。
第一三共が米国リリーと共同販売する抗血小板薬EFFIENT(一般名プラスグレル)の2014年売上高は5億ドルで横ばいだった。一方、ブリリンタは4.8億ドルへと70%増加しており、2015年中にEFFIENTを逆転する見通しである。