2013/11/19

MSD(米国メルク)の抗PD-1抗体MK-3475が悪性黒色腫で好成績

抗PD-1抗体 はT細胞の細胞死に関与するPD(Programmed Death)-1受容体を遮断して、がん細胞に対する免疫攻撃を回復する。開発段階で現在もっとも注目される免疫療法による抗がん剤だ。 MK-3475(lambrolizumab)の臨床試験はまだフェーズ1b段階だが、登録患者数は肺がん、乳がん、大腸がんなど8効能で合計3000人を超えている。今年4月にFDAのBT(ブレークスルー治療)指定を受けた進行性悪性黒色腫では1年生存率81%を単独投与で達成した。 抗PD-1抗体として先行するブリストルマイヤーズ(BMS)/小野薬品のnivolumabは同じく免疫療法の抗体医薬Yervoy との併用で進行性悪性黒色腫の1年生存率82%を達成し、今年6月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)で絶賛された。MK-3475も他剤との併用を計画しており、さらなる生存率向上を期待できそうだ。 悪性黒色腫(メラノーマ)は米国における皮膚がん発症数(毎年100万人)の5%に過ぎないが死亡数では75%を占める。悪性度が高く、進行性の場合の生存率は1年で40%、5年で20%を下回っていたが、ロシュのZelborafはBRAF変異陽性の患者で1年生存率を55%へと改善した。共同開発元のPlexxikonを第一三共は11年に9億ドル(770億円)で買収している。 その後、グラクソ・スミスクラインは自社開発のBRAF阻害剤Tafinlarと日本たばこから導入したMEK阻害剤Mekinistを併用して1年生存率79%を報告。治療成績は改善しているものの、2年目以降の生存率と、半数を占めるBRAF変異陰性の患者が問題となっている。